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魔法と剣

トリックオアトリート!

シリアスにかけないんです。かきたいんですけどね……。

 ある日のある授業中のことだ。


「そんな優秀だと、先生泣いちゃうよ?ねぇ、泣いちゃうからね?」


 バローナ先生はわざとらしく顔を手でおおって泣き真似をする。ことあるごとにこうなるから面倒くさい。それだけじゃなくて、チラチラとこちらを見てくるのがさらに面倒くさい。

 例えば、この間は猫人族であるギラが高い身体能力を見せたとき。バローナ先生は同じようなことを言っていた。

 確かにギラの身体能力は平均と比べてもずば抜けているから優秀だと言うことに異論は無いのだが、言い方と態度がね……。


「え?先生大丈夫ですー?」


 今回のバローナ先生のああいったことになった原因であるエスデスがバローナ先生を心配して声をかける。エスデスって失言を良くするけれどそれは純粋な心から来てるものみたいだからこんなバローナ先生にも心からの心配をできるんだよな。

 オレはそんなこと絶対にできない。


「大丈夫だよー……。うん、よく出来ているね」


 エスデスに心配の言葉をかけてもらえたことで気が済んだのかエスデスの頭をなでながら顔を上げると、エスデスのことを褒めた。

 そもそもなんでバローナ先生がエスデスが優秀といったかというと、双剣の扱いについてだった。双剣とは小さい剣を両手に持ち巧みに操作をして接近戦で使える武器である。小回りが効くことから、相手の懐に入りやすいのだ。

 エスデスのどこが優秀だというのか。

 それは、双剣と火属性の魔法を組み合わせて使ったというところだ。

 エスデスの使うことのできる属性は火一つだけだが応用がうまいもので、高熱の炎を生み出して双剣に薄っすらと纏わせる。すると、剣同士で打ち合ったときに双剣に纏わせた高熱の炎が相手の剣を溶かして切断してしまうのだ。

 基本的には魔法は魔法、武器は武器で使い分けるものだからその考えに至ったエスデスはすごいというものだ。

 最近の人たちは頭が柔らかくていろんな応用を考えつくみたいだ。コアだって、重力魔法を応用して空を飛ぶ“飛行フライ”と同等の魔法にしたのだから。



 今更だが、魔法の分類は○○属性の△△魔法となっている。他に個人が考え出した魔法は“飛行”みたいに属性には割り振られていない。発案者が死んでしまって民衆に浸透していればいつの間にか属性に振り割られてしまうものもあるけれど、そんなもの滅多にない。ほとんど確立されてしまっている魔法を構成する理論である魔法理論を新しく考え出すことが難しい。あと、考え出そうとするオレみたいな酔狂な人はなかなかいないのだ。

 オレは昔から何百という魔法理論を構築し新たな魔法を創り出していた。その魔法たちはもう属性に振り割られてしまっているものもあるし、まだ振り割られていないものもある。そして、まだ公開していない魔法も幾つか存在する。

 それらは人道に反するものばかりだから公開するつもりもないが。


「よーし、次はウィルくん行ってみようか」


 ウィルの武器は大剣だった。両刃の剣で肉弾戦に向いている武器である。

 バローナ先生の合図でエスデスと同じように魔法で動かされている人形相手に戦闘を繰り広げ始める。


「ふーん……」


 あんまり上手く扱えていない気がするんだよな……。剣が大きいからまだ成長しきっていないからだが振られてしまって本来の威力が出ていない。五割出ているか出ていないかといったところか。

 ウィルが剣を使うなら片手剣とか双剣、細剣といった軽く手数の多いものを選んだほうがいい。剣じゃなければ、弓とか。狙いは悪くはないんだし、近距離じゃなくてもウィルなら使いこなせると思う。

