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オイナカムイ伝  作者: 日川文月
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第55話 遠征報告(1)

「南洋にゴムの木あった?」

「おう、樹液を仰山送ってきたで、何につかうんや?」

「これで防水布やゴム靴もつくれる。

硫黄や炭の粉を加えるといろいろな堅さになるんや。

熱を掛けて練って型にはめて冷やすと輪っかにもなるで」

「ん?」

「車輪に嵌めれば、ガタガタ道でも快適や。

空気を入れて密封すればなおいいわ」

「「「「おお~」」」」


「自走車はもうすぐや、鉄の車輪で並べた鉄棒の上を走らせるんやろ」

「うん、鉄道いうんや」

「変速機ちゅうのは歯車が割れて苦労したわ、船より難しかったのう」

「結局、油に浸して克服したんやで」

「クラチとやらも油に漬けた方がよかったわい。

ツルツルすべるかとおもったんに、そうでもなかったわ」


(すげ~な~あいかわらず。カラクリ御三家だな)


堺の鍛冶屋3人組は商務省産技庁・産技研寮の技師長になった。

住吉に移った広大な研究所で試行錯誤の日々だ。

弟子もいつのまにやら合わせて300人は居る。

作業部屋には様々な鉄製の機械が置いてあった。


「お~い、佐吉、ゴムの研究や、硫黄と炭の粉を混ぜて熱かけて練ってみい」

「へい!」


(うお~一言で動くなんて、優秀か)


ーーーーーーーーーーー


「・・・であるか」

「いちおう、羽柴様達はあと2回は冬を越すそうや。

その間に防衛砦を20ほど作って狼煙(のろし)で連絡を取る算段やって」

「ふん、優秀じゃな」


「イオアネシ川を挟んでブリヤート共和国で、エリュ=エン川の東がヤクート共和国。

その東がチュクチ共和国になりそうや。

その南の半島はイテリメン半島と言うんやが、ルートモンクル、この群島のアイヌ族もおった。

アイヌ民国に加わりたいそうやけど、他の種族はどう思うかわからへん」

「うむ」


「黒龍川河口付近には、山丹人以外にも4部族おるから、話はしたわ。

ピンときてへんから根気よう話さんとあかんな」

「とにかくロシア蛮族の侵入を撃退したのはよし。

10年ほどかけて交易しながらというわけだのう」

「そのとうりや」


「ルソンはイスパニアから解放したぞ。

駐留軍の基地をつくっとるわ」

「そうか~良かった」

「九州の虜囚もまとめて抑留地も作っておる。

まあ、自分たちに作らせるけどの。

アステカやインカが解放できたら、イスパニアに乗り込んで返すつもりぞ」


「アステカは?」

「それよ、イスパニアは大洋を渡って交易しておった。

銀の延べ棒がべらぼうにあったわ

中国の絹や陶磁器と交換しておるようだ」

「大陸と?・・・あ、マゼランが立ち寄ったグァム島やロタ島が中継点か」


「ほう、そんな島があったのか」

「大洋には島がたくさんあるんや。

イスパニアの植民地になってるかも」

「南方諸島の先ぐらいなら問題ないわ。

指示を出しておこうず」

今世、ロシア人名などが関係しない地名になる

イテリメン半島(カムチャッカ半島)

アイヌ海(オホーツク海)

ルートモン列島(千島列島)

ユピック海峡(ベーリング海峡)

ユピック海(ベーリング海)

アレウト列島(アリューシャン列島)

アレウト語族とユピック語族の地方(アラスカ地方)

イヌイット語族(カナダ北部、グリーンランドの北極エスキモー族)

ナ・デネ語族(カナダ西部インディアン)

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