第31話 国家とは
近しい公家武将数人が集った信長様のお茶会、『国家』の話を振られた。
これから上層部で話し合わなくてはならない手始めだ。
「南蛮で言われておるという、国家とは?」
「領域を定め国民を定め主権を定めた国やな。
国名や国旗、長さ重さの統一やらも必要や。
国としての主義主張である国是も必要や。
すべての国民がそれらをわきまえておる国が国家として認められるのや。
日の本では、枡なんかも、年貢なんかも領主の都合で適当やないか」
「それはそうじゃのう」
「日の本すべての検地もせなあかんやろ。
あ、稲田の塩水選や正条植えはどないなった?」
「試田と同じく、めざましい結果でござった。
織田徳川領内で施行した田は収穫が3割も増えたのでござる」
「米一石が一反や言うけど、取れ高がそない変わる。
なら、統一された長さ重さで決めるのが筋やろ?
全国で揃えれば国税も平等になるっちうことや」
「「「然り」」」
「武田家で稲の改良を始めておる。
寒さに強い品種や病害に強い品種、野分に強い品種、収穫が多い品種、味の良い品種を集めて掛け合わせるのでござる」
「期待しようず」
「そういう国のためになる試みは国の費でやったほうがええよ。
10年20年掛かる地道なとり組みや」
「「「然り、然り」」」
「そもそもの石高制も変えるべきでござろうか」
「そうやね、南蛮では国毎に通貨を統一して銀高制にしておるそうや」
「それも決めねばな」
「政府が保障した通貨で経済をまわして国力を上げていく。
国力が高い国の通貨が高く国力の低い通貨が低くなるのや」
「為替の率が変わるのやろか」
「さすが今井様や、ようわかっとるわ」
「貿易はどないなりますのん?」
「物々交換よりも通貨支払いが便利やな。
どの通貨で支払うかもお互いの決めごとになるんや。
自然に安全な通貨になるわいな。
外国通貨やと国内通貨への両替が大変やけど。
国が定めた両替どころ、銀行が必要になるで。
通貨の発行も国でやるのが必然やね」
「いくらでも発行できるんやが、やり過ぎると通貨の値が下がるんやな」
「「「「へ?」」」」
「難しいのはわかったわな~」
「とにかく朝廷とも話し合わねば国旗も決められんのう」
「それはそうでおじゃろう。
そやけど、国旗とはええ考えでおじゃる」
「上様、以前南蛮の侵略の話をしたやろ」
「ああ、バテレンに話したら冷や汗たらたら青くなっておったぞ」
「ここはワイの土地やと旗を立て記録したら国がホイホイ認めるらしいんや。
まあ、日の本でそげなことしたら殺されるよってやってないんやろ。
けど、他では武力にものをいわせてやってるわい。
・・・やりつつあるのや」
「そげな無道が許されるのか!」
「かつての元国がやってたからじゃろうて、こわいことでおじゃる」
「逆に儂らもやれるということか?」
「さきほど無道とおっしゃったやろ」
「う!」
「できたら・・・日の本には侵略された国々を助けて欲しいのや」
「であるか」
南蛮に代表される海外の状況が今までの価値観を崩していく。
もう、日の本という井の中の蛙では居られないのだ。




