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ツッコミ 88 〜星雲、それは愉快なレース〜

 あ、これワープだ。と直ぐに気が付くような景色を車窓から眺めながら、三日が経った。


 何故か備え付けられていた食堂車にあったキッチンで料理を作ったり、何故かあった寝台車で眠ったり。なんだかんだで楽しい道中を過ごしたものだ。


 その間に、赤い服のティアマト――名前をアリシアという彼女から、ボクに対する考察が披露されたことがあった。


 ティアマトから産まれた人間体は、無意識のまま巨人――マスターピースに辿り着き、そこで人格を設定されて自我に目覚める仕組みである。


 けれどボクの場合はその前に魂を入れ込まれて人格を発現させてしまったため、誤作動。男性の魂だったこともあって性別の設定も上手くいかず、ティアマトとしての自我も生まれず。


 ティアマト自体を装着することを可能とし、兵器とすることが可能となったのでは? とのことだ。


 そのティアマトの変化も自在に操れるようになり、リュックサックのような形にして背中に背負い、花弁も一枚一枚繋げてスカート状に。色も変更可能になったという素敵仕様。


 シックな黒色にしてみたり、薄い青色で落ち着いた雰囲気を表現してみたい。ボク的には、ファッションショーみたいな日々を過ごさせてもらった。


 ルートも電車という未知なるものの探索にご満悦で、シートの下から吹き出す温風で暖まったり、網棚や吊り革に飛び移って遊んだり。


「呑気すぎません?」


 真面目らしいアリシアは、大層困惑していたのを憶えている。


 そうして、電車は停車した。


 扉が開き、ボク達はホームへと降り立つ。息ができることも不思議だけれど、その景色もまた不思議なもの。


「すげー。天の川に居るみたい」


 天の川の堤防が駅だった。そう考えるとしっくりくるかもしれない。


「その呼び方。古代にそのように呼んでいたとの記述が母星にありましたわ」

「へぇ、案外地球の未来がアリシアの母星なのかもね」


 まさにスペースファンタジー。彼女の母星に行けば、ボクの子孫に出会えるかも――。


 過去の俺よ、結婚しておけよ。ロマンがないじゃないか。


「おい、なんか看板があるぞ」


 一人――いや、一匹駅を探索していたルートが、時刻表などとは違った張り紙を見つけた。


 そこには〈星雲回遊魚レース〉と書かれており、宇宙を漂う回遊魚の背中に乗って、チェックポイントをすべて通過すれば秘宝を授けるとの説明が記されている。


「宇宙に回遊魚っているの?」

「かつて宇宙生物の実験の際に、宇宙空間で養殖して進化を促した個体が野生化する事案がありました」


 実験って、一般人からしたら突拍子もないことをやっていたりもするよね。


 なんて納得してしまったから、適切なツッコミが全く浮かんでこないのだけど。え、なんで宇宙で養殖するの? 美味しくなるの? イカに寄生虫が付かなくなるの? 牡蠣も安全なの?


 それ、……めっちゃ素敵やん。


「で、その回遊魚は何処にいるのかな?」

「それを探すところから始めなくてはならないのですわね」

「だなー。……あれ、でもあれじゃないか?」


 そういって、ルートが精一杯腕を伸ばして示す先に、ボク達も視線を向ける。


 そこには、確かに……何かが居た。


 つぶらな瞳。分厚い唇。プヨプヨした柔らかそうな身体。それは、それはきっと――。


「ベルーガだっ!?」


 シロイルカが回遊魚なわけあるかよっ!

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