第56話 遠征報告(2)
「儂も国外に行きたいのう・・・」
「んん、奇妙が行くなら儂が行く、太政大臣にしてやるぞ」
「く!」
「まあまあ、いつかは気軽にいけるやろ。
大洋を渡るならハワイに、輸送船団で燃料備蓄倉庫も作った方がええな」
「すでに国書を携えて三七が行っておるわ。
奇妙がすねてのう」
「しゃあないやないか」
「むむむ」
「アステカの解放軍は大がかりになるで、総大将は左近衛中将殿の出番やろ」
「まあ、いたしかたないか。
それまで政務に励めよ」
「父上、ありがとうござる!」
「それから、マンジュ人のヌルハチが水面下で部族統一にのりだしてたわ」
「であるか」
「伯父のアタイが実働部隊で、ヌルハチは遼東総兵の李成梁の部下になって表向きの力をつけつつ、マンジュ族の動きをごまかしてるそうや」
「なかなかなやり手ではないか」
「ホンジと王寧を連絡のためにつけてあるんや。
火薬もやけど鉄砲も欲しいて」
「よかろう、諸侯から集めた程度の良い古道具をくれてやろう」
「一石二鳥やね、もう、つかわへんもんにゃ」
「槍や刀は?」
「槍の穂先がええやろ、刀は使い慣れたものがあるそうや・・・
あ、でな、大学を作るやろ?」
「今、場所を検討しとる」
「いっしょに大博物館を作るべきや」
「なんやそれ」
「正倉院のようなものや、皇国中の物品を集めるのやで。
お宝だけやのうて、農作業具とかでも、普段使いの腕や箸でも、なんもかもや」
「で、どうするんだ?」
「技術が進歩したら捨てるやろ、武士の鎧なんか飾りやな。
時間が経つと失われるし、技術も伝承されん。
そやけどどうやって作ったかわからんような美しいものもある。
そやから、造り方も含めて記録しとくんや。
職人の名前とか、業績も含めたらええな」
「今は宝でなくても後々宝になる物もあるか」
「刀剣はピンキリやけど、つかわんようになったらなくなるで。
実物を飾って古今東西番付とかしたら、みんなが銭払ってもみたくなる。
そういう展示場所も必要やな」
「それは良いぞ」
「というか、未来にあったのか?」
「せや、全世界に何千もの博物館があったで。
生きている動物や魚を見せるのもあったんや」
「ほう・・・暇人が多いのか」
「せやな、平和になるとそうなるもんや」
「「であるか」」
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南洋調査第1回報告書は大作で、かなりな部数が筆写されていた。
「ウルルか、ウルルン共和国なんてよさそうやな。
コピー機があればなあ・・・印刷技術を教えれば良いか。
鉛やゴムもあるし活版印刷も謄写版印刷もできそうやな。
それに、ペンの横書きも馴れてきたようや」
漢字かな交じり文や当用漢字も教えていた。
文字数が少なければ活版印刷は楽になる。
「また、産技研寮に行くか」
ウルルンは南半球で冬は暑い、貴丸は秋のうちに訪れようと思った。




