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オイナカムイ伝  作者: 日川文月
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第29話 救民

「ほい、ゆっくり食べや」

「ありがとうござる」


東北各地は一昨年来の冷害不作で備蓄米も底をつき、まったく抵抗できなかったことも攻略が早く進んだ要因だった。

痩せ衰えた弱小領主・領民がお助け米のおかゆと炊き出しに涙を流した。

後詰めの織田徳川の補給船が各地にお助け米や食料、綿入れ、木炭などの燃料を大量に配っていた。


「ああ、おいしゅうござる。

種籾にも手をつけるところでござった」

「その種籾は大事にされよ」

「い、いや、とても食えた代物ではないのでござる」

「南の旨い米の種籾と交配し、旨くて冷害に強い米になるらしいのだ」

「そげなことできるのでござるか」


「まあ、すぐにではなく。

地道な作業が必要とのことだ。

茎が短く太ければ野分に強い。

育ちが早いか遅いか。

粒が多いか少ないか。

交配した稲毎に記録を取り、さらに交配を重ねていくと聞いたのだ」


「・・・さようなことができるなればやるのみでござろう」

「我らの手ですばらしき稲を作り申そう」

「「「「おお~」」」」

「よろしくお頼み申す!!!」


ーーーーーーーーーー


「見てみい、羅針盤がぐるぐるしてるやろ」

「ふえ~」

「もののけか~」

「アホか、ここらに磁石、てか、鉄の鉱石がある証拠やぞ」

「そ、それは、まことでござりますか」


「嘘は言わん、ほれ、見てみいや」

「うわ!」

「ここらで山師に調査させるんや、あっこの川下に運び、高炉を作ればええぞ」

「はは~」


船で釜石に乗り込み、鉄鉱山を確保、アイヌでは石炭を改質した骸炭(コークス)を増産していた。


ーーーーーーーーーー


「こないな家ができるとは」

「三河の綿入れはこんなに暖かい」

「織田様の支配とはこないにもいいものであったのか」

「もっと寒い地で生きてきたアイヌの知恵やで、そこは間違えんとってや」

「「「「はは~」」」」


「調子狂うわ、とにかく、あんじょう生きようや」

「「「「うううう」」」」

「もう、泣くなや!」

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