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オイナカムイ伝  作者: 日川文月
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閑話7 地方行政

天下が統一されたとしても、いきなり変わると言うことはない。

それでも、戦が無くなるという期待感で人々の表情は明るく変わっていた。

政治が庶民に浸透するのはまだ先のことだ。


いわゆる勝ち組とされた、各都州の府長に課せられた課題は大量にある。


「まずは、人材登用ですな、野に下った者達の中にも算関・記帳・殖産・交渉に長けた人材がおりましょう」

「うむ、募っておるし、伝手を頼って探し出しておるよ」

「与力となった領主の家臣からも徴用なさいませ、担当とすれば指示もよりよく伝わることでしょう」

「うむ」

「こちらが指南書になり申す」


大量の書物が、長持ちにぎっしり詰まっていた。


「こ、これが・・・全部であるか」

「多少読みにくいかも知れませぬ。

ペンというものにインクをつけ、横に書き記すのが今後の記帳ルールになり申す」

「ほ、ほう、左から右に読むのでござったか」

「インクはすぐ乾くのでござるが、うっかりするとインク壺が乾いてしまうのござる。

その時はこの揮発油をつぎ足すのでござる」


「ギヤマンの瓶とはまた、高価な物を」

「ペンはまだ改良が必要とのことでござるが」

「これは鋼でござろうか」

「金や銅、悪銅(ニッケル)を合わせた金属を薄くのばしておるそうで・・・」


ペン書きしやすく改良した美濃和紙を4つ切にしたB5サイズ程の規格紙で四百字罫線も入っている。

大量の書物は楷書の漢字かな交じり文で馴れれば読み間違いも無い。

数字はアラビア数字だ。


「これは数であるか・・・」

「表の桁が合わせやすく、貫・文・銭で印があり、間違いが無いのでござる」

「馴れるまで大変そうだがのう」

「馴れればかえって仕事がはかどり申す。

実感でござる」

「さようか」


まずは、役所改革、皇国府から各都州府あたり数名の指南役が出張していた。

検地は、田畑の耕作面積などだけでなく、州境や州内の行政区境、寺社街割など多岐にわたり、すぐに完了するものではない。

戸籍も、各行政区(市町村)にとりまとめる役所・出張所を設ける必要がある。

期限は10年だ。


田畑の規格化、東西南北を揃え1反(15間×20間)単位とする。

水利を整え用水路を設置。

街道や州内の道路の整備。

鉄道敷設の計画に沿った整備。

港があれば整備し、漁村があれば整備し、街があれば整備していく。


「ため息が出そうじゃのう」

「お察し申す。

なに、死ぬ恐れはないのでござる」

「ハハハ、そうじゃな、戦働きしか出来ぬ者は引き取ってくれるかのう」

「はい、軍隊を整備しておりますれば」

「よろしく頼むぞ、一番の心配の種じゃ」

「は!」

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