第77話 南蛮勢力
「ううむ・・・海戦に負けたのはいかんともしがたいが・・・。
盛り返したのではないか」
「はあ、それが・・・連絡が途絶えており」
「イングランドめ!」
「それが、どうやら、ブラックデビルシップという噂が・・・」
「なんだそれは」
「帆を張らずとも動く船らしいのです」
「まさか・・・幽霊船か?」
「日本皇国を名乗っておるそうで」
「・・・ニホンとは?」
「ヤーパンと我々が呼ぶ極東の島国ではないかと」
「なにゆえそやつらがカリブにいるのだ」
「それがわかりません」
「ポルトガルやイエズス会から情報は無いのか」
1580年併合のポルトガルはフェリペ2世のイスパニアの支配下にある。
「それが・・・同じく連絡が途絶えておるそうでございます」
「・・・いつからじゃ」
「は、はい・・・ここ10年ほど」
「まさか、エリザベスめの仕業か!」
「さあ・・・」
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「フェリペのくそやろうが反撃しおって・・・卿はどう思うのじゃ」
「いえ・・・反撃を受けたのは間違いないのですが・・・。
カリブ海の状況はすこし変なことが」
「ん?」
「ブラックデビルシップという噂が・・・我が方の船(海賊)も消えており」
「消えたのならなぜそのような噂が?」
「廃業した奴隷商人どもでございます」
「廃業とはどういうこと?」
「それが・・・口が硬く・・・」
「口惜しいが、フランスやネーデルランドはどうなのじゃ」
「同じく、奴隷商が廃業しておるそうです」
「・・・フェリペのさしがねか?」
「それなら生かしてはおかぬでしょう・・・」
「ドレーク卿は何をしておるのだ」
「さあ、あのような野蛮人はお近くにおらぬ方が良いのです」
「むむむ」
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「フェリペは何を考えておるか」
「英西戦争によるものと・・・」
教皇シクストゥス5世は嘆息した。
「あやつの献金は必要なのじゃ、エリザベスに親書を書こう」
「それはおやめください、反発を招きまする」
「むむむ!」
「それよりも異端審問の成果をお示しください。
学者どもは増長し王どもをたぶらかしております」
「利を与えると聞いておるぞ」
「それこそ悪魔のささやきでございます」
「そうかのう、利を得させて献金させる方が良い」
「・・・はあ」
「なんじゃ」
「教皇様は法王庁を建て直されました。
素晴らしい業績でございます」
「うむ、自画自賛してもよいかのう」
「しかしながら、えげつない守銭奴とも言われておりますぞ」
「言いたい者には言わせておけ」
「軽んじられておるのですぞ」
「お前は頭が硬すぎるわ」
「・・・申し訳ありませぬ」
「なにやら世情が騒がしい、なにかあったのか?」
「いえ」
「ふむ・・・」
部下の枢機卿達は、教皇の思いとは別の思惑で動いていた。
古き権力構造とはこのようなものだ。
海洋覇権を争うイスパニアとイングランド、イスパニア支配から脱却したいネーデルランド、イングランドがそれを後押しして約30年も戦争状態が続いている。
ドイツ国民の神聖ローマ帝国が宗教改革により分裂したカトリックとプロテスタントの争いという面もある。
前世では、戦乱の旧世界から新世界への脱出になるのだが・・・。




