スカイの人探し―2―
春になるまでは不定期とさせていただきます。
「へぇ……オレを。いいよ、確認して」
「なら、させてもらおうか。では……」
なんで今更探すのかを知りたいからな。確認という行為で必ずしもそのことがわかるわけじゃないが、材料にはなるだろうからな。
「基本的なものからだ。名前はスカイ·リーデル、合っているな?」
「合ってる」
「あちらが出した誓約書に書かれている特徴、灰色の髪に濃い赤の瞳、子供のような姿」
「合ってる」
子供ってさ、子供ってね?もう何人の人に言われたかわからないくらいいわれたわけだかな?ニカさんにも初対面で言われたがな?あんまりにもひどいんじゃないか。
だって、今回子供のような姿と誓約書に書いたのは、うそじゃなければリーデル家の人間。つまりは血縁だ。血縁にそんなふうに書かれたら、悲しいじゃん。
悲しい……?久しぶりに感じた。
少し前まではほとんどの感情を感じないで、機械みたいに死に行くことを繰り返していたから……。
いい傾向なのかな。
「リーデル家の十五代当主。合っているか?」
「あぁ……合ってる」
ま、それしか覚えてはいないんだけどな。そのとき何をやっていたかとか、どんな交友関係を持っていたのか、なんで覚えてないのか。
本当に不思議なものだ。忘れたことを覚えているなんて。
「なるほど……」
ウィコックはすべて聞き終わったのか無言になった。頭の中で色々理論でも構築してるんだろうか?いや、理論は魔法理論を考えるときだ。これは考察というものか。
そんなに時間がかからなくて良かった。急ぎだっだから、目的以外のことで時間を取られては無駄というものだから。
「なるほどな。ありがとう」
「別、それくらいは……。変な確認もなかったし」
「もう帰っても大丈夫だ」
「じゃあ……」
オレはアーバン邸をあとにした。
次はフェーラーにでも協力してもらおう。コアから自分の記憶を消したとしても、今でもコアのことを大切に見守っているみたいだから見つかれば協力してくれるだろう。
「フェーラーいる?」
なんとなく、なんにもない空間に話しかけてみる。探さずしてフェーラーが出てきたら手間が省けて楽だし。
出てこなかったら十中八九コアのところだろう。
「……いますよ、スカイ様」
「本当に出てきた……。久しぶりだな、フェーラー」
前にあったときと変わらず、執事服を着こなしているこのエルフはオレに向かって恭しく頭を下げた。
……そういえば、フェーラーもリーデル家の血筋でオレを探していたんだっけか?コアの件が終わったら詳しいことを聞いてみよう。そうしたら、今更の理由がわかるかもしれないし、オレのこともわかるかもしれない。
「スカイ様も雰囲気が柔らかくなられて……事情は察しています。カイル様のことですね?」
「あぁ、すぐに探し出さないと……」
「承知しております」
「頼む」
「はい。では、失礼いたしますね」
風が吹いたかと思うと、目の前からフェーラーの姿は消え去っていた。さすが風を扱う種族、エルフだ。
頼めるところは頼んだ。あとはオレはオレでできることをしなければならない。
だが、今オレにできることって?情報のことならウィコック、フェーラー。コアのことはニカさんに。
オレも探すか?
その時オレはひらめいた。探知すればいい。
この世の中には魔法という素敵なものがあるじゃないか。魔法理論を少し変えるだけでその性能は無限大の魔法が。
何もしないよりはマシだ。
幸いオレには魔法理論に関して、膨大な知識がある。そして、それを使って望みのものを創り出す力も。
「使えそうなのは……"気配察知"、"魔力視"、そんなところか」
気配察知は本来は敵などを察知するだけだ。だか、少し変えてやれば対象の人物を探し出すことがでかるようになるかもしれない。
魔力視だって、自分の魔力や相手の魔力が見えるだけというイマイチな魔法だが、魔力を目印にして探す手がかりに使えないだろうか。
コアと兄妹だから似た魔力を持っているだろうし。
「よし……!」
結果だけを言うと、"気配察知"と"魔力視"を改造して組み合わせた魔法、"探索"はできたといえばできたし、できなかったといえばできなかった。
範囲が狭いのである。これでは、学園都市全体すら探すことができない。範囲を広めることができなければ、役に立たないただの意味のない魔法になってしまうのだ。
「どうしたものか……」
「なやんでるんだねー?スカイくん」
机に倒れ込んで落ち込んでいるオレに声をかけてきたのはバローナ先生だった。
こういうときにこの口調はイラッとする。
「新しい魔法が思うように行かなくて……」
「ん?新しい魔法といった?いったね?え?」
「なんだよ」
「どんなすごい研究室と一緒に開発をしているんだね?ぜひ、先生にも紹介してほしいなぁ……」
ん、何言ってるんだ。この先生。
魔法を新しく創り出すことは一人でできる。あぁ、そうか、それは一部だけで、ほとんどは研究室という団体になって長年かけて創り出すんだっけか。
「一人だけど……」
「ウソだぁ!一人でなんて不可能だよー」
何を言っているんだとバローナ先生は全くと言っていいほど、オレが一人で創り出せることを信じていない。
「魔法理論はオレの専売特許だ。信じるも信じないもどうでもいい。じゃ……」
「あぁっ!信じるからぁ、その作業みせて!」
「は?」
「だって、貴重だろう?一人で創り出すことができるなんて。だからさ」
面倒くさいが、邪魔しなければいいか。オレがいなくなっても魔法理論を知り尽くしている人間がいれば安心できる。バローナ先生を鍛えようか……今はそれどころではない。
「いいけど、邪魔しないで」
「もちろんさ!」
次回もよろしくお願いします。
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