2208.戦いの最中、フラグは立つ
遮蔽物が無くなった視界の先では、紙装甲を再び展開したラマスが数頭のブラッディウルフとやり合っている、いや八割方一方的にやられてベコベコになりながら血を吐き続けている絶望的な景色が映る、いとヤバそうだ。
周囲で共闘しているのはジョディとサンドラの二人のみ、どうやら他の弟子達は別の場所でそれぞれ侵入したモンスター達と戦っているらしい声が聞こえる。
神殿の反対側では鮮やかな赤いオーラが爆ぜる様に立ち昇り同時にモンスターらしき叫び、断末魔的な奴が一斉に鳴り響いているし、突然上空から石礫が降り注いだりもしている。
恐らく獣人か誰かがズィナミとシエルを全回復させてくれたと思われる、おっ! 緑の大型ドラゴン、エンペラが空に飛び上がったな、クネる体から様々なモンスターが振り落とされている、落下地点から届く悲鳴っぽい避難指示はゲッコーの獣人、ステナの物だろう。
あちらこちらから次々と飛翔しているドラゴン達はいづれも飛竜ではない、少し覚つかない翼使いだが先発した飛行種への助力へ向かっていると見える。
それぞれが指示もないままに自分が出来る最善を尽くそうとしている、全員がこの厳しい時代に生き残る事を成しえた戦士なのだ、そんな当たり前を改めて認識したギレスラは自身の決意をも新たにする。
――――実力者が集まっている、というかギュウギュウで狭苦しい現状、それぞれがその場その場で何とか出来そうなのだ、良しっ、ここはラマス、そして生まれ来る新たな生命を最優先で助けるのだ!
そう決めて愚かな妹、ペトラに話し掛けよう、怒鳴るか? いやいっそ殴るか? そう考えていると横からグラム・ランドが長い首を伸ばして来る。
『おいギレスラ、あの白い奴なんだがな』
『む? 白い奴? こんな非常時に何の事なのだ?』
『いやほら、さっき余の方に走ってきた小さい奴』
『カタボラ、か? 見ての通りドラゴネットの白竜だが、それが?』
『ドラゴネット…… あれ、幾つだ?』
『む、歳か…… はて?』
ドラゴネットは竜の幼体を指す言葉、つまり稚竜の事である。
翼と前肢が未熟なこの時期、ドラゴネットは自然立位となり下がり気味の腹部と大きな頭部がややマスコット的で可愛らしくもある。
竜王グラム・ランドに問われてギレスラは気が付いた、そういえばカタボラの歳、知らなかったなぁ、と。
『まあ五つか六つか、それがどうしたと言うのだ』
基本長命なドラゴンや魔獣は人間ほど年齢とかに頓着しない、ギレスラの認識はその程度である。
『ふむ、普通ドラゴネットは生後二、三年の内だけだがな……』
『ん? 個体差では無いのか?』
『で、お前はあれをドラゴンだと思っているのか?』
『当然であろ? どこからどう見ても純白のニーズヘッグでは無いか!』
『そうか……』
『何なのだ? 今はのんびり話している場合では無いのだ!』
『そうだな…… だがギレスラよ、あれ、ドラゴンでは無いぞ』
『は? 何を訳の判らぬ事を? なのだ』
『いや余は竜王として断言できる、アレは断じてドラゴンでは無い、似て非なる全く異質なモノだぞ』
『馬鹿なっ!』
『まあ良い、憶えておけよ』
『はあ?』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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