第12話 茶話(2)
「アイヌにはお金もないわ、物々交換だけや」
「貨幣もないのか・・・」
「無いけど豊かに生きていける。
そやけど、災害や疫病があったら、被害は計り知れないんや」
「貴丸は心配性やな」
「ミチ、ほんま言うとワイらは命がけやで。
和人と交流しとるけど、痘瘡やらの病を持ち帰ったら全滅やで。
シャボンもまだ普及しとらんし、寄生虫病もあるやろ」
「うう~む」
「貴丸よ、そんなに危険なのか?」
「遠く離れた種族が接触すると、必ず起こることや。
元国も南蛮から撤退したんは地方病にやられたからやと聞いたわ。
イスパニアやポルトガルはココに攻め込んでインカ帝国やアステカ王国を滅ぼしたんやけど、武力だけやのうて病を持ち込んで現地民の9割が死んだらしいで。
カリブ海の島々も軒並みや」
「なんやと!」
「そげなむごいことをして・・・」
「あ奴らの話は耳に心地よいが」
「嘘は言わないやろが真実は言わんわ。
ローマの坊主は異教徒は殺しても神の御心にそうと虐殺を奨励しとる。
異民族などヒトではないから奴隷にしても良いそうや。
南蛮商人は九州で和人を奴隷として連れさっとるらしいで」
「ほんまか?」
「王寧が言っておった」
「そやつは?」
「明の商人やが日本に来たらだまされて無一文になったそうや。
敦賀まで流れ流れて、縁あってワイが拾ったんや」
「う~む」
「イエズス会はローマ正教の先兵や。
征服する国に潜入して弱点を探り、狂信者を育てて勢力を伸ばしたら一揆を起こす密命があるそうや。
なかにはほんまに無私無欲の坊主もおるさかい、どこぞの仏教徒と一緒やな」
「坊主は信用できんな」
「ローマの坊主は南蛮の国々に税を納めさせておったんやけど、イングランドやギリシア、ロシアは、国教を定めて税を納めないようにしたんや。
ドイツもか。
ローマの坊主は怒って税を納めてる国をけしかけて戦争や、金はあるさかいな」
「父上、どこに正義があるのやろか」
「欲しかないのう、無様なり」
「織田様、悪いのは金満坊主や。
宗教の教えはまともなのに・・・だまされとる信者が一番可哀想やなあ。
一向宗もやけど、坊主に力を持たせたら腐るのは古今東西の習いやな」
「うむ・・・考えなくてはいかんのう」
「生臭坊主は殺してもかまわんやろけど、だまされとる信者を助けたってや。
いつかはわかるやろし」
「小僧!頭が高いわ!」
「ひい~~~」
「父上!儂も同じ意見や、許したって」
「であるか、なら許すなん、いろいろすっきりしたわ。
傳二郎、貴丸、大義であった。
じゃが、アイヌ国のことはまだなんとも決められんわ」
「よろしゅうござる、織田様が日の本の全てを従えるまで・・・協力致す」
「うむ、奇妙、貴丸と遊んでやれ」
「はい!」




