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ポリティカルスクールのディベイトの話

少し短いですが、アップします。

 俺は、チームヒカルに入って、ポリティカルスクールをやめた。

 通常、行き先の決まった学生はそうするからだ。


 光がそのまま通っていて、授業で聞いた話を教えてくれた。

 もちろん、紫に教えるためだ。




 ある日、ディベイトの授業でとんでもないことがあった、と笑いながら教えてくれた。



「とんでもないことって?」


 リビングの安楽椅子に寝そべった紫が訊いた。


「結婚は、愛か金かって議題だった。

 葵が愛を主張して、私は金だって主張した」

 


 葵がポリティカルスクールへ通っているというのは、初耳だった。



「葵の上は、ポリティカルスクールへ通ってるのか?」

「うん。そうだよ。

 トップコース。

 知らなかった?」



 紫にとっては周知の事実だ。



「何のために?」

「良い男を見つけるためだと思う。

 一応ヒカルの婚約者だけど、もっと有望な男がいたら、乗り換えようって思ってるみたい」


 平然と言う。


「本当ですか?」

 光に訊く。


「多分ね。でも、今のところ、私を一番気に入ってくれているようだ」

 


 こいつ、ものすごい自信だ。

 開いた口がふさがらない。



「そんなことより、結婚は金と愛のどっちだと思う?」


 紫が俺に尋ねた。


「金に決まってる。いくら愛があっても、日々の生活に事欠くようなら、生きていけない。

 終いに、労働で酷使した体を壊して、愛が醒めてしまう」

「だろう?私もそう主張したんだ。

 まさか、居並ぶレディの前で、その労働のせいで夜の交わりが上手く行かなくなるとまでは、言わなかったけどね」

 

 俺と同じ意見の光が、身を乗り出して続けた。


「だが、葵は違うんだ。

 金のための結婚なんか、娼婦と変わらないって、切って捨てたんだ」


「まあ、極論すれば、そういう言い方もできる、か……あの人、自分が金のために結婚しようとしてるから、余計そう言いたいんだろうか?」


 俺がつぶやくと、光が声を上げて笑った。


「要は、ほどほどお金があって、愛があるのが一番だと思うんだけど、そんな意見はなかったの?」

 紫が不思議そうな顔をして首を傾げた。


「なかった。

 ディベイトだからね。どっちかってことだから。


 でも、朝顔の君が面白いことを言った」

 


 朝顔の君とは、光の従妹で、叔父の大学教授の娘だ。本名は忘れたが、才媛として有名で、将来政治家になる道を探っているとの噂があった。


「どんな?」


 俺と紫の声がシンクロした。




「結婚は顔だって、言い切ったんだ。


 じゃないと、子供が不細工になって、将来、政界を目指すにしても、顔で票が左右されるって」


 

 俺達三人は、顔を見合わせて、声を上げて笑った。





三人の平穏な会話です。互いに信頼しあって、ゆったりと時間が流れていきます。

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