第67話 ホゲー
米至上主義も薄れ、その傾向は各地の特産品作りでも現れている。
気候に即した柿・栗・桃・蒲萄などの果樹。
麻、綿花、養蚕桑、植物油、お茶。
唐イモ(スィートポテト)やバタタ(ポテト)。
トウモロコシ、テンサイの作付けも盛んだ。
新鮮な魚貝も食卓に乗り、食生活が豊かになっている。
奥州、武州、和州、予州、南州に開設された農務省農技庁・農技寮の研究所は稲以外の農産物も研究している。
貿易で持ち込まれた国外の種は、京都の農技寮で研究している。
貴丸は、堺の産技寮だけで無く、農技寮にも顔を出して進捗を確認していた。
「・・・花々の種もいろいろ入って来た。
除虫菊は北方遠征軍が持ち帰った菊のたぐいだ」
「へ?」
「殺虫効果があることがわかってな、今、検討中だ」
「・・・昔からあったんじゃ無いの?」
「まさか、マラリア対策が必要な南方で実験する予定だよ」
「へ~」
「南蛮や大陸から、唐イモやバタタ、トウモロコシなど入ってた。
実際は、アステカやインカから南蛮に広まったらしい。
他には梨や林檎や柑橘類も入ってきてる。
香辛料や瓜は南洋で種類が多いし、胡椒は肉料理に合うな。
ウルルンからは、また特別に変なのが多いよ」
「はあ、まあ、よろしく」
持ち帰った植物で農産業がさらに発展しそうだった。
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「ホゲー・・・捕鯨でござるか?」
「ムリな武家言葉でなくとも良いぞ。
優秀な漁船を建造し、鋼鉄のモリを打ち込めば鯨も捕まえられるだろ」
「ん~まあそうやけど、採算取れるん?」
「へ?」
「船の建造費と人件費とか、第一、鯨獲れんやったら赤字やで」
「そりゃ・・・」
「鯨の髭や油は貴重やったけど、石鹸も植物油の方が好まれるわ」
「肉も・・・需要ないか?」
「新鮮な近海マグロの方が旨いやろな」
「う~む・・・危険も無いわけでは無いか、いいと思ったんだがのう」
「漁業だったら、鰹節になるカツオはいくらでも需要があるで」
「お~、あれか、確かに、出汁汁にかかせんのう。
保存が利くし、小麦粉はどこでもできるからのう」
長宗我部殿がぽんと膝を打った。
「タカマル殿が言うなら間違いなし、我が予州では鰹節に力を入れようぞ」
ニマニマしながら長宗我部殿が去って行った。
いろいろ聞きに来る徳川の大久保彦左衛門に浜松のウナギを使った蒲焼きを教えたら、各地にウナギの蒲焼きブームが起きている。
東国では蕎麦がブームで関東平野では小麦粉のうどん、お好み焼きや、瀬戸内海のタコを使ったたこ焼きにもなり、うどんは根菜や海産物の汁ものと合致して、各地独特の食べ物として花盛りだ。
「次は徳川参議様が・・・」
予州は四国、殖産興業は各都州の一大事だ。
江州徳川家の大久保彦左衛門が打ち出の小槌と言いふらしてるらしい。
京に来るたびに、貴丸詣でが始まるのだった。
(なんでこうなった・・・ううう。
そういや、史実では、捕鯨船の補給基地としても、日本に開国を迫ったんだった。
油を取るためだけに何十何百万頭も殺しておきながら・・・。
石油が出てからは、知的生物だってさ。
アザラシや鯨の漁で生きてきたエスキモーにも禁止を押しつけたよ。
今世では、シーシェパードのような悪辣なテロ組織は現れないだろうな。
今日はもう何人目?疲れたよ、ホゲー)
「おう、なんじゃ、ぐったりして、わしが名物を考えたのだぞ」
「はあ」
「見よ、天ぷらラーメンじゃ」
「・・・うどん・そば・丼は上手くいってるんだし・・・」
「んんん、しかたないのう、じゃあ、天ぷらプリンはどうじゃ」
「だめだこりゃ」




