第14話 メシテロ(2)
「殿様、こちらに」
「なんじゃ、このざまは?」
「アイヌ風の夕飯なんやて」
「ほう」
「奇妙様が肉食に興味があってこうなったんや」
「おい、儂のせいにするな」
「ええやん、家族で鍋を囲むのがあたりまえなんやで。
上座に家長夫婦が並ぶのはいっしょやな」
「であるか」
「ささ、始めましょ」
「じゃあ、肉と野菜を煮込んでいきますわ」
「作りながら食べるのか」
「そういうときもあるんや、こっちは唐揚げや」
「唐とは大陸の料理か?」
「そうや王寧に習ったかな、てへへ、熱いよって気をつけてや」
「と、殿、毒味を・・・」
「へ?」
「アイヌ人は毒味をしないようだのう、だからだまされるんじゃ」
「あ~~そうか」
「さっき、つまみ食いしたし」
「であるか、うん・・・ほうう、肉汁が・・・はふはふ」
「さあ、みんな、箸をつけなさい」
「「「「はあい・・・うみゃい~~~」」」」
(もう一人の美人が側室かな、子供はわからんわ)
「あ、そろそろ、殿様からよそいますわ」
「野菜や肉を煮込んで食すのか」
「はい、このつけ汁で食べてや」
「お、おう」
「お方様もどうぞ」
「おありがとう、貴丸は?」
「ワイは後でええの、こうやって鍋の差配するのが鍋奉行やで」
「「「「鍋奉行?」」」」
「アハハ、和人のえらい人やろ」
「それは面白いのう、そちを鍋奉行に命ず」
「はは~~」
「「「「アハハハ」」」」
「「旨い~」」
「うむ、このつけ汁で味が引き立つな」
「奉行様、よそって」
「はいはい」
「おかわり~」
「はいはい」
「儂にも」
「奇妙様は唐揚げも焼き鳥も食いすぎやろ」
「旨いから仕方なかろう、はよう」
「はいはい」
「鹿肉でもやるのか?」
「そうやな、蝦夷にはこのような野菜はないんやけど、山菜を入れ、醤油もないよってつけ汁は使わん、今日は特別や」
「それでは塩気が足るまい」
「アイヌ人は塩気をとらん、寒い気候に馴れて汗をかかんからかもしれんわ」
「であるか」
「京の料理は物足りないというんやが、わいらにはまだ塩っぽく感じとるわ」
「そうか?」
「今日の料理やけど塩はほとんどつかってまへんで」
「物足りないどころではないわ、だいぶ食が進むわ」
確かに信長は何度もおかわりを要求していた。
健康のためには良い。
「おいしくてくるちい~~」
「アハハ、楽しいやろ」
「うん、父上と一緒に食べれてうれちいわ~」
「そうか、よしよし」
「えへへ」
「そろそろ、メシを入れますわ」
「え?」
「残り汁に炊いた飯を入れて雑炊にするんよ」
「ほう」
信長もお方様達も子供達もガツガツ食べて、帯を緩め満足したのだった。
「貴丸は雑炊は食わんの?」
「ワイは食べ慣れんわ、なんか緩くなるんや」
「何が?」
「尻から出る奴や」
「やだ!」
「聞くからあかんの」
「「「「アハハハ」」」」
その後、城下にも鍋や唐揚げ焼き鳥が広がり流行になったらしい。
信長公の食生活も改善されたようだ。




