第26話 東北南進
「むむむ、これはなんとしたことか」
領国をやっと統一し、安堵していた安東愛季は、織田信長からの書状を握りつぶし吠えた。
「殿、こうなったら是非もございませぬ。
公方様にお味方を・・・」
「あれにはもうなんの力も無いわ・・・蠣崎を呼べ。
大浦や南部にも連絡じゃ」
「はは!」
呼びつけられた蠣崎も歯がみ、とうてい納得できるわけがない。
毎日のように重臣達と善後策を協議し、朝廷にも訴えたがけんもほろろ。
織田信長は長島一向一揆攻めでとりつく島もなかった。
「もう冬だ・・・いずれにせよ春にはいちど京に上ろう」
「しかしながら、期限が限られており・・・」
「冬に攻められるわけも無し」
「「然り、然り」」
蠣崎氏は和人地に戻り、とりあえずの戦準備をしたものの、重臣達も不安なままの年越しだった。
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「静かに退避や」
「ああ、やっとか・・・」
「女子供は先に待ってるよ、ニセコのユにいけば会えるよ」
「うん、あそこはいい」
和人地近くの4つのコタンからアイヌ人が消え、かわりに武田・朝倉・浅井の連合軍千人が布陣した。
「この氷の家はぬくいのう」
「アイヌ人の昔の家も雪に埋もれたらそない寒くはないのう」
「厠は辛いがなあ~」
「「「「ハハハ」」」」
「まあ、すぐに出陣じゃ」
「「「「おお~」」」」
武田伊奈勝頼、朝倉孫次郎義景、浅井新九郎長政、軍監の滝川左近一益。
九鬼澄隆は津軽海峡を封鎖するために援軍を乗せた軍船団を出航させた。
正月4日、突如海上に現れた軍船団が港を封鎖した。
気を取られているうちに白い皮衣を身にまとった軍団が和人地に進軍。
蠣崎の家臣は何もできずに降伏した。
「お主が、蠣崎か?」
「こ、このようなこと、許されるものか!」
「すでに期日は過ぎた。
蝦夷地から退去せよとの右近大将様からの命に相違なかろう!」
「そ、それは」
「殿、どういうことでござるか?」
「何、安東より知らされておらぬか。
それはせんなきことじゃのう。
蠣崎は我らと共に津軽への従軍を許すなん」
「・・・は、はは~」
武田勝頼達はにやにや黒い笑み、まずは津軽港に攻め込む用意を始めた。
その後は一気呵成、津軽の大浦、陸奥の南部を責め立て、旗下に従え。
安東の本拠、出羽も飲み込んでいく。
奥羽の諸将は北からの進軍にひとたまりも無く降参していった。
春には発田氏、最上氏、伊達氏、蘆名氏、相馬氏などの諸将を北から圧迫するようになった。




