第60話 ヌルハッちゃんの陰謀
「伯父上よ、有意義な時であったな」
「うむ、血湧き胸躍ったわい。
かの国の血を血で洗うような100年とは、聞けばすさまじいものだな」
「ケイジ殿は本当に強かった。
ゴエモン殿の変幻自在の早業には参った。
タカマルの弓は天下一品だった」
「なに、儂はお前に惚れ直したぞ」
「「ハハハハ」」
「ホンジ殿と王寧殿はしばらく滞在するのであろう?」
「ああ、アイヌ族との繋ぎの体制を整えると言うことだが」
「いろいろ参考になる話ばかりだった。
伯父上、ここしばらくは臥薪嘗胆ですぞ」
「わかっておるわ。
ヌルハチの気も知らず・・・すまなかったな」
「いいえ、まずは、あの裏切りどもを」
「うむ・・・」
「伯父上をはめようとしておるのを逆手にとるか」
明の李成梁にすり寄っているヌルハチへの反発は、親族のスクスフ部でも多い。
アタイにしても、思慮遠望とはほど遠い脳筋種族だ。
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「おお~ケイジ殿、ゴエモン殿」
「どうやら、忙しい時に来てしまったか?」
「うむ、かくかくしかじかでの~」
「「へ~~~」」
「わしはイマイチわかってないのだ」
「ムリもないな、ヌルハチは李成梁という男をよく知っておるのだろう」
「はあ、まあ、言われたようにやるが」
「そのニカンワイランの動きをさぐっておるんか?」
「へ?」
「なんや、作戦ズブズブやな」
「五右衛門、偵察部隊を鍛えてやれや」
「おう、大事なことやで」
「ホンジと王寧は?」
「ちょうど、ブリヤートから商隊が来ていてな、ギャムフ城のガハシャンのほうで対応して貰っておるのだ」
「ほう、向こうも順調にやってるようだな」
「山丹にも行っていたようだが」
「入れ違いだな。
後で挨拶しよう、お主達もギャムフ城に行くのであろう?」
「ああ、そういう打ち合わせだ」
「ニカンワイランやサルフの動きを見ながらだぞ」
「いやあ、来てくれて良かった」
おおらかすぎる作戦に、慶治朗と五右衛門がサポート、ニカンワイランは思惑通りにはまった動きで、右往左往したあげく、ギャバン城を襲ったのだが、何も得ることなく、サルフ城に引き上げていったのだった。
ジャギン部のアタイが反乱を起こしたという報があり、李成梁が軍を起こしジャギン城を囲んだが、わずかな兵しか残されていなかった。
「これはどうしたことだ」
「さあ、恐らくは・・・誰かの虚言では?」
「う、うう~む」
「お知らせします。
サルフ城のノミナとスクスフ部のニカンワイランが先に城を攻めたようです。
アタイはギャムフ城のガハシャンを頼って家族を連れて逃げた模様です」
「なんだと?」
「虚言はニカンワイランでしょう。
罪も無い我が伯父を殺そうとしたのでは?」
「なるほど、手柄をねつ造しようとしたのだな」
「我が伯父はすっかり恭順しており、先日もこれをお届けするようにと・・・」
「ふむ、砂金か・・・馬の交易で儲けたと聞いたが」
「そのようで、モンゴルで家畜の病気があったようですな」
「わかったぞ・・・これより、サルフ城を責める、皆のもの続け」
「「「「「「「「おおおおおお~~~~~」」」」」」」」
結果的に、李成梁が明の大軍をサルフ城に動かし、ニカンワイランは処刑され、サルフ城のノミナはヌルハチが自らとどめを刺したのだった。
すべてが終わり、後始末に残ったヌルハチは去って行く李成梁の後ろ姿をじっとにらみつけていた。




