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ツッコミ 87 〜望むべき場所〜

 電車に揺られ、ボクは様々な話を聞いた。赤い服のティアマトは思いの外、素直に話してくれていた。


 ティアマトとはなんなのか。


 それについてはボクも薄々と感じていたのだけど、答えを聞けば納得できるものだった。要は、ナノマシンで構成されたナノマシン生成装置なのだ。


 だから、自在に姿を変えさせることができた。


 とある星で製造された他星系侵略兵器であり、その機能としては隕石に紛れて有人惑星に降り立ち、そこの生物に紛れるようにしてナノマシンを胎内に送り込む。


 植物の姿をしているのは、その構造から連想されるデザインだから。そして、受粉を利用して先ず植物を侵し、それを食料にする動物へ。


 女性の姿をしているのはまさしく雌しべをイメージしているかららしい。そして最後には、次のティアマトを身籠るための母体になる。


 魔物という存在は、魔族――つまり彼らの母星の種族をこの星に定着させるためのものだったわけだ。


 そうして種を侵略して、種としての勢力図を広げていく壮大な計画に、聞いているだけでも気が遠くなってくるほど。


「つまり、花弁はその肝となる機構を備えている。だから、完全に女性体への変化が終わるまでに身体から離れてしまうと、存在を維持できなくなる」

「そうですわね。ある時から、私達は狩られる存在となってしまった。それは何故か。それは――」


 彼女は寂しそうに、裏切られたからだと言った。


 魔族の誕生は、ティアマトにとって任務の完了を示すものだった。そのため、彼らは再び宇宙へと上がり、別の星を目指す手筈となっていた。


 けれど、それが出来なかった。


 ルートが高い位置を飛べないように、ティアマトもまた、高層への飛行は不可能だったのだ。何処まで高く飛ぼうとしても、まるで重力を振り切ることができないように引き戻されてしまう。


 それをどうにかするために、魔法という技術を発展させた人々に協力を請い、ボク達が出会ったあの巨大な樹木を産み出し、宇宙まで届くほどに育てようとした。


 その過程で、裏切られた。


「魔法陣の上に置かれた花弁。あれの効果は、上へと進む力を発現するもの。だから、植物はその力に引っ張られようにして、その体を大きく育むのです。私たちに協力していた者達は、その応用性に魅入られた」


 力――パワーというものを上向きに上昇させる。そんな概念的なものに利用できないかと研究し、あの、魔物を産み出す魔法陣を完成させた。


 それを各地に設置するために、ティアマトを襲い、花弁を集め始めたということだ。


「あの巨人はなに?」

「あれは宇宙船。あれの大きさが侵略のバロメーター。目標の大きさには達しているのだけれど、彼を使えば脱出出来るかも、と思ってさらに育てようとしたのだけど……」


 船の魔法陣は、そういう理由だったかぁ。巨人を海底に忍ばせて、その上を船で走ってもらう。海底も、忍びやすいように改造してあるのかもね。


 それにしても、と赤い服のティアマトは外を見る。


「なんでこんなに簡単に宇宙に出られるのかしら?」


 電車は海を離れ、何故か宇宙に飛び立っていた。


 申し訳ねぇ。なんかもう、申し訳ねぇ。


 この事態、絶対にあの神様の仕業じゃん。宇宙に出られないのにこの電車だけは出られる。コンパスを持ったボクは空高く飛べた。そんなのもう、全部あの神様の仕業だって言っているようなものじゃん。


 ボク自体は関係ないよ? でも関わってしまっているからには、なんとなく、他人事として捉えられないような……。


「あなたの存在も、おかしいのよね。本来ならばその女性体の思考は、私達と同一のものになるはず。なのに、あなたにはしっかりとした別の自我がある。それに、その体は本当に女性体? 新たなティアマトを身体に宿せられる? おかしいわね。おかしいわ。何が一体そうさせたのかしら」


 詰められてる。完全に詰められてる。どんな言い訳をしよう。下手なことを言えば、ボクは神様の一味とされてしまうのではないか。いいや、ボクは被害者だ。ボクだって巻き込まれているんだ。


 だったら、もう――。


「すみませんでした!」


 ボクは素直に土下座をして、知っていることを話すしかなかった。あの神様の暇つぶしは、どこまでスケールがデカいんだ!?

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