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オイナカムイ伝  作者: 日川文月
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第68話 技術革新

「電気火花で鉄が溶けるんやで」

「ふえ!?」

「なんや、火花でやったやろ」

「電波発信器?」

「ごっつい火花飛ばすと銅の電極が熱で溶けてくっ付いたんや」

「鉄と鉄を合わせて、鉄線から火花を飛ばすと溶けてくっついたちゅうわけや」


「マジか!?」

「「「???」」」

「あ、感電!危なくないの?」

「・・・犠牲はつきものやな、ガハハ、まだ、死人はいないわ」

「それ絶対ダメ!!!」


技師を集めて安全対策をしてからやるようにお達しした。

電気ならゴムが絶縁にもってこいだ。


「そういや囚人を使えって松永道意様が言っておったのう」

「それもダメ、まさか鉄砲の改良でも?」

「昔から暴発爆発はあったのう、わいら勘はええから生き残ってるわ」

「・・・もう!」


(溶かして強風で切り飛ばす切断機も考案してるって、どんだけ優秀なんだ。

マジで・・・そのうち鉄船ができちゃいそうだよな・・・。

あ、黒いゴーグルも作らなくちゃ)


ーーーーーーーーーー


「・・・ああ、それ、研究予算の増額もしておるぞ」

「あ、そ」

「昼飯は?」

「まだだよ、ん?時計?」

「南蛮から持ち込まれてた振り子時計というらしい。

これは堺の産技研寮製で、短い針が時、長い針が分を表しておるのじゃ」

「へ~」

「ほら、そろそろ正午になるぞ」


外からどーんと音が聞こえてきた。


「ひへ!」

「貴丸はほんにびびりじゃなあ~。

北山鹿苑寺の空砲だ。

時計の長針を合わせゼンマイを廻す合図だ、ほんのちょっと早いか」

「いつの間に・・・」

「ほら、電波実験でやたら凄い音が鳴るから地下に移したろ。

今では電波が琉球辺りまで届くようになったと聞いておるぞ。

近場へは正午の合図に空砲が良いとなったのだ」


「なるほど~」

「船に乗せる時計も研究中じゃ。

こんな時計では揺れたら止まってしまうわ」

「ごもっとも~」

「同盟国には自動電波受発信機を配るそうだが聞いてるか?」

「いや、ミチのほうに通じてれば良いよ」


大蔵大臣の勘九郎と食事処に行く。

役所では午前8時出仕、午後5時退出と決まってる。

正午1時間の昼食は2ヶ所あるフードコートのような大食堂や高級レストランのような食事処で食べるようになっていた。

残業は無いらしいが、一斉休日は無いので、まだブラックはブラックだ。


(振り子時計ってこの頃の発明だったっけ。

知らんけど、江戸時代には入ってたよな。

どっかに転生者でも居るのかな・・・)


知らないうちに玉軸受け(ボールベアリング)ができていて、ゴムタイヤ付きの車輪で、前世のネコ車のような1輪運搬車とかリアカーのような2輪荷車とかが飛ぶように売れている。

知らないうちに、典薬寮から衝心の気(脚気と考えられる)の薬として米ぬかの煎じ方とか、航海病(壊血病)予防に果物や野菜の酢漬けなどの効用、肉食の効用なども記された『医食養生訓』を印刷して配布している。


そもそも、神仏はいたずらに生を奪うこと無かれと戒めているだけで、4つ足が不浄とは人のおごりからくる誤り、いただく感謝の心で、食前食後に『馳走ありがたし』と祈りを捧げて無駄なく生かすことを説いている。

天皇家からもそれに沿った『生類憐れみ』の勅語があり、民間にもつつましい肉食が広まることとなった。


不安になった貴丸だが、何のことは無い。

様々なやらかしを忘れてるだけだ。

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