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オイナカムイ伝  作者: 日川文月
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第70話 解放軍進発

皇紀2249文禄2年(1589年)春。

京都朱雀大通りは都民ばかりでなく近隣や全国からの客でごった返していた。

昨年元旦は、日本皇国建国の儀や京阪鉄道開通および御幸行列という大イベントがあった。

再び、左右に桟敷席もしつらえられ、民衆が今か今かと待ち受けている。

出兵の意味を国民に知らしめるべく催される、皇国解放軍進発式だ。


大内裏正面の朱雀門前の特設台、加冠正装の公家武家が椅子に座り、国旗・錦旗が立ち並ぶ。

天皇陛下、上皇陛下が、1段高い皇壇におわし、国民の前にその御姿を現すことは、昨年、多くの人々が目にしている。

織田太政大臣が、立ち上がり、主上方にお辞儀をして奏上した。


「勅令により、こたび、艱難辛苦に直面せしアステカおよびインカの救民のため、皇国軍の派遣をいたすなり!

総大将、織田左近衛中将、これへ」

「は!」

「御勅書および国書を下げ渡す。

とく、解放軍を揃え進発せよ!」

「はは~、身命に替えても必ずや、かの人々を救い申す!」


書および太刀、錦旗を与えられた総大将。

凜と立ち、右手を挙げて宣言した。


「ものども、出陣じゃ!!!」

「「「「「「「「えい、えい、おおおおおお~~~~~」」」」」」」」


御前を辞し、階段を降りて副将の織田三七信孝とともに、自走車に乗り込む。

オープンカーというか、荷台を飾り立てた4輪補給車だ。

その後ろにもう一台、参謀竹中半兵衛重治、蒲生忠三郎氏郷、安倍貴丸が乗り込んだ4輪補給車が続く。


「どうした?安倍殿」

「は、はい、なんでもないっす」


(めちゃはずい、ああ~~)


まだ戦国期の名残、武将達はきんらきらの鎧兜陣羽織に大太刀を佩き、旗指物で補給車を飾り立てていた。

貴丸も、信長や信忠にダメ出しされて与えられた豪華な甲冑に陣羽織、慶治と五右衛門にニヤニヤされた。


「出発!!」


軍楽隊発進、パレードが始まった。

派遣軍の陸軍5大隊と海軍艦隊乗員が参加、後続隊列は二条大路を埋めていた。

軍楽隊は先頭・中央と海軍前に3ヶ所、それぞれの行進曲を演奏する。

舞台正面に来ると、敬礼、捧げ筒で、加冠正装の公家武家が答礼する。

朱雀大路に出ると日の丸の小旗を振る民衆の歓声に応えて手を振った。


「安倍殿、もっと、手をふらな」

「そうでござるぞ、なんと誉れであることか」

「ひゃ、ひゃい」


家族も見学の中に居るだろう兵士達が誇りに顔を紅潮させていた。

京都駅前広場で点呼、順次臨時列車で堺に帰る。

戦車や補給車はそのままハイウェイに上がって進んでいった。


(民意向上のためにはこういうイベントも必要なんだろうな)


いよいよ、太洋艦隊発進、目指すはハワイ民国(・・)だ。

ハワイは各島の酋長による合議制政治体制を選択、ホノルルを首都と定めた。

これまでに、帆走漁船数十隻や漁網漁具など、鶏や黒豚の番い、気候に適したトウモロコシ、麻や木綿、サトウキビなどの栽培法と麻糸綿糸織物の仕方や製糖法を進呈している。

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