第59話 それぞれ
ウルルン遠征隊は、お土産をたくさん持って11月には帰国の途についた。
「船旅は馴れると退屈ぞ」
「色気ないわな、むさい男ばっかりや」
「そういや、五右衛門はあっちはどうなんじゃ」
「伊賀も安定志向や、すっかり御新政に馴染んでおった。
お頭も孫大事でボケよって」
「ふむふむ、結婚相手も居ないか」
「ち!給金のいい役人が人気やって」
「さもありなん」
(ワイは、石川の五右衛門なんてたいそうな名前名乗ってるんやけど、まあ、お頭がどっかで拾ってきた戦乱孤児や。
戦乱でのしのび働きは命がけやったし、人に言えんこともしよった。
このおっさんとも長付き合い・・・。
いや、まだ3年ばかしやったわ。
大陸の北に旅をして・・・帰って、また行って、今度は南の大陸とはな、貴丸も大概おかしな奴やで。
ホンジはんが、アイヌの神・カムイの申し子とか言ってたんやけど、ほんまなんやろうな、お天道様が笑いよった。
あんな、ボケ顔なんに・・・ヌルハチの方がまだわかりやすいわ)
(儂もこの年になってもうびっくりすることもないと思っていたがのう。
貴丸と出会って3年か・・・。
びびりのくせにようやるわ。
猿殿に叱られた時の顔は、なかなか面白かったぞ。
北から南へ、長い旅ばかりだが面白い。
この世の中、変な生き物の方が多いかもしれん。
だが、貴丸の方が図抜けて変だわ。
王寧殿からオイナカムイというのは神の子のことだと聞いたがな。
背筋が凍ったわ。
儂もヌルハチも人の子じゃと思うわ・・・)
「「ヌルハチ・・・」」
「あ、慶治はん」
「いや、ヌルハチ今頃何してるかなって思うたのよ」
「わいもや」
「「ハハハハ」」
「貴丸を見てみろ。
大仕事終えてふぬけておるぞ」
「そやな、いっぺん大陸に見に行きまひょか」
「ああ、ホンジや王寧殿がまだいるだろうしのう」
ーーーーーーーーーー
(慶治と五右衛門はカラプトに行くって・・・。
慶治もついに種切れか?
あ~~あ、すげえ疲れた・・・あのタイミングで天体ショーってさあ。
ご都合主義もいいとこや・・・ほんま、疲れたわ)
堺港から陸路を辿る前に、産技研寮に立ち寄った。
「あれれ、これは?」
「鉄道やろが」
「へ?あの・・・もうできたの?」
「おう、1/3試作じゃ、乗ってみい」
「マジか!」
「鉄が足りないよって、あと5年ぐらい掛かるわ」
「先に、引っ張りだこの建築用機械に力入れとるわい」
「こっちにあるで」
「はあ~」
ーーーーーーーーーー
天正3年から始まっている京大改修。
訪れるたびにその変わりように驚いているのは貴丸だけでは無いだろう。
大路小路を復元、堀川も整備して往事の流れを取り戻した。
朱雀大路は、前世札幌の大通公園みたいになるはずだ。
そのうち路面電車が走るだろう。
天正11年、失われた大内裏がほぼ復活、伝統と格式のある内裏も造成され、
普段使いの2階建てレンガ館もできているらしい。
太政府庁舎で会った織田親子は元気、まずはホッとした貴丸だった。
「早速奏上しようず」
「ふえ!」
「主上が待っておったのや」
「こ、こまる~」
「馬子にも衣装ではないか、早う行ってこい。
戻ったら詳しく教えてくれ」
「う、うう~~」
「早く来い!」
失礼の無い衣装で来て良かった。
太政府庁舎から信長に引きずられ、主上に拝謁。
ウルルン共和国の発足を報告し、国旗を進呈すると大いに喜ばれた。




