第57話 ウルルン共和国(1)
天正10年(1582年)秋から翌初春。
重巡洋艦に乗っての航海、100人の乗組員と案内役の文官達が20人、同行はもちろん、慶治と五右衛門のコンビ、もう腐れ縁だ。
各部族にイクルイ族(偶然?酒飲みかも)の聖地ウルルへの集合を再度伝えると二つ返事だった。
徒歩で2ヶ月もの道程になるが、道はあるらしい。
「不思議やな、貴丸の言葉が通じる?」
「気のせいやで、どの民族も夏至の時期がわかってるほうが不思議やな」
「あと2ヶ月なら、急がんと、たどり着けんぞ」
「ルトルウィタやアオテアロアの代表も連れて行かなきゃあかんで、急ごう」
「この国旗はどうやろか」
「嬉しそうにしとったわ、のう、慶治はん」
「うむ」
見栄えの良い慶治が掲げていたウルルン共和国旗は、黒赤地に黄丸で中央に赤いウルルの意匠だ。
他に決まってるのは、琉球王国旗(赤地に金左三巴紋)、ハワイ民国旗(青地に赤丸)、ルソン共和国旗(青地に黄丸)、ジャワ共和国旗(緑地に黄丸)だ。
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以前の調査でウルルへ最も近いワイアラに上陸。
比較的平坦な道のりで20頭の驢馬たちもリアカーを引いて大活躍、集まるであろう2・3千人のための水や食料を運んだ。
「なんやこれ」
「すごいわ・・・あ、種痘しなきゃ」
「食事処も開設しなきゃ、何人いるんだろ」
「4・5千ぐらいじゃないか・・・ふえ~誘い合わせて来てるのかな」
種痘所を開設、各民族で種痘がまだの男女がおとなしく並んだ。
各民族で食料は担いできたらしいが、恐らく足りない。
カンガルーやワラビーを狩り肉を調達、穀物を多めに運んでて良かった。
南半球では最も日が短くなる日、珍しく薄曇りの天気で太陽がまぶしくない。
天頂に太陽が来て儀式が始まると、シャーマンらしい長老が貴丸を呼んだ。
『話せ!』
「え、ええ・・・みなさん・・・このウルルの地は・・・」
わかるかわからないかわからないが、この地を襲う悲惨な未来を阻止したいことを訴えた。
「我々はこの地を守りたい。
多くの民族が幸せに過ごせるように・・・どうか、許して欲しい・・・あれ?」
『・・・見よ!啓示じゃ!』
「げげげ!日食?」
みんな呆けて太陽を仰いでいる。
さすがに皆既では無く、美しい上弦部分日食のようだ。
薄暗くなって太陽が笑い、やがて元に戻った。
(マジか・・・こんなんありか!)
そして、全ての人間が貴丸を拝んでいた。
ともかくウルルン共和国の成立が決まった。
全ての民族が日本皇国の被保護国になることを受け入れたのだった。
ルトルウィタ(タスマニア)
アオテアロア(ニュージーランド)




