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オイナカムイ伝  作者: 日川文月
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第27話 越後同盟

「・・・さて、越後の長尾が越中の一向一揆を攻め滅ぼした知らせが届いた。

関東管領の上杉、古河公方、上野下野や常陸の諸将、相模の北条に・・・」


織田家の評定、貴丸は信忠に捕まって無理矢理出席だ。


「越後は恐らく関東を狙っておるかと推察致す」

「然り、上杉の養子となっておりますれば。

長尾景虎は北条と戦端を開くつもりでござろう」

「長尾景虎は山内上杉家の家督の正式な後継者と目されておるがのう」

「貴丸はどう思う?」

「うう~、じゃ、越後も関東も信濃川、荒川や利根川の治水をやれば、豊かな国になるのに、戦ばかりして民を苦しめてると思う」

「であるか」


「越後の長尾と同盟組めばいいやん。

加賀一向一揆を鎮める大義があるやろ」

「然り!上様、それが早道ですぞ」

「ほう、権六もそう思うか」

「加賀の民は苦しんでおりまする。

逃げ出す一向宗徒も数知れず。

糞坊主どもから解放してやりたい思いで、ほんに、うががが~」

「ひう!」


「ハハハ、優しき権六の思いは受け取ったわ。

長尾への使いを出そうず」

「某にお任せあれ」

「うむ!」


越後の軍神、長尾景虎(上杉謙信)も東北からの脅威は感じていた。


「もはや、本家の公方様も古河公方様も頼るにしかずか」

「右府様は主上と同じく、天下万民の為を思っておりまする。

越後は治水にて天下の米所になるとおおせでござる」

「ん、なんと?」

「さすれば、これをご覧くだされ・・・」


地図に信濃川の川筋と日本海への水路の計画が記されてある。

信濃川から分岐する中ノ口川の開削は手をつけやすく、前世でも1397年に直江兼続が行っていた。

前世で大規模なのは、江戸時代に計画され明治時代に工事が始まった大河津分水と関屋分水だ。

関東は利根川を東に瀬替え、荒川を利根川から分離させ川筋を安定させる治水工事が江戸時代から続けられていた。

川筋が暴れるから被害が出るのであって、水量を調整し堤防を築くことで安定させるのが治水の要点である。


「・・・分水か、このような大規模な治水が可能なのか」

「平和になればこそでござろう」

「うむ!」


一気に増えた領国の経営に邁進していた徳川家も余裕ができ、同盟に参加。

東西南から圧迫された加賀一向宗が暴発、北の能登半島に進攻(悲惨な食料強奪)したのだった。

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