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女子会―2―

女子会は今回で終わりです。



「ほ、本当に!?」

 クレアが座っていたイスを急に立ち上がってサフィニアに迫る。それほどまでに驚いたのだろう。

 エスデスもソニアもイスを立ち上がらないが目を見開いたり口を開けているから衝撃だったようだ。



 そんな自分より年下の三人の反応を見て、サフィニアはくすくすと笑って言った。

「もちろん、ウソなんかつかないワヨ」

 サフィニアは聞かれたから正直に答えただけに過ぎないのだから。

「だって、シルフと猫人族が付き合うなんて聞いたことがないですよ?お互いに種族同士で子孫を残すのが普通って……」

 エスデスがそんなことあり得るのかとサフィニアに聞く。



 エスデスが言ったように、シルフと猫人族に限らず妖精と獣人は種族同士の仲間意識が高く、血を気にしている種族がほとんどのためサフィニアとギラが付き合っているのはとても珍しいことなのだから。

「珍しいでショ?妖精が獣人と付き合っているのなんて、でもそうなることが珍しいだけでないことじゃないノヨ」

 サフィニアはエスデスの頭を優しくなでながら言い聞かせるように言うのだった。

 エスデスもそうなのだと理解をしたようで、素顔にコクリと頷いた。ここにウィルがいたのならエスデスの反応にありえないと言うだろう。エスデスが失言をした時、自分が何度言っても理解しなかったことをサフィニアは叱ることなく優しく一回で理解させてしまったのだから。



「サフィニアさんて、大人だなぁ……。私もそうすれば……」



 クレアは誰にも聞こえないようなくらいの声の大きさでつぶやいたつもりだったがサフィニアの耳がそれを聞き取ったのだった。

 サフィニアはシルフで、シルフは風の妖精に属するため、聴覚が鋭いのである。

「クレアちゃんもいるのかな?好きな人」



「いや、いないけど……でも、アタシ……」

 クレアは少し恥ずかくなったのか一息おいて続きを言った。

「お兄様が大好きかな、仕事をしているときとかとてもかっこいいの」

「そうなんですねぇ、私もお兄さん大好きですよー」

 クレアの発言にエスデスが私もと同意を示した。まだ、クレアとエスデスは十二歳と九歳のため恋と言うものには少々遠い位置にいるらしい。



 クレアが兄のことが大好きなのは昔からではない。昔は好きか嫌いかと問われれば、嫌いと答えていた。

 クレアにはよく意地悪をしてくるし、おやつにケーキが出たら兄のほうが偉いとか言って大きい方を取ってしまう。そんな兄がクレアはそんな好きではなかった。

 しかし、一昨年知ってしまったのだ。兄がクレアのためにいろんなことをしてくれていることを、クレアに意地悪をするのは優しさの裏返しだということを。

 それを知って兄の行動をよく見てみると、全てクレアのためを思ってやっているのだった。

「だから、アタシはお兄様のことが大好きなの」

 クレアは自慢げにはにかむのだった。



「クレアさんのお兄さんは優しい人なんですねぇ、いいですねー」

「ウィルくんはどんなお兄様なの?」

 ウィルのことはクラスメイトとしては知っている。

 大体のことをサラッとやってしまうが、たまにある一般授業では家庭科なんかがあると、焦がしてしまったり変な味付けになってしまったりと料理オンチだったりする。

 エスデスと目元がそっくりで性別が同じだったなら瓜二つの顔をしていたんじゃないかと思われるくらいだ。



「お兄さんはですね、私をよく叱るんですよね。私が叱られるようなことをするからなんですけどね、でも、叱ったあとはとてもやさしいんですよー」

 エスデスが言うには、叱るのはいつも一時間ほどでその後はいつまでもイライラしているわけじゃなく、一回手を叩いて切り替えていつもの優しい兄に戻る。

 これは使用人さんにこっそりと聞いたことだが、ウィルはエスデスを叱る前にエスデスが落ち込むことを予想してお菓子でも用意しておくようにと言ってから叱りに行くのだと言う。

「あと、神話だったり英雄譚だったり伝記だったりが好きみたいですねー。難しそうなものをよく読めると思います」



「そうなんだ、スカイくんに意識してもらうためにはウィルくんからと言ってもあるのか……」

「ソニアちゃんは計算しているノネ。肉食女子?」

「ひゃあっ!き、聞かれちゃった……今のは無しで!」

 さすかソニアといったところか、策略を巡らせようとしている。外堀から固めるつもりなのだろうか。

 そんなソニアにエスデスは言った。

「お兄さんはだめですよー?あげないです」

「アハハっ!面白いワネ!」

 エスデスが頬を膨らませて涙目で言うものだからサフィニアはそれが面白くて大きく笑うのだった。

 そのとき窓からオレンジ色の夕日が四人の顔を照らし始めた。

「もう、夕暮れね。帰ってお手伝いしないと」

「アタシも帰らないと、お兄様が心配するかも」

「私もそろそろ帰らないと暗くなっちゃいますねー」

「そうネ……、帰りましょうカ」
















「すいません、こんな人見ませんでしたか?」

 写実的な人物の顔が描かれた紙をサフィニアに差し出して聞いて来たのは金髪の少女だった。紙に描かれているのは少女の血縁ではないかと思われる少年だった。

 少女と同じく金髪で青い瞳で、整った顔立ちの少年。

「見てないワ、役に立てなくてごめんなさいネ」

「いえ、ありがとうございます。では、失礼しました」

 少女は深々とサフィニアにお辞儀をして、トボトボと帰っていくのだった。

 サフィニアはこの少女のことを気に留めておこうと心の中で決めて、改めて帰路につくのだった。




次回からスカイ視点に戻ります。


次回もよろしくお願いします。

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