第19話 アイヌ総決起集会
元亀3年(1572年)春。
傳二郎は、交易先々の部族に声をかけ、ニセコに主要コタンの長を招いた。
温泉を楽しみ、酒を酌み交わした翌日に、話し合うためだ。
広い宴会場の壁に美濃和紙を貼り合わせた巨大な日本近海地図を貼った。
「まず、コレ、チズをみてくれ」
「な、なんじゃ」
「それは・・・モシリか?」
「そうだ。
アイヌモシリはここでシャムモシリは3つだ。
シュムクルはここらから逃げてきたのだろう?」
「うむ、かもしれんが」
「戦いに明け暮れておったシャムの国がもうすぐまとまるようだ。
我らの10倍の10倍の10倍のコタンがあるぞ」
「「「「なんと」」」」
「シャムの大軍に攻め込まれたらどうなる」
「大軍に勝ち続けるなんてできないぞ」
「そうだ・・・我らで争っておる場合ではない」
「だから、今のうちに、力を蓄え和人を追い返す」
「しかし、交易はどうするのだ?」
「和人の首長と交易をしとる。
和人地におる和人は下っ端の下っ端の下っ端じゃ」
「「「「へ!」」」」
「そやつらは、我らから奪っておるぞ。
和人の首長とサケの2樽で交換しとるのがこれだ」
布や糸、刀を見せる。
「「「「え!」」」」
「それは10樽ではないのか?」
「自分の懐に利をため込んでる。
和人の首長に討伐される運命だ。
わしらはアイヌの国を認めるように申し入れた。
返答を待つ間、大同一致して国力を上げる必要がある。
みんなに集まって貰ったのは心を一つにしたいからだ」
「どうすればいいのだ」
「まずは、和人がコタンに来ても歓待しないこと。
追い返して欲しい」
「しかし・・・」
「だまされるだけだ。
国土を守ると言うことを第一に考えて欲しい」
「和人の首長との交易は増やす。
が、油断させるため和人地との交易はいつもどおり続ける。
10の冬を越えるまでには、こやつらをシャムモシリに追い払う。
和人の首長との交易はわれらにまかせてくれ、今以上の利になる」
「「「「お~~~」」」」
「武器も蓄えておるし、スマチセや道具などの知恵を教える」
「いいのか?」
「アイヌの底力をあげていくことが10年の計だ。
コタンを増やそうではないか」
「「「「異議はなし」」」」
「とにかくは、このチズにコタンの位置と人数を書き入れたい。
現状を把握したいんだよ」
「・・・これは文字なのか?」
「そうだ、話し言葉にあわせた書き言葉を考えた、タカマル」
「うん」
アイヌ語の5母音と12子音で約60音をカタカナと記号(濁音、半濁音、縮小)で表す。
数字や記号はアラビア数字など流用し、表音文字を考案した。
「話し言葉をそのまま書けるようにした。
数字の計算も教えるよ」
「頭の硬い年寄りにはムリじゃ」
「若者に教えてくれ・・・オイナカムイよ」
「そうじゃ、オイナカムイと認める」
「我らを導いておくれ、オイナカムイ・タカマルよ」
長達が立ち上がって最上級のお辞儀をしたのだった。
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「今度のチセは大きいな、学校でもあるか」
「うん、各部族から調査員を組織するよし」
「交易の方はまかせてくれや」
「とにかく、織田様は上手くやると思うよ」
「うん、うん」
「10年は走り続けようね」
「ふう~わかったわい」
「ありがとう、ミチ」
「ハハハ、楽しみやで」




