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オイナカムイ伝  作者: 日川文月
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第69話 高砂や

地震対策の一環として、志摩や大阪の造船所以外に横須賀、呉、今治、佐世保、若狭に官営造船所が設立されていた。

横須賀、佐世保には軍港もある。

これまでに、重巡洋艦15隻、巡洋艦50隻、戦闘艦150隻、補給艦は250隻、漁船・商用船は数百隻以上製造。

今は漁船・商用船がひっぱりだこで儲けてるらしい。

製造技術も進歩して重巡洋艦は3本マストの5千石船で、商用船は船足が遅いでっぷりだが一万石もある。


「南洋は完全に掌握して、諸国との交渉もしておるよ」

「インドは?」

「北のムガル帝国、南のヴィジャヤナガル王国だがな。

宗教も入り乱れ、内乱の種がたくさんあるようだ」

「南蛮につけ込まれるか・・・」


「そういうことだ。

まあ、内乱に加担するのはあれだがな。

奴隷貿易の標的になっておるアフリカは、南蛮諸国の争いの種になっておるわ」

「ほんまに許せんわ。

ハワイには燃料や食料の備蓄してる?」

「うむ、定期的な貿易をしている。

オワフ島のワイ・モミ港を軍港にできそうだ。

真珠が採れるらしいぞ」

「へ~」


「ルソンのマニラ鎮守府も整備が終わった」

「インド植民地が先かな、大西洋への拠点がないとあかんて」

「いや、大義はアステカやインカの解放にある」

「そやな・・・インドはまだ征服されたわけやないか」

「艦隊はもうすこしかかる。

アレ(・・)が完成したら動くぞ」

「だよね~」


京都に来ると、勘九郎を訪れて近況報告と状況確認する貴丸。

ウルルン共和国発足から早6年経とうとしている。


マンジュ・ハン国の成立でホンジと王寧は、ウスケシに戻り傳二郎を支えている。

貴丸は、約束通り、幼馴染みのホンジの娘ヤイヌと結婚した。

一緒に戻った慶治朗と五右衛門は、貴丸をさんざんからかいつつ、ウスケシで遊んでいたが、勘九郎から陸軍に入るよう命令書が来て皇国に帰った。


昨年は、正親町天皇が譲位、上皇となられ新居なった仙洞御所に移られた。

立太子の儀式もつつがなく済ませた誠仁親王が第107代天皇(後陽成天皇)となられ、代始改元で正月から文禄となった。

天皇家は、『医食養生訓』の信奉者、みな健やかに過ごされているらしい。

一連の儀式は政府予算としてつつがなく計上されて遅滞なく行われる世になったと御苦労なされた上皇はたいそう喜んだそうだ。


ーーーーーーーーーー


皇紀2249文禄2年(1589年)。

春には貴丸は25歳になる。

織田勘九郎信忠は大蔵大臣を辞し、羽柴小一郎秀長が抜擢された。

羽柴藤吉郎秀吉を参議にという声もあったが、電気に興味がわいて、石田三成らと製造販売会社を設立して社長に納まっていた。


「みよ、この勇姿を」

「勘九郎・・・だよね~チートだよね~」

「へ?」


最新旗艦『高砂』は世界初の無帆装鋼鉄船だ。

60間長10間幅の約1万石、船員50名、中央艦橋の後方に並ぶ2本煙突。

前後甲板に5寸爆裂弾3連の電動回転砲塔。

2組の骸炭高圧汽缶汽車廻艪が動力で、船尾にクレーンで上げ下ろしのできる武装上陸艇を収納している。

時報受信アンテナ用の柱は艦橋と煙突の間で、国旗、艦旗、信号旗用でもある。

戦艦だが、1等2等の客室や大食堂も備え、乗客を500名まで対応、技術的に300年は先進していると言える。

もう1隻の南洋艦隊旗艦『愛宕』が完成間近だ。


ワイ・モミ湾 前世の真珠湾

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