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オイナカムイ伝  作者: 日川文月
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第37話 願い(1)

今更ですが、人によっては残酷と思われる描写がありましたので、登録キーワードを入れました。

戦争はやっちゃダメ、絶対に! と思う今日この頃です。

「前世、江戸幕府のお墨付きをもらった蠣崎が、アイヌの民から暴利をむさぼり奴隷のようにあつかうんや。

王政復古からは、和人が大勢乗り込んできてな、土地を奪いアイヌ人を絶滅間際まで追い込んでしもたんや」

「そやから、独立国にこだわったんやな」

「せや、おたがいに防疫をしっかりしてな。

社会全体で衛生観念を育てて清潔にすれば多少の病にも強くなるもんや。

・・・争っても殺し合いにならないように。

最後は酒を酌み交わして和解するような部族やのに・・・」


「・・・アステカ・インカを助けに行くかのう」

「父上、たくさんの軍船が必要でござる」

「然り」

「まず、今も南蛮人に苦しめられている南洋の国々や。

そして4年後にロシアの商人が滅ぼすシビル・ハン国。

そこで食い止めないとロシア人がこっちまで征服隊を派遣するんよ。

持ち込まれた病でたくさん死ぬんや」

「であるか」


「おっと大事なこともあったわ。

日の本は災害が多いやろ、地震が一番怖いよって、記録もされてたんや。

近々では天正13年7月に、大阪・京・伊勢・三河で大震がある。

11月は東海東山道、飛騨・美濃・近江で大地震が立て続けに起きる。


飛騨のあちこちで山崩れがおきて生き埋めや。

美濃、伊勢、京でも建物被害があったそうや。

淡海で津波が起きたり、長浜城が全壊しよるわ。

若狭・伊勢・三河で津波が起きて死者多数とまあ、酷いことやで。


歴史上の災害は大学で調べたことがあったんや。

その後も起きよるけんど、今後は、和暦がどうなるかわからへん。

西暦もあやふやなんやけど、思い出す限り書いてみたで」

「助かるのう」


「地震や野分は被害も大きいよって、日頃から災害よけの訓練も必要や。

地震がおきたら津波が来ると思って身一つでも高台に避難するこっちゃ。

火事も怖いで、木の家はようけ燃えるやろ。

野分は洪水被害や山崩れやな。

安全な避難所を作るのが一番や」


「このレンガ館は鉄筋も入れ壁も厚い、地震を思って建てたんか?」

「せや、釜石で製鉄ができるようになったさかいな。

まだいっち高価やけど、役所やなんかは地震対策せにゃ。

火事対策で道幅を広くしたり火除地を作るとかも、今後は必要やろう」


「山崩れしそうな村落は移動、城も必要ないのは破却して復旧資材じゃ。

長浜城はできたばかりで猿めが嘆くか・・・どんな顔するかのう」

「漁村や港湾は海から離れられん、船は遠くに避難するにしても、漁民は・・・」

「避難路の整備をさせるほかあるまい。

地震が起きたら火を消す、万一の荷物だけ持って避難路を一目散に逃げる。

そういう訓練を年に数度やれば良かろう。

早速に沙汰を出させよう」


「あんな、ワイが書いたものは厳重に管理してや。

騒ぐものもおるやろう・・・この地球儀もや」

「うむ、まかせい」

「貴丸、あの・・・帆が無くても走る船や、鉄砲や大筒はどうする?」


「南蛮人との戦に必要や、日本皇国陸海軍を組織するやろ?」

「そうなるのう」

「そやけど、強力な武力を持つ軍は国を乗っ取ることもあるんや。

為政者も頭を悩ませとる」

「疑心暗鬼も困るわな」

「ともかく、上層部で話し合おうず」

「越後や関東は治水工事で手一杯やろし、できることからコツコツや」

「「であるか」」

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