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オイナカムイ伝  作者: 日川文月
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第15話 帰郷

「帰りたい」

「「「帰りたい~~」」」


敦賀では持ち込んだ食い物がなくなって、みんな緩くなっていた。


「狩りにもいかれへんし、なんか味気ない鳥ばかりや」

「もう少し待ってや、職人家族が来るまで」

「「「「ちぇ~~」」」」


高嶋屋も大型の関船を数隻運用していて、200石積みを手当てしてくれた。

持ち帰る大量の交易品の積み込みもはじまっている。

移住する鍛冶師や大工は7家族31人、戦禍を逃れて堺を頼った家族は戦のないことに心を動かした。

すでに、カラプトモシリに職人コタンを作り始めている。

準備が整ったのは5月初旬、天候も問題ない時期だ。

出航するとアイヌ人達も元気が戻り、関船に前後して案内、航海は順調だ。

和人の水夫と持ち場を交換して訓練もした。


「ここがワイらの拠点のオタ・オル・ナイや、深いからこっちも接岸はできそうやけど、それには港の整備が必要やな。

降ろす荷と持ち込む荷をワイの船で運ぶさかいな」

「へい、のんびりしてまっさ」


2日ほど停泊、当座必要な保存食糧や交易用の硫黄の樽を運び込んだ。


「オペリ連れてカラプトで待つってか、ううう」

「すぐ会えるんだから泣くなよな」

「そんな~」


若干一名、泣いていた。

樽が足りなくなるほど採掘が進んでいる、

敦賀で買い込んだ樽を下ろしたら、みんなの顔が引きつった。


「ま、頑張ってくれや」

「「「ふわ~い」」」

「倉庫がもう一棟は必要かな」

「「「ふわ~い」」」


ーーーーーーーーーー


「ハポー」

「あらあら、もう~」

「あれ?太った?」

「キャハハ、これよ」

「おお~嬉しいわ~」


(オリンピックじゃあるまいし4年おきかよ)


「ニイ」

「おお、かわいいオペリ」

「ニャハハ~」

「タカマル、たくましくなったわ~」

「うんうん」


祖父母もニコニコ、元気だ。


「窓を見てごらん」

「え?あ、イタガラスだ~できたんだね」

「たくさん作りたいんじゃがな~」

「職人を連れてきたから、凄くはかどるよ」

「そうか~」


5寸四方木枠に嵌めこんだ格子状の窓ができていた。

やりかたは教えたがここまでするのには苦労しただろう。

貴丸は祖父母に抱きついた。


「すごいよ、すごいよ」

「タカマルの方が凄いわよ、良い子、オイナカムイの生まれ変わりね」

「職人達のコタンは少し離れているよ。

水車の候補地じゃ」

「うん」


コタンは様相が変わっていて、スマチセが立ち並んでいた。

工房には動力として水車を作るつもりで場所を選んでいた。


(高炉には水も必要だからね、多分)

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