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昔話―成人―

昔話は今回で終わりです。

「カイルは、コアの悪い影響を代わりに受けて、自分の体が凶器になる体になってしまったんだ。」

「体が……。」

 オレにはそういった特殊な体に覚えがある。

 オレがそうなのだ。不老不死に近い体で、死ねない。

 もしかしたらオレもその悪い影響とやらを過去に受けたことがあるんだろうか?


       ♢ ♢ ♢ ♢



 カイルが目を覚したあとの洋館でのことは教えてくれなかった。

 カイルはアッシュとワイテールに告げた。


「僕は館主さんに成人するまでは今までと変わりない生活を送れるようにしてくれました。でも、成人したらその効力はきれます。」

 カイルはしだいにうつむいていって、涙をこぼした。

「なので、僕は成人したらここを去ります。コアには伝えないでください。」


 カイルにとっても、アッシュにとっても、誰にとっても辛いことだった。

 アッシュはカイルを抱いた。


 こんな幼い子になんて大きなものを背負わせてしまったんだ。

 他には方法がなかったのか。

 どうして、どうして?

 他の子だったら、コアとカイルじゃなかったら!


 あのときそこに自分がいなかったことを後悔し、あのときあそこにいたのがコアとカイルじゃなければよかったなどと考える。

「カイル……!」




 それから、コアはすぐに目を覚まして元気に活動しはじめた。カイルが受けたものも知らずに、あの日自分が倒れたことしか知らずに。

 カイルもアッシュもワイテールも今までと同じように、それ以上に、家族での時間を大切にした。


 そして、カイルの成人するときが来た。

 

「今まで、ありがとうございました。」


 カイルが一人馬車に荷物を詰め終わり、御者台に乗る前にアッシュとワイテールに言った。

 今は真夜中で、コアに出ていくのがバレないようにでていくのだ。


「たまにでいいから、顔を見せに来てくれ。」

「手紙でもいいわ。」

 

「はい……。さようなら。」

 カイルは顔を見せに来るとも、手紙をだすともいわず、はい、とだけ答えて馬車を走らせた。


 遠くなっていく馬車を見えなくなってもアッシュとワイテールは涙を流しながら、見送っていた。


 朝になり、コアがカイルがどこにもいないため召使の一人に聞く。

「カイルお兄ちゃんは?」

 そう聞かれた召使は困ってしまった。

 カイルが城を去ったことは、伝えていいものか。どこまでをコアが知るべきなのか。


「私には、存じ上げません。アッシュ様に聞いてみてはいかがでしょう?」

 この答えが最善だったのだ。

 その言葉をコアは素直に聞き、アッシュのもとへやってきた。


「カイルお兄ちゃんはどこにいますか?」

 曇りのない瞳で見つめられて、嘘なんかつけるはずがなかった。


「城を去った。それ以上は、言えない。」


「うそ……。そんな!うそ!」

 コアはその場に崩れ落ちてしまった。

 しばらく、身動きもせず、言葉も発さなかった。

「私、お兄ちゃん探しに行く。行くから!」

 コアは、ドレスも脱がずに城の外へ飛び出していった。


       ♢ ♢ ♢ ♢


「これが、コアとカイルの話だ。」


「そうだったのか、だから……。」

 アッシュさんの話を聞いて、なぜコアがあんな格好であそこにいたのかがわかった。

 飛び出してきたというのも理解できなくはない。



「じゃあ、これで。」

 オレは馬車ををおりようとしたが、アッシュさんに止められた。

「コアはニカのところにいるんだよな?」

「いると思うけど。」

「そうか、ならいいんだ。」


 今度こそ、オレは馬車を降りて宿を探しに行こうとするが、もう夜なんだよな。

 コアとカイルについての話が思いの外長くてな。


 もう、今夜は宿に止まらなくてもいいか。

 諦めよう……。

 

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