第28話 北条恭順
前世では安土に城を築いた織田信長だが、今世では目もくれず。
岐阜城に居座っている。
できあがったレンガ館に家族と共に案内した。
「なんと、地下に汽缶というものがあるのか」
「沸かした蒸気を鉄管で各部屋に巡らして温めておるんやで、ぬくいやろ」
「そういうからくりか、ほんに知恵が回るのう」
信長は合理主義者だ。
納得すればどんな物でも受け入れる。
「鉄筋はともかく蒸気が漏れない長い鉄管は苦労したみたいや。
鉄砲の筒を熱してたたいて伸ばして行くみたいな造り方でできたんやって。
ほんま優秀やわ。
湯もたくさんできるよって、毎日風呂に入れるで」
「檜の大きな湯船なんぞと贅沢なものじゃにゃ~か」
「便所も贅沢やで、チリ紙で拭けるんも贅沢の極みやで」
「うむ」
「父上~一緒にお湯に浸かりたい~」
「う、そうか、なら、貴丸も入ろうず」
「ひえ!」
「なんじゃ、尻を押さえて」
「うう~」
「貴丸も一緒でうれちい」
「嫁にするか?」
「はう!」
(幼女やん!)
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「伊豆は徳川に取られたか」
「油断していたのでは」
「こら!」
「里見が九鬼水軍に撃破され、湾も封鎖されておりまする。
援軍も送れぬ始末で申し訳もありませぬ」
「そちのせいではないわ、控えろ」
「はは~」
小田原評定の欠点、動きが遅く後手後手に回って締め付けられていた。
「武田じゃ、武田がふがいないばかりに・・・」
「過去を嘆いても致し方ないわ、このままではじり貧ぞ、北からも・・・」
「南部は武田の庶流じゃ、宗家が攻めてきたら従わざるをえないのう」
「父上、この際、右府殿に恭順してはいかがかのう?」
「う、うむむむ・・・」
「畿内と東北はすでに・・・越後の長尾も尻尾を振ったとなれば」
「名を捨て実を取るか」
「すでに足利は武家の統領ではありませぬゆえ」
「新九郎が嫡男じゃ、思うようにせよ、儂は隠居するわ」
「はは~」
関東の雄、北条家も舵を切った。
織田・徳川に従い関東進攻の先陣を切ったのだった。




