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15話「筋肉痛と勤務苦痛と少女」

「いででででで!痛てえな!」


朝の交差点。

いきなり旗振り中テレビゴリラが痛みで騒ぎだす。

その声に驚く小学生の一同。

一斉にテレビゴリラをみた。

声をかけていいのか悩んでる中、気になったのか一人が声をかけた。


「ねえゴリラさん。」

「っ!?ん?なんだ?たしか綾女ちゃんか?」


テレビゴリラは彼女の名前を思い出す。

彼女は御ヶ嵯原小学校の3-6組の女の子、綾女ちゃんだ。

旗振りしてるのが気に入ったようで綾女ちゃんのお母さんによくお菓子をもらっている。


「いきなりゴリラさんが『いででで!』なんて言うからみんな心配しちゃった。私だって持っていた体操服だって落としちゃったんだから。」

「あ、わりぃ。大声出してすまねえ。」


頭をぺこりと下げる。

そんなゴリラの顔を覗き込むように綾女が覗き込む。


「ねえ、怪我して何処か痛いの?」

「怪我ってわけじゃないんだ。えーっとなんて言うか・・・・・・・」


小学三年生に筋肉痛を説明できるのか?

おっさんしかわからないんだよな。

ゴリラは簡単な言葉で伝えることにした。


「わかるか知らねーけどパパってあんまり運動しないだろ?」

「ん?綾女のパパ?綾女のパパは遠い所に行ったから・・・・・・わかんない。」

「遠い所・・・・・・・・・・・はっ!」


考えず言ってしまったたとえがやばかった。

そうだった。

今、町中に怪人があふれ出している。

そのたびヒーローとの戦闘をするのだが。

その戦闘に巻き込まれた人間たちは結構亡くなっているのだ。

だから綾女ちゃんのパパは・・・・・


「ごめん。悪いこと聞いてしまったな。」

「ん?悪いこと?」

「いや、だから・・・・・ええっと・・・」


言葉を選んでいるゴリラに綾女は


「何モジモジしてるの?」

「うーむ。難しいな。」


青信号になったので旗を振りながら考えるゴリラ。

キョトンとした顔の綾女は話を続ける。


「パパの事?だからさっき言ったでしょ?パパは海外にいて全然帰ってこないの。」

「海外に行ってるんかーい!!!!!」


つい突っ込んでしまうゴリラだったが


― ピキン! ―


「いででででででぇ!筋肉痛が痛てえ!」


その動きが筋肉にクリティカルヒットする。

驚きなのは旗誘導しながらがすごいのだ。


「勤務苦痛?」

「違う!確かに今日の仕事は辛いけどそうじゃない!筋肉痛だ。筋肉を使いすぎると大人は大体なるかな。そのせいで今回は体中痛えんだ。」

「きんいくつう。」

「筋・肉・痛・だ。」

「きん・にく・つうだね!」


英会話のレッスンみたいになってしまった。

そう思っていると


「じゃあわかった学校でみんなに伝えておくね!」


そう言って綾女は横断歩道を渡ろうしたが


「待てよ。」


ゴリラに旗で止められた。

そうか。

今彼の弱点を知ってしまったから私は捕まってしまうんだ!

もうおうちに帰れないんだ。

そんな妄想をしている綾女にゴリラは


「赤信号は止まれだからな。忘れんな。筋肉痛でもお前らぐらいなら助けれるんだからな。」


横顔で道路を見ながら話をした。

青信号になって綾女は思い出した。

そう言えばゴリラさん忘れているかもしれない。

横断歩道を渡り切った時だった。


「テレビゴリラくーん!あっそぼう!」


彼に抱き着くのがいた。

農〇にいる緑村さんだ。


「あがーーーーーーーーーーー!いっでぇー!遊ばねえよ!仕事だって言ってるだろうが!」

「わー!ぐるぐる回る!でも俺・・・・僕は三半規管強いんだぞ!」

「だからやめいって!教育上悪いだろ!」


緑村を振り落とそうとするゴリラ。

それを防ごうと遠心力を上手に使っている緑村。

あれこそが正真正銘の仲良しなんだな。

頷く綾女はその場を後にした。



ある日町の中・・・・・・


「クマさんに・・・・・・」

「であった?ああすまぬ!あっしの名前は・・・・・・俺の名前はラジカセグマ。よろしゅうな。」


握手を求めるクマに握手をする綾女。


「ラジカセ・・・・・クマ?」

「ああ。気軽にラジックマって呼んでいいぞ?ラジックマってな。」

「ラジックマは何してるの?」

「今日マタギが非番だから学校で音楽を流しながらみんなの登校の安全を守っているのさ。」

「へー。でも学校の校門にクマがいたら怖いんじゃないのかな?」


その疑問をぶつける綾女。


「そ、そうなんすよね。今日も学校前で粗相する子が何名かいてね。自分の体の大きさを思い知ったっす。」

「そうかな?体の大きさのせいかな?」


顔のせいだと思うけど。

でも顔いじりは良くないので止めた。


「そう言えばラジックマは体、痛くないの?ゴリラさん勤務苦痛だったよ?」


先ほどのゴリラさんが体の痛みの事を思い出したので聞いてみた。


「勤務苦痛?ああ、あれね。筋肉痛っすね。俺、今回は人型に変身して焼きそば800個ぐらい焼いたけど手しか痛くなってないんすよね。これが若さかな?」

「若いと痛くないんだ。じゃあゴリラさんは若くないんだよね?」

「いや先輩は・・・・・」

「でもさっき若いとならないって言ってた。そうなるとゴリラさんは若く無いってことになる。じゃあ帰りゴリラさんに伝えてこよう。」


去ろうとした綾女。


「待つっす!」


後ろから急に声をかけられた。


「言わないでほしいっす!なんでもゆうこと聞きますから!ゴリラ先輩怖いんで!」


そう伝えながら顔がこわばるラジカセクマ。

それを聞いた綾女は


「うーん。わかった!ゆうこと一つは今使う!じゃあ友達になってよ!もうラジックマ怖くないから。」


綾女が拳をグーにして前に出す。

それに当てるようにクマもグーにして軽くあてた。


「じゃあまた後でね!お話ししようね!」


そう言うと綾女は走りながら校舎に入っていった。

それを見送るラジカセクマはふと思う。


「あの子大きくなったら男女問わず手玉にしてもてちゃうんだろうな。うんうん」


想像する心がざわつくのであった。

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