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スカイの人探し―3―

日に日にクリスマスが近づいてきて、私の心をえぐる……。

「わー!これがスカくんの部屋なのかー、すごく……なんというか……」

「素直に言えば?」


 オレの部屋に入ってきた途端に、バローナ先生が言いたそうにしていた。

 それは、おそらくオレの使っている部屋の惨状についてだろう。当たり前だ。片付けていないんだ。

 本を漁って、寝るときは机で……。それはここ数日だけで、いつもはキレイにしているさ。


「汚いね……いや、汚くはない。散らかっているんだよねぇ……」

「いつもは片付いてるから、今だけだから」


 それだけは勘違いしてほしくない。

 なんか、バローナ先生にネタにされそうなんだ……。そういうの好きな先生だから。


「そうしとこう!はやく、スカイくんの新しい魔法理論を創り出す様子見てみたいし」


 バローナ先生が己の欲望に忠実でよかった。このまま部屋が散らかっているのをネタとして覚えていなければ、尚更いい。


 そう考えて、魔法理論を創り出す前に世に出していない少しばかり危険な記憶を操作するものを使わいまま、作業をはじめたのだ。


 オレが新しい魔法理論を創り出すうえで苦労していてつまってしまっているところは簡単。それの効果範囲だ。

 従来の最大の効果範囲では学園都市全体すら探すことが出来無い。それをどうやって広げるか。

 もし、広げることができたらその理論を他の魔法に組み込んでもいいだろう。


 効果範囲を指定している理論は、これまでの歴史の中で最適化されてきたもので、安全に速く処理することができる。

 ……あ。

 最適化されてきたものなら、いくつもの形の理論があったはずだ。過去には、範囲が広いが危険なものとか、処理速度が遅いとかするやつが。

 ないはずがない。だって、効果範囲の拡大は魔法理論を研究してきた人間なら必ずと言っていいほどぶち当たる壁であり、研究対象だ。

 少しでも広げられれば、それだけ魔法理論の幅が増えるのだから。


「バローナ先生、暇?暇だな!」


 そう気づいたら、資料の中から過去の効果範囲についてのものを探し出さないとだ。

 せっかく多少は魔法理論の知識があるバローナ先生が自ら来ているんだ。使わない以外に道はない。


「は、はい?え、うん」

「そこらの山の中から効果範囲について書いてある資料を探し出してくれない?」

「りょーかい!」


 バローナ先生は早速山に飛び込んでいくように資料を探し出した。

 オレも探さないと……。

 一冊、また一冊と見ていくけど、なかなか見つからない。

 少し威力を上げたとか、そんなちょっとしたことが書いてあるのは捨てるほどあるんだが……。

 

「こ、これはどうかい?スカイくん!」

「どれ、みせて……!」


 黄色い表紙の本を開いてパラパラと数ページめくると、何かそれらしき内容が書いてあった。


「さすが、先生!引き続きよろしく!」


 見つかれば読み込んで、理論の組み立てる材料をさがさなければ!


 日が沈んで月が空の真上に登ってくる頃、やっと効果範囲を広げたものが完成した。

 効果範囲は、学園都市の半径と同じくらいの半径十キロ。精度とかはそのままに、効果範囲だけ広げろことができた。


 創り終わってから気がついたことだが、学園都市レベルのサイズが探せれば、大抵の街なんかは楽々と探すことができる。でも、大は小を兼ねるって言うからな、広い範囲を探せることは悪いことじゃない。


「終わったねぇ……。疲れたねぇ、教師使いが荒いねぇ……」

「そこにいたんだ。帰っても良かったけど?」

「それはぁ……できないって。目の前に天才がいて、その手伝いができてるんだよ?」

「そう?」


 完成したということで、オレとバローナ先生とお茶で一息ついている。

 明日はフェーラーにこの魔法を伝えて、フェーラーが探すときに役立つようにしてもらおう。








 翌日、カイルがいたという情報があったという知らせは、ウィルから知らされた。

 知らせによると、カイルはオレを探していたようだった。なぜかはわからないが、誰かの指示で探しているらしい。

 リーデル家以外にもオレを探す必要のある人たちがいるんだろうか。


「スカイくんの情報をそれとなくながしたら、学園都市に向かってきているみたいだって」

「そうか……。タイムリミットはどうか……」


 カイルが見つかったということで、オレの創った魔法は用なしかぁ……。


「ただ、そこからここまでは一週間くらいかかってしまうって父さんが言っていたよ」

「一週間……か」


 用無しなんかじゃなかった。今からフェーラー呼んで、フェーラーに迎えに行ってもらおう。

 フェーラーの魔法なら、どうにか出来るだろう。

 オレが何もない空間に呼びかけてすぐに出てくることができるんだから。フェーラーなら、カイルと面識もあるだろうし。


 オレは建物の影に隠れて、周りに人の気配がないことを確認してから、フェーラーを呼んだ。


「はい、スカイ様」

「なんか怖い……」

「いきなりなんでございますか……。呼んだ、ということは何か進展があったのですね?」


 察しがいいし、行動も速い。アッシュさんはいい執事をもったよな。


「カイル王子が見つかった。ただ、ここから少し遠い距離の場所らしい。フェーラーに迎えに行ってほしいんだが、できるか?」

「えぇ、わかりました。では、行ってまいります」


 フェーラーはオレが瞬きする間に目の前から姿を消した。

 場所とか聞いてこなかったけど……。大丈夫なのか?いや、フェーラーだから大丈夫なのか。







 部屋のドアがノックされた。


「フェーラーです」

「どうぞ」


 帰ってきたという事は、カイルが見つかったんだろう。それで、連れてくることができたんだろう。

 その通りで、ドアを開けて入ってきたのはフェーラーと、コアに雰囲気が似た少年――カイルだった。


「はじめまして、スカイ様。カイル·オスフェリアと申します」

「細かいことは後にして、コアに会いに行くよ。コアが大変なんだ」


 まだ日は高い。カイルを連れて行くのなら今すぐにだろう。


「コアが?!ど、どういうことですか!」

「向かいながら話す。それでいいだろう」

「わかりました!」



 アルカナ地区にあるニカさんの家を目ざしながらオレはカイルに今のコアの状況を話してやる。すると、カイルからアッシュさんより詳しいコアの初めて強い影響を受けた五歳の日のことが聞けた。

 カイルがコアを助ける方法を教えてもらう対価は、オレを探すことだった。それを指示したのは、当時のカイルと同じくらいの少年だったらしい。その少年は名前を名乗らず、カイルは師匠とよんでいるようだ。


「ここが、コアがいるニカさんの家」

「ここが……」


 兄妹は再会を果たす。

読んで下さりありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。


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