 あくまで個人的な意見だけども。


「ウィルくん、どうして大剣使ってるのかな?少し気になってさー」


 手で一時中断の合図をしてウィルがバローナ先生の方を見た途端先生は言った。


「理由ですか……そうですね」


 ウィルは大事そうに大剣をみつめてバローナ先生の質問に答えた。その答えは、若い人にありがちな英雄に憧れてとか言う理由じゃなくてもっと深く暗い理由だった。

 ウィルはそんな表情をするのかとオレは驚いた。


「この剣は、父さんにこれを使えと渡されたものです。その前までは片手剣を使っていたんですけどね……」

「強制?」

「まぁ、そうですね。片手剣に戻せないんですよ、この剣は強い闇属性の魔法が掛かっていて」

「ホント?」


 この世の中には武器に魔法がかかっている魔具と言うものがあって、光属性の魔法がかかっていれば怪我をしにくかったり、火属性ならさっきエスデスがやっていたことを魔法を使わずとも実現できる。他の属性もかけると属性は違えどだいたい同じような効果が現れる。

 だが、闇属性だけは違う。呪いのような効果が現れるのだ。だから、闇属性の魔法がかかっている魔具は呪具と呼ばれている。


「多分そうです。この剣を使い始めたあとに他の武器を使おうとすると急に折れたり切れ味が悪くなったりしますから……」

「どれ、見せて」


 この時ばかりはおどけたような表情はせず、真面目な顔でウィルが差し出した大剣を調べ始める。

 ウィルの父さんはわかっていてそれを渡したのか?そして、使うことを強要したのか?

 ウィルの話からそんな様子は感じられなかった。

 あんまりにも不自然な話で、真実味が薄い。 


「うん、これは確かに闇属性の魔法がかかっているね。かなり悪質だし……」

「悪質って……!」


 ウィルは信じられない、信じたくないと首を振る。エスデスも、同じように首を振って否定をしている。

 信じたくなかったから使い続けていたのか。


「かかっているのは“執着”“妨害”“吸収”の三つ。全て、個人が生み出したものみたいだから本人かその魔法理論を知っている人じゃないと解けないかな……」

「“所有”“防御”“成長”と掛け違えただけだろ、それ」


 つい言ってしまったけど……。

 効果が似たものは構築している魔法理論も似たようなものになっている。“執着”はまさに呪いで、所有者から離れないという効果を持っている。似たような感じで“所有”はなくしたりしても所有者のもとへ戻ってくると言う効果がある。残り二つも同じような感じで間違えてかけてしまったものだろう。

 つまり、ウィルの父さんはウィルのためを思ってかけたということ。


「スカイくん、どういうこと……?」


 ウィルがすがりつくような目でオレが呟いた言葉に反応をする。


「“執着”“妨害”“吸収”と“所有”“防御”“成長”の魔法理論はほとんど同じに作ったから、素人じゃよくあった話なんだ。改良しないとと思ってて忘れてた」


 オレがバローナ先生の言った三つの魔法名だけでこの剣とウィルとウィルの父さんの関係がわかったのは、六つの魔法をオレが創り出したからからである。

 昔に懲らしめたいやつがいてそいつのために創ったんだったか?思い出せない……。

 そんなことはどうでもよくて、そんな魔法理論がよく残っていたことだ。


「もしかして、発案者……?」

「そうだけど、なんだ?」

「本当におじいちゃんだったんだね、スカイくんは……」

「ですね……」


 バローナ先生とウィルが顔を見合わせてため息をつく。

 なんでため息をつくんだかわからないけど、大剣の剣は解決ってことでいいんだろうな……。








 翌日、バローナ先生がウィルと一緒にウィルの父さんのところまで大剣のことを言いに行った。基本的には先生が一生徒に対してここまですることはないらしいのだが、今回はことが事なだけにバローナ先生が出ていったそうだ。

 ウィルの父さんは大剣にかけられているものの間違いを知ったとき、ウィルに対して泣いて謝ったそうだ。ウィルも特に何事もなく許したらしい。

 かけられていた闇属性の魔法はウィルの父さん自身では解くことができなかったということでオレが解くことになってしまった。

 ウィルとその父さんの間に溝ができなかったからいいとするかな。

 


 死ぬことも考えないとだけど、こういった違いがわかりづらい魔法理論で構成されている魔法をなんとかわかりやすく解き方を記したものとか、オレがいなくても解決できるようにしないとな。オレが創り出したものだから、後始末もオレがしないとだし。






読んでいただいてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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