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紫捜索本部

少し短めですが、アップします。

 二匹のタヌキとバツイチによる紫捜索本部の会議が始まった。


 何分、タヌキとバツイチの会議だから、アルコールを補給しながらだ。


 少しの酒で真っ赤になった俺を康子が面白そうにからかった。

 すると、「こういうときの君は可愛いから、母性本能がくすぐられるんじゃないか?」と、光に言われる。

 

 放っといてくれ。今は、紫の話をしているんだ。



 捜索方法には、当てがあった。



 数日前、俺のパソコンへ見たこともないアドレスからのメールがあった。

 

 何となく、ピンと来るものがあって恐る恐る開くと、簡単な送り状が付いた紫からの論文だった。

 内容は、公立小中学校に関する問題点の考察だ。

 

 こんな論文を書く余裕があるということは、虐待されていることはないのだろう。

 

 ホッと胸をなで下ろした。

 

 でも、居場所を教えるよう返信しても何の返事もない。

 それどころか、しまいに、アドレスまで変えられてしまった。


 まるで、シンデレラが硝子の靴だけ残して消えてしまったような感じだ。


 

 ただ、そのメールは希望をもたらした。


 紫は学校へ行ったことがないのに、論文は学校の実情を的確に把握したものだったのだ。


 あの子が、学校の現状について、いい加減に論ずるはずがない。

 絶対、どこかの学校へ視察に行っているはずだった。


 だから、探偵事務所を使って調べもらえば、紫に近づくことができるのだ。


 まず、紫が現れた小中学校を突き止める。

 次に、それらの小中学校へ足を運べる場所を絞り込んで、住まいを特定するのだ。



「俺一人じゃ、手が足りないし、ジュニアに近すぎるんです。

 だから、ありったけの探偵事務所を使って、一気に探してください。


 じゃないと、メールアドレスと同じで、引っ越されてしまう」


「そんなに必死になるところを見ると、あなたも紫ちゃんのことが好きなんじゃない?


 いやぁねえ。良い男が、みんなあの子に夢中になるなんて。

 年増のお姉さんの出番がなくなっちゃうじゃない」

 

 笑いながら応じる康子の目元に反則的な色気を認めて、固まった。


「康子は、君みたいな男がタイプなんだ。きっと、気があるぞ」

 光が、小さな声で囁いた。



 あんたねえ。さっきから何なんですか?

 俺に協力求めておいて、そりゃあないでしょう?



 海千山千。あの色気は犯罪すれすれだ。


 光の周りには、いろんな人間がいるのだ。

  




 

 紫の捜索を康子に任せた後で、光は、藤子さまに前にも増して嘆願した。

 彼にしかできない仕事だ。


 必死になって頼む光に、藤子さまは冷たく言った。


「最初から、ブレインやゴーストとして役立てるという約束です。

 今までどおり、ブレインの仕事はさせるよう手配してあります。


 光さんは、何がご不満なんでしょう?」


「お願いです。あの人を大切にします。私の下へお返しください」

「大切になさる……?

 

 じゃあ、お尋ねいたします。葵さまをどうなさるおつもりです?

 二人の女性を同時に大切にすることはできないでしょう?

 ましてや、葵さまはあのご気性です。ないがしろにされるのは、目に見えています」


 光は、グッと言葉に詰まりながらも必死に答えた。


「彼女とのことは、白紙に戻します」


「どうやって?

 お父さまがお許しにならないでしょう。

 万一、お許しになっても、依子とのことをお認めになるでしょうか?


 光さまは、依子を女性として見ていらっしゃるようですが、最初にお約束いたしましたでしょ?

 依子をそういう対象として見ないでいただきたいと。

 依子は、私の分身、私そのものです。あなたの好きにさせません」



 理路整然とした拒絶に太刀打ちできなかった、と項垂れた。




 そりゃそうだ。藤子さまと光じゃ、格が違う。




 だが、光も甘い。


 嘘でも良いから、何とかすると言わなければならなかったのだ。







 近衛将人は、俺のことを情報収集の端末のように思っているらしい。


 時々、俺を呼び出して、光や二条家の動向を探った。


 俺は、あんたから給料をもらってるわけじゃない!と、文句を言おうとして、気が付いた。

 

 将人から近衛家の動向を聞くことができるのだ。


 give and take(ギヴ アンド テイク)で、支障のない情報交換をすることにした。紫なら、そうするよう勧めるだろう、と思ったのだ。



惟光と光は、周りの人々に働きかけ、何とか紫を捜しだそうとします。がんばれ、惟光!がんばれ、光!

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