さらば我が王よ
ジャイアントの子が特殊任務にあたってから一年後のこと。
クロは五歳になった。
◯登場キャラクター
クロ
五歳 この作品の主役
好奇心旺盛
シロ
四歳八カ月 クロの妻
少し臆病
子供たち めちゃくちゃたくさん
誰が誰の子供かわからない
ジャイアントの子が特殊任務にあたるようになってからおよそ一年が過ぎた。
僕はもう五歳になった。いつ寿命がきてもおかしくはない。そんな歳だ。
ちなみにシロちゃんとの子孫はもう数え切れないが、きっとたくさんいると思う。実際、王が建設してくれたコンクリートマンションは、およそ1000匹くらいのキャパなので、それをとうに超えているから、申し訳ないが何千匹の仲間は、他国へ旅立ってもらった。
僕はやはり、ここの王に恩義がある。一生をかけて守らねばならないと思ったから、この場に最後までいると決めた。
「クロちゃん、最近はどう? 無理はしないでね」
シロちゃんはいつも気遣ってくれる。この三年の間も、ずっと側にいてくれて、僕に寄り添ってくれた。そして、困難を共に乗り越えてきた。
「うんうん、大丈夫だよ。いつもありがとうね。最近、ジャイアントの動きが活発になってきたような気がするね……」
そうなのだ。我が王国の側の要塞に住んでいるジャイアントの親子が、最近要塞の出入りも多く。何やら普段見ないような新手のジャイアント数名も訪問したり、不穏な動きを見せている。
もしや……戦争が。
いや、憶測だけで発言して、みんなを不安にさせてしまうのは良くない。
僕は、みんなを守っていかないといけないからね。
◇ ◇ ◇
そんなある日のことだった。
ジャイアントの子が任務の休暇日の朝に、我が王国にやってきた。
「ダンゴムシさん。ぼく、新しいおうちに引っ越しするんだ。だからもう一緒に居れなくなっちゃった」
引っ越し……要塞を移動するのか。戦争ではないことにほっとしつつも、この要塞が無人になるということは、様々な危険が増える可能性もあるということだ。
ジャイアントがいることで、ある程度外界からの脅威から守られてきたこともある。
逆に危険にさらされたこともないことはないが……そんなことも少し思い出した。
「あとね……ぼくお兄ちゃんになるんだよ。妹が生まれるんだって。お母さんが言ってたの」
ジャイアントは我々に比べて、お産は少ないようだ。僕が知っている限り、この要塞に住むジャイアントの子は一人きりだからだ。
ジャイアントの場合一人一人が僕らの百匹分くらいだから、そういうものなのかもしれないけどね。
僕はジャイアントに言葉を伝えることはできないが、精一杯14本の手足を揺らせて、今までの感謝を身体で伝えた。
よかった。
僕が命が尽きる前に、このように感謝を伝える機会が出来て。
ありがとう。
そしてさようなら、我が王よ。
クロが生まれてからずっと側にいた、ジャイアントの親子が引っ越しをした。
それはちょうど、クロの命がもうすぐ尽きようとしているという、手前のことだった。




