表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オイナカムイ伝  作者: 日川文月
50/100

第43話 縁談

天正8年(1580年)初春。

貴丸は織田家の私邸に呼ばれた。

大路小路が元に戻され、二條城は破却されて跡地を織田家が拝領、再利用された部材は、仙洞御所(せんとうごしょ)の建築にも使われている。


「どや、三法師や、かわゆいだろ」

「いつの間に、勘九郎に嫁と子が・・・」

「た~け、元服したら嫁を貰わずしてどうする」

「ふ~ん」

「ま、貴丸はまだ童じゃろうが」

「ギク!」


「まさかあっちじゃ無いだろうな」

「ごら!」

「とのさま、あのお話を・・・」

「う、うむ、どうだ、嫁を取らぬか、五歳程か下かと思うが」

「茶々様は、お市様の御子なのよ」

「ふえ!」


(マジかよ、淀の君か・・・)


「どうじゃ、お市様と新九郎殿が是非にと言ってきておるのだ」

「んん~~~~国が違うのは大きいわ」

「う、うむ」

「わいかて、嫁候補はメッチャおるんや」

「・・・うそつけ」

「ほ、ほんまに・・・一人おる」

「なんじゃ、そうならそうと早く言え、た~け」

「厳しいの~」


国が違うと言われ、お市様も新九郎様もあきらめたようだ。

貴丸という存在は織田家では大きなものになっている。

信長が勝手なことはよせと言い、それ以降の縁談は無くなった。


ーーーーーーーーーー


「イックシ」

「あれ、ヤイヌ、大丈夫?」

「なんでもない」

革の加工にはいろいろな手法がある。

ホンジが嫁の家族に大陸の方法を伝え、ヤイヌはすべてマスターしていた。

そして、発展させている。

「かかとに鯨の腱を使うのは良かったね」

「ん」


ケリの改良はタカマルとふたりでやったヤイヌの誇りだった。

スパイクという、鉄の歯も一生懸命工夫した。

他の女どもは、タカマルが知恵を喜ぶのを知らない。

工夫を見せたらタカマルが凄く褒めてくれる。


「帰ってきたのに、オイナとちょっとしか会えなかったでしょ?」

「いいの」

「ふ~、なんかね~」

「ハポは、ミチが帰ってこなくて不満?」

「うふふ、あれで、あたし以外には見向きもしないから」

「ん」


貴丸の幼馴染み、ホンジの長女ヤイヌは、1歳下だ。


(あたしは、オイナが思ってくれるだけで凄く幸せだもの)


ーーーーーーーーーー


「久しぶり~おしろいのにおいはのう~いいの~」


(慶治、最低やぞ)


「あれあれ、お兄さん」

「はひ!」

「もうもう、うちの乳をみてからに~」


(ひは~、バインバインやないか、こんなのありか~)


翌朝、五条河原で身ぐるみ剥がれて転がっていた主従は、なにも無かったことにしたのだった。


天罰が下ったのだろう。

多分。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