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オイナカムイ伝  作者: 日川文月
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第17話 特産品

「綿花にこれほどの価値があるとは知りませず、まことにありがたい」

「まだまだ足りないよ、綿入れを作りたいんだ」

「綿入れとは」

「綿をほぐして叩いてからませて布で包む、こういうのを作りたいんだよ」

「これは、なんと軽い」

「これは水鳥の羽毛が入ってるけど量が作れないんよ。

木綿がたくさんあれば、安くなって庶民にも広がるわい。

冬の寒さをしのげるで」


徳川家の大久保彦左衛門は、若いけど商い関係の差配をしていた。

同盟国の徳川氏には尾張・美濃で作った火薬を融通、麻綿絹糸と交換している。


「お手数でござるが指導いただけないか」

「いいよ。

お金持ちには絹布で豪華に、庶民は綿布でそれなりって感じ。

めっちゃ売れるかもね」

「めっちゃ?」

「あ、ものすごくたくさん」

「はあ」


やがて、布団は三河の特産品になり、徳川家を大いに潤すことになる。

伊勢の椿油から作ったシャボンが高級品としてもてはやされている。

織田徳川の勢力範囲では楽市楽座のおかげか、すさまじい勢いで物事が進む。

堺にも関船で移動して、超高級品の蝦夷錦などの唐物を安価で卸した。


「ほんまにええのんでっか」

「織田様と繋いでくれた恩義も大きいでな。

越前がああでは高嶋屋も苦しいよってその分あんじょうしたってや」

「そこはおまかせくだされ、職人達は役立っておりますやろか」

「そりゃもう、生き生きと働いてまっさかい。

このイタガラスや台鉋は成果や」

「もしかして、ギヤマンもあんさんとこで作ってたんどすか?」

「せや、イタガラスはギヤマンよりも難しいで」

「そりゃわかりますわ~」


台鉋は大工や指物師に披露したら売ってくれと大騒ぎだった。

この当時は、木材を平らに仕上げる台鉋が無かったので、前世知識を職人達に伝え、完成させた。

注文をとり、追加の道具や材料を仕入れて津島に戻り、集めた貿易品を積み込んで帰郷した。

次は8月末、9月には「比叡山焼き討ち?」があった。

史実では悲惨な根切りが行われたと記録にあるが真実はわからない。

後の偽政者が事実をゆがめたり間違った認識の元に書かれていることもある。


織田軍は坂本を包囲して逃れる女子供や上人や学僧も保護し、武装僧兵は捕らえて詮議、一部の過激坊主が火を掛けてしまった。

朝廷もそのことを憂いはしたが織田軍のやりようには納得していた。

大騒ぎしたのは公方、織田包囲網の黒幕ではないかと不信感は極まったのだった。

一方、甲斐国の武田信玄は電撃的に駿河に進攻して併合。

年末に、敵対していた北条との甲相同盟を回復させると徳川領への侵攻を開始したのだった。

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