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DANGO〜虫と呼ばれているが、僕らは虫じゃない〜  作者: くろくまくん


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7/7

DANGOの生きる道

ジャイアントの親子が引っ越していなくなってからしばらく経った。



◯登場キャラクター


クロ

五歳四ヶ月 この作品の主役

集落の長老


シロ 

五歳 クロの妻

とても優しく慈愛に満ち溢れている


子供達やら孫やら、ひ孫やらetc……

とってもたくさん

 ジャイアントの親子が引っ越しをしてから数ヶ月が経った。


 僕はもうある程度は、自らの命が尽きようとしていることを悟っていた。


「シロちゃん、申し訳ないんだけど、マンションの会議室にみんなを集めてもらってもいいかな。少し話をしたくて」


「わかったよ、クロちゃん」


 シロちゃんは何も聞かずに、言うことを聞いてくれた。こういう気遣いがありがたい。


 僕はこの集落の中では長老と呼ばれるくらいにまで古参になっていた。


 もちろん、若く力溢れる者たちや、賢い者たちもどんどん生まれてきているから、能力が優れているという意味ではなくて。


 ただ、今まで生きてきた経験や、外敵の対処、ジャイアントとの共存など、これからの世代に伝えていかねばならないと思ったんだ。


「みんな会議室に集まったよ。クロちゃん、肩につかまってね」


 シロちゃんはいつも優しい。先日手足を6本ほどくじいてしまって、歩くのが少し辛いんだ。


 僕はシロちゃんの言葉に甘えて、肩を借りて会議室へ向かった。


 会議室のキャパはおよそ300。まぁでも積み重なったり、トランスフォームしたりと、ぎゅうぎゅうになれば、大人のダンゴムシだけなら入れないことはない。


 僕は来てくれたみんなを見渡し、話し始める。


「みんな、忙しい中来てくれてありがとう。僕が命尽きてしまう前に、みんなに聞いてほしいことがあって集まってもらったんだ」


「クロさん!!」

「長老〜!!」

「命ですと!!」

「そんなこと言わないでください!」


 みんなから声が上がる。


「僕らの命はせいぜいこのくらいだからね。これを短いと思うか、長いと思うかは個々の自由だけど。僕はとても有意義に過ごせたと思っているよ」


 みんなの声が静まる。


「みんなに話したいことはとても単純なんだ。色々と細かいことを言うつもりはなくてね。ジャイアントとの共存をしていくこと。お互いを思いやって生きていくこと。この二つを、これからも守ってほしい」


 少しみんながガヤガヤしている。


「ジャイアントとの共存なんて……と思うかもしれない。実際僕も、ここにいるシロちゃんもジャイアントに命を脅かされたことは何度かある。でもね、この住まいを建設してくれたのも、またそのジャイアントなんだよ。それに、ジャイアントも悪意をもって僕らを叩き潰そうとするわけじゃない」


「でも、力の差も歴然ですし、体格差や食べるものも全部違うじゃないですか!」


 割と中堅の三歳くらいの男子ダンゴが発言した。


「そう、その通りだよ。決して共に暮らせと言っているわけじゃない。何度か僕からも話したことはあるかもしれないが、ジャイアントは基本的に僕らのことに興味がない個体が多い。むしろ気持ち悪いと思われてしまう場合のほうが多い」


「じゃあ……どうすれば??」


「僕らの特性として、大地を浄化する能力があるね。それを愚直に。ひたむきに続けていくことかな。しかも、それを過信してはいけない。僕ら一匹一匹に出来る浄化はとても限られているからだ」


 僕は少し息をついだ。


「それに大地の浄化に見返りを求めてはいけない。それをしたから、ジャイアントから何かしてもらえると思わないように。見返りを求めてする行為は、きっと歪みが出てしまうからね。先ほど話したお互いを思いやって生きてほしいと言ったのもそれに含まれている」


「私達は……私達は何のために生きているんですか!?」


 また違う一人が発言をした。


「そうだね。それは僕にもわからない。むしろこんな僕のちっぽけな一生では計り知れない生命の仕組みというのがあるのかもしれないね。それをこれからみんなが探していくといいんじゃないかな。難しく考えることはない、僕達が生きる意味を、楽しく探していってほしい」


 誰からも異論は出なかった。


「僕から話すことはこのくらいだよ。ちょっと疲れたから、申し訳ないけど、そろそろ休ませてもらうね」


 シロちゃんがすかさず寄り添ってくれる。


「クロちゃん、大丈夫? 横になりにいきましょう」


「うん、シロちゃんありがとう。少し休んだら、きっと大丈夫だよ」


 僕とシロちゃんは会議室から少し移動した、横になれるスペースにきた。


「クロちゃん、喋り過ぎて疲れたんじゃない? 大丈夫?」


 心配そうに僕を見下ろすシロちゃん。


「シロちゃん。今まで一緒にいてくれてありがとうね。僕は君がいてくれたから、とても楽しかったよ」


「うん、うん……私もずっと。ずっと幸せだったよ。クロちゃん、お願いだからもう少し生きていて」


 シロちゃんの声は震えている。


「ごめんね、もうそろそろみたいだよ。でも、シロちゃんにこうやって側にいてもらえて逝くことができて、僕は幸せだよ」


「そんなこと言わないで……また一緒に手を繋いで、散歩しましょう? 前みたいに守ってほしいよ」


「うん……ほら、手を繋いで……僕が死んでも。きっとこれからも」


「クロちゃん!!」


「ずっと……一緒だよ……」


 僕は目を閉じた。



 

——ありがとう、シロちゃん



——ありがとう、みんな……



——ありがとう……我が王よ。





今回のエピソードで

「DANGO〜虫と呼ばれているが、僕らは虫じゃない〜」は完結となります。


僕は人間の男の大人です。

とても小さい頃に、自宅の庭でダンゴムシ王国と言って、コンクリートのブロックを家に見立てたり、そうやって遊んでいたことを思い出し、ダンゴムシ目線での人間というのはどんなものだろう?

そんな思いつきから書き始めました。相互ユーザー様の二角ゆうさんが短編集でダンゴムシが登場する物語を書かれていたこともキッカケです。


今回の主役はダンゴムシでしたが、この物語を通じて、生きる意味や、他との関わり方、思いやりの心などを描くことが出来ていたらなぁと思います。


また機会があれば、このような特殊な作品も書いてみたいなと思いました。


読んでいただいた皆様、評価やリアクションマーク、感想をいただけた皆様に、感謝を!!

ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
たどり着くのが遅くなってしまいました! シロちゃんとクロちゃんにとっては王国を築いてくれた恩人との別れは辛いでしょうね。 でもこうして読んでいると虫の寿命は本当に短いと感じました。 ミクロな視点のお話…
おのれ、ダンゴムシのくせに、一生懸命生きやがって。
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