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オイナカムイ伝  作者: 日川文月
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閑話9 発展する堺

京都府行政区、大阪堺区が決められ、区の運営は会合衆に任されている。

堺港は貿易と商業関係、住吉津の港は造船関係と機械工業、難波津の港は淀川水系の中継のため物流倉庫群を多くと工業都市計画を立てて進めてきた。

皇国府からは、仁徳天皇陵をはじめとした御陵や古墳は保護林を巡らせて保全していくこと、津波被害を想定した街作りを要望されている。


「京の街割を参考にはしたんやがな~」

「そのうち足りんくなるな~」


河内湖に流れ込む大和川は護岸堤防を高く分厚くして、洪水対策をした。

河内湖は護岸を整え、浚渫して建築資材の川砂の採取場にした。

淀川の一部も流れ込む河内湖から、湾に向かって淀川と平行垂直になる阿弥陀籤(あみだくじ)のような水路を巡らしている。

水路は水運以外に、水車が製粉工場などの動力源にもなっていた。


「いっそ、こういうんは今井郷のほうで請け負ってもらえまへんやろか」

「おお、そやね、ペンやインク作りをやっておるさかい、つごうがいい」

「ゴム関係もなんやらそっちやろか」

「まあ、なんとのう発展しそうやろか」

「大和の首府になっとるさかい、ごっつ発展するやろな」


堺と今井郷は昔から関係が深く、約七里の竹内街道を行き来している。

こうして、堺からの要望を聞き入れた今井庁では活版などの印刷関連工場が立ち上がり、出版社が何軒も立ち並ぶようになるのだった。

ゴム関係も、印刷への応用以外に、リヤカーや自走車の車輪に使われると原料調達が問題になるほど発展することになる。


立ち上がりが早かった官営釜石製鉄所から貨物船で原料鋼鉄を運び、鉄鉱製品工場が立ち並んでいる。

堺では、以前から鍛冶工程の分業化が始まっていて、尺貫法による標準化が重要な役割を果たしていた。

ネジ・ボルトも、大きさやピッチも規定され、規格外ははじかれてしまうので、どこも必死で規格品を作れるようになっている。

そこは産技研寮の主導で、旋盤などの様々な精密工作機械を生み出していた。


多くの鉄工所で、原料鋼鉄を熱しローラー加工で伸ばし曲げ変形させ、鉄筋やL型鋼やH型鋼などの規格品を製造、中空鉄材料もローラー延伸法で薄く強い鉄パイプの製造に成功していて、汽缶蒸気暖房の普及に一役買っている。

鉄道のレールも量産できるだろう。

圧延鋼板を製造する工場もでき、プレス加工工場にも発展していくことになる。


私造銭から発展した冶金工場も鋳造工場も早いうちに稼働していた。

大蔵省財務庁の造幣寮では硬貨の製造している。

需要に沿った形で様々な技術が発展して活気に溢れていた。

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