第79話 フェリペ2世(1)
「こ、これは・・・」
リスボン港では、88隻ものガレオン船の帰還を祝う市民たちが大騒ぎだ。
沖には、不気味な黒き船団、旗艦『愛宕』、14隻の重巡洋艦、計70隻の巡洋艦と戦闘艦、104隻の補給船だ。
旗艦船尾から下ろされた武装艇が、港に到着した。
「お主が責任者か。
国王フェリペ2世に親書じゃ」
「は、はあ」
「ふふふ、日本皇国遠征軍総司令官、従三位織田左近衛中将である。
よろしく伝えよ」
「はは~」
「めっちゃ気持ちええやろ」
「まったくだ」
遠巻きにイスパニア艦隊も居たが、雑魚扱い、無視していた。
「タリファやジブラルタルの砦は何して・・・」
「すでに潰されておりました。
悠々と進む敵船からの砲撃数発で壊滅でございます」
「むむむむ・・・こ、このようなもの受け取れるか!」
「調査結果とのこと・・・ローマへも送るようにと」
「・・・これは・・・いたしかたないな」
「へ?」
「致し方ないと言っておる。交渉の余地を探れ」
「は、は~」
したたかなフェリペ2世、善後策を探っていた。
「驚くことに、帰国の者どもは日本皇国に対する恨みはないとのこと。
十分な保証金を支給されておるようです」
「なんだと?」
「財産は没収されたようですが、当座の生活費として1人当たり8レアル銀貨50枚を支給されております」
「死刑一等を受けたのはどうしようもない者どもだということでした」
「ふうむ・・・」
「種痘という痘瘡の予防法や衛生管理という疾病予防を習っており、病院という医療施設を運営したいそうです。
黒死病は病因を広めるノミダニ駆除やネズミ駆除が必要だそうですが・・・」
「うううむ、なんの見返りもなくか」
「発生したら国を損ない、周りも巻き込むと教わっておるそうです」
「日本皇国とはそのような国か・・・」




