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7.新天地での甘い恋

第2、4話の内容を改稿しました。第7話からお読みになると、意味が分からないかもしれません。お手数ですが、前に戻ってお読み頂けると幸いです。

三女の名前が他作品と重複していましたのでエマに変更しました。

よろしくお願いいたします。

フローラント王国から三人の王女が旅立って、半年が経った。


大国フランキアの王宮では、十七歳になった長女マルガレーテが、信じられないほどの幸福に包まれていた。


「マルガレーテ、今日のドレスも本当によく似合っている。君の美しさは、我が国のどの宝石よりも輝いているよ」


そう言って彼女の腰を優しく抱き寄せるのは、フランキアの王太子ジークフリートだ。一目惚れから始まった彼の恋は、今や溺愛へと進化していた。


マルガレーテはただ愛されるだけの存在ではない。ジークフリートと共に難問だった外交問題を夜通し話し合い、見事に解決。国王や重臣たちからも「未来の王妃にふさわしい才女」と高く評価されていた。


「見事な手腕だったよ、マルガレーテ。」


ジークフリートが愛おしそうに彼女の額にキスを落とす。仕事も恋も全力で満たされる日々に、マルガレーテは心からの幸せを感じていた。


(お父様、ハイディ。私をこの国へ追い出してくれて、本当にありがとう。私は今、最高に満たされていますわ)


彼女は遠い故郷へ向け、心の中でそっと感謝の祈りを捧げた。


一方、その頃。


母方の親戚である大国アルビオンの王宮に身を寄せた次女ロッテと三女エマもまた、充実した日々を送っていた。


「ああ、エマ。お猿さんがいない生活って本当に清々しいわね」

「そういえばロッテ姉さま、例の『欠陥品の時計』、あれ、どうなったかしら?」


エマが楽しげに尋ねると、ロッテは悪戯っぽく微笑んだ。


「ええ。そろそろ歯車が壊れてる頃ね。今頃あの子、使い物にならなくて発狂しているんじゃないかしら? 私たちの本当の成果物は、すべてここにありますもの」


そう、アルビオン王家の手厚い庇護を受けた二人は、フローラントから連れてきた優秀な職人たちと共に、すぐさま「時計ギルド」と「レースギルド」を復活させた。


「さすがロッテ姫様だ!新しい工房は広くて使いやすい!」

「エマ姫様のための極上レース、気合いを入れて織り上げますよ!」


職人たちは生き生きと働き、ギルドは以前を遥かに凌ぐ大儲けを記録。二人の資産は膨らむ一方だった。


そして、そんな彼女たちにも、新天地で甘酸っぱい春が訪れていた。


「ロッテ、これ……僕が見つけた、珍しい形の鉱石なんだ。君なら、時計の部品に使えるかもしれないと思って……」


そう言って顔を真っ赤にしながら、十三歳の少年が小さな箱を差し出してきた。彼の名はヴィルヘルム。アルビオン王国の王太子だ。

ロッテは機械のこととなると饒舌になる理系女子だが、ヴィルヘルムの真っ直ぐな視線には、どうしても胸がドギマギしてしまう。


「あ、ありがとうございます、ヴィルヘルム殿下。……とっても素敵な結晶です。この硬度なら、時計の軸受に使えるかもしれません……あ、あの、大切にしますね!」

「うん! 喜んでもらえて良かった!」


実はロッテは、彼に特別な懐中時計の試作品を贈っていた。


「これ、二日に一度、二人で一緒にネジを巻かないと止まってしまう仕組みなんです……」

「じゃあ、二日に一度は必ず僕たち、会わなきゃいけないね」

「は、はい……!」


お互いに好意を持っているのは見え見えなのに、手を握ることすら恥ずかしがる二人。


またある日、ロッテが油まみれで機械をいじっていると、ヴィルヘルムが嫌がるどころか、自らのハンカチで彼女の頬の汚れを優しく拭き取った。


「頑張る君が、一番綺麗だよ」

「〜〜〜っ!」


ロッテは顔を真っ赤にしてフリーズしてしまうのだった。


さらに、その少し後ろでは、もう一つの「甘い約束」が交わされていた。


「エマ、そのドレスについているレース、とても綺麗だ」


声をかけたのは、大国プラーハトの第二王子であるライナーだ。彼は騎士修行のためにアルビオンへ留学してきていた。


十一歳のエマは、おしゃれが大好きな女の子。対するライナーは九歳ながらに騎士の卵として礼儀正しく、エマに対していつも一生懸命だった。

エマは、自分の最高傑作であるレースのハンカチを、ライナーの手にそっと握らせた。


「これ、私の手作りなの。ライナー様の騎士修行のお守りにしてね」


ライナーはそのハンカチを宝物のように胸に抱きしめ、真剣な目をエマに向けた。


「ありがとう、エマ。僕がもっと強い騎士になって、君の背を追い抜いたら……このレースに見合う男として、僕にプロポーズさせてください」

「ふふ、約束よ? 楽しみに待っているわね」


姉たちがそれぞれの場所で、本物の愛と、揺るぎない富を築き上げていく。


そんなこととは露知らず、故郷フローラント王国では、いよいよあの「ずるいお猿」が引き継いだギルドの初日を迎えようとしていた。

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