第63話 天正大地震
皇紀2245天正13年7月31日、大阪・京・伊勢・三河で大地震が発生。
訓練を強いられていた民衆は、驚きはしたが冷静に対処できた。
火を使わない真夜中だったことも幸いした。
皇紀2246天正14年1月18日。
それまでに、鉄道敷設を理由に近畿中部の城塞多数が破却、石垣石は予定地に送られ、越中・飛騨・美濃の山間部で枕木用の木材を根こそぎ切り出された村落は、安全地帯に強制移住させられていた。
泣く泣く暮らしていた人々も大地震が起きてみれば呆然となった。
やがて後新政の沙汰に従って命拾いしたことを喜んだ。
広範囲に起きた津波の被害は多々あったとしても命あっての物種だ。
多くが助かり、住居や仕事を失った者達は、京の建築や鉄道施設工事等の公共事業にかり出され、住居や食事と日当を稼ぎ、糊口がしのげた。
「見よ、このクルマは百馬力やぞ」
「「「「おお~」」」」
工事重機として開発された蒸気自走車が、排土板やローラーを引っ張ったり、巨大石や土砂を運んだりと、人力だけでは到底及ばない速度で工事が進んだ。
川や交わる道には鉄橋を架け、将来の複線化を睨んで幅も取っている。
京都駅舎は朱雀大路の突き当たり。
貨物引き込み線が将来は物流の中心にもなる。
(前世だったらあり得ないよな。
土地も接収されて強制移住ってさ。
公地公民なんて思いきった憲法だものな~)
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「これが、目には見えへん電波ちゅうもんを出すんやな」
「アンテナからね、受信機はコレ、まずは実験や」
「ふ~ん、ふむふむ」
貴丸はこの頃、堺の産技研寮にお願いして新技術の実験をしていた。
磁石とコイルの発電機からトランスで昇圧、電極間の放電が電波を発する。
火花発信器という原始的なものだ。
受信機は鉱石ラジオもどきだ。
天文寮が北山鹿苑寺の山頂に出張所を設け、日本皇国基準経度の天頂を計測し正午0時を決める。
電波を発信して船で受信すれば、正確な基準時がわかるという発想だ。
これは前世でも知らなかった方法、太平洋を越えるならと考えた。
今のところ数里程度で受信できなくなる。
貴丸はちょっと知ってただけの専門外で、結局はカラクリ御三家に丸投げだ。
「おめ~はよう」
「へ?」
「いっつも、わいらに変なこと押しつけてからに」
「え、えへへ、申し訳ござらぬ、ほなさいなら~~」
「「「ごら~~~」」」




