数百の子供達と、僕らの存在意義
ジャイアントの子供の気まぐれで危うく命を落としかけたクロとシロ。
今回は、普段の彼らの生活と、ちょっぴりクロとシロの恋愛模様も覗いてみよう。
◯登場キャラクター
クロ
二歳 この作品の主役
好奇心旺盛
シロ
一歳八カ月 クロの友達
少し臆病
子供達
数ヶ月 めちゃくちゃたくさん
本能のままに生きている。
前回はジャイアントの気まぐれで起こった災害について聞いてもらったね。
あれからシロちゃんは、ジャイアントに会いたいとは言わなくなったかな。それと、なんだか僕に甘えるようになった気がする。
あ、ちなみに僕らは基本的にはあまり太陽が出ている日中は外には出歩かないんだ。
それは何故かというと……危険だからだ。
僕らはトランスフォームしている間は無敵とは言ったが、僕らよりも何倍も大きなチュンチュンや、ゲロゲロに、丸呑みされたり、潰されたり、どうしても防ぎようのないこともある。
そんな危険な状態にあえて行くのは死ににいくようなものだからね。
だから日が沈んで暗くなった時に、みんな外に出るんだ。エサを探したり、遊んだり、ジャイアントの要塞の様子を見に行ったり。
日中の住まいの中で何をしているかと言うと……今日はその話をしようか。
◇ ◇ ◇
「クロちゃん遊ぼうよ〜、私暇なの」
「え、まだ日暮れまではもう少し時間あるよ、まだ眠いんだけどな」
「ひまひまひまひまひまひまひま〜〜! かまってかまってかまって〜!」
シロちゃんが、例の事件から僕に懐いてくれるのはいいんだけど、あまりにもしつこいとちょっぴりしんどい時もある。
「うえ……子供達と遊んでもらいなよ、ほら、あそこにいっぱいいるじゃない」
「ガキに興味はないの〜! だって、私はクロちゃんとイチャイチャしたいんだもん」
む。それを聞くと嬉しいのは嬉しい。なんせメスのダンゴムシはまぁまぁ釣れないというか。ツンツンしてる子が割と多いからな。
確かシロちゃんももう、大人の身体になっているはずだから……いや。いやいやいやいや、ここはまずは紳士の対応だ。
「シロちゃん、キミの身体が大事だから、今日のところは大人しくしておいで。また時がきたら可愛がってあげるよ」
「きゅんっ。クロちゃんってなんて大人なの。じゃあ今日はあそこで群がってるガキ……子供達と遊んでくるね」
ちなみに僕ら誇り高きダンゴムシ族は、一度の産卵でおよそ百匹の卵を産むんだ。まぁまぁの多産だよね。何かと比較するわけではないんだけど。
そのぶんどうしても、大人になる前に亡くなってしまう子供達もいるにはいる。
外敵に食べられてしまったり、行方不明になってしまったり。あとは前のように事故で亡くなってしまうこともある。
「おーい、みんな〜! 遊ぶよ〜!」
「わいわいわいわーい、お姉ちゃん」「はやくはやくはやくはやく」「なにするなにするー」「鬼ごっこしようぜ」「いや、かくれんぼだろ」「いやボウリングだろ」「誰がピンになるんだよ」「おままごとしたい」「お姉ちゃん大好きー」「俺のお姉ちゃんに告るな!」「お前のお姉ちゃんじゃねえよ!」「みんなのお姉ちゃんだ」「いや、そもそも誰の子かもわからんよ」「てか、誰だお前」
まぁまぁのカオスだ……
「あ、やっぱ遊ぶのは今度にしようか……」
シロちゃんも引いている。
「子供達は子供達同士がいいんだよ、やっぱり」
ただ、シロちゃんに言われて少し考えたんだ。
僕らはとても短い命だ。
その五年ほどの寿命を、長いととるか、短いととるかは、僕ら次第なんだろうけど。
たとえばこの地球を照らしている太陽は、いつから存在してるんだろう。
僕が生まれた。いや、僕らダンゴムシが存在するようになった、もっと前から在ったのかもしれない。
そもそも、僕らの存在意義とは。
繁殖して、土を食べ、排出し、土を綺麗にしていく。
ただ、とても儚い命だ。
この星に存在している生物。
生きとし生けるもの全てに、きっと意味はある。
「クロちゃん。何考えてるのぼーっとして」
僕はシロちゃんの肩をそっと抱き寄せた。
「ううん、なんでもないよ」
今はそう。こうやって日々生きていること。共に生活する仲間が。愛しい存在がいることが僕の存在意義だ。
言葉では、照れくさくて言えないけれど。
ずっと……愛してる。
「変なクロちゃん……でも、こうやってるとあったかいね」
僕はシロちゃんの真っ白で綺麗な触覚に、そっと口づけした。
シロを愛しく思う気持ちもありながら、
ふと、ダンゴムシの存在意義について考えるクロ。
あと三年ほどの命で、果たしてクロは何かを成すことはできるのだろうか。




