11.5話「レイゾウコ、休み明けの後日談」
「おまたせー!みんな!」
レイゾウコがいつもと同じ気の無いセリフでやってきたわ。
ん?私?
私は持月。
このスーパーで10年目になるベテラン(自称)のレジ担当。
新人研修やらサービスカウンターの接客まで何でもこなします!
4か月前にはいったレイゾウコっていう子。
最初は怪人と言うことで恐れていたんだけど・・・・・・・
今ではもう慣れちゃったな。
レジ打つのも早いしミスなしの正確さ。
その上タッチパネルは鼻で打つなんて面白技もこなすからみんな列に並んで私の仕事も軽減した。
でも昨日はそうじゃなかった。
もう愚痴ってやる!
「ねえ!レイゾウコ!」
「もっさんおはよう!」
持月、そう今では愛称もっさんと呼ばれている。
「もっさんおはようじゃないわよ!何昨日来た怪人さん。」
「センプウキライオンくん?彼がどうかしたの?」
手を頬に当てて首をかしげている。
どっかのマスコットキャラがしたら可愛いかもしれないがリアル象の顔が付いたレイゾウコだからな。
「どうしたもこうしたもないわよ!彼、本当に大丈夫?」
「大丈夫って何がです?」
「何がって・・・・・彼、最初は面倒くさそうにしてたけどいきなり真面目になって・・・・・最後には純粋に何でも『はい!』しか言わないイエスマンになってたの。」
「あのセンプウキライオン君がですか?えー!?ありえませんよ?」
「ありえない?」
そう言うとゾウコが腕を組もうとする。
冷蔵庫と象と人間モチーフにしてるため腕が組める。
少しだけだけど。
「彼の性格は大雑把でー」
「あー確かにカゴの入れ方でお客さんともめたわね。」
「すぐに騒ぐ。」
「その時に大きな声だったわ。」
「それと熱中できるものがないとすぐ飽きる。」
「お客さんが来ないレジ内でそわそわしてこちらを見てたわね。」
「そんな彼が素直に『はい』って言えるのかな?」
いやまずそんな人・・・・違ったわ。
そんな怪人代わりに連れてくるなよ。
まだ常識知っているような怪人にして。
横断歩道のところにいたゴリラとか建築現場の飲み物を買いに来た大人しいカメレオンさんみたいなのとか。
「あと見た目が怖いって言われるかな。ライオンだし。」
「だからあなたの代わりとして連れてくるな!」
あ!
つい口が滑って言ってしまった。
レイゾウコを見ると。
冷たい眼差しでこちらを見ている。
無言の沈黙が流れる。
そんな彼女の口が開いた。
「持月さんって・・・・・・」
「っ!!!」
「あたしのことが大好きなんですね?もう!素直じゃないんだから!」
そう言うとレイゾウコは体をくねくねしだした。
いや、違っ・・・くはないけどね。
あんた結構信頼してるし。
会話も面白いから飽きない。
「はいはい。そういう事でいいから。レジ始めるわよ。そろそろ朝の団体様が来る時間だし。」
「はい!頑張っていきましょう。」
そう言うと仕事モードに切り替えた。
「あ、お疲れ様っす!」
休憩開けレジに知っている顔に似た怪人が来ていた。
大きなライオン。
鬣が扇風機になっているってことは・・・・
「センプウキライオン・・・・君?」
「ハリケーンレオです!まあ、持月さんならセンプウキライオンでも構わないっす!あと昨日ぶりですね。」
言葉をしゃべってるけど顔が見事のライオンだ。
昔、お兄ちゃんが超生命体が変身してしゃべるアニメで肩についていたような。
そんな顔が付いた二足歩行できる扇風機付きライオンだ。
私こんな怖そうな生き物に注意していたの?
今日は何しに?
まさか昨日の復讐?
体に悪寒が走る。
戦えばズタズタにされるのは間違いない。
周りの県ではそう言う報道もある。
「え、ええっと今日はどうしたんですか?」
丁寧に尋ねる。
「消防で使うものの買い出しっす。火野さんが一緒に来てくれて・・・・・」
隣のレジにいたレイゾウコが目を丸くする。
なにか違和感があったんだろう。
そんな時だった。
「やあ!ハリケーンレオ君!レジは終わったかい?」
大きな声が鳴り響いた。
何かごつい男性がそこにはいた。
「おや!君がレイゾウコ君か!ハリケーンレオ君からは話を聞いているよ。わざと本名を呼びまくって困らせるぽっちゃりガー・・・・・」
「火野先輩!ちっと黙れ!」
火野と言う人物の口をセンプウキライオンが凄いスピードで口を塞いだ。
「もが、もがみがってもじぐぎはんががわいがらびびいぎだいで・・・」
「静かにしましょうねー。ねっ?先輩。」
「まじかにがわいどおぼうげどがのじょばぼうがれじどがうぃるんじゃげえがな?びなびだらおでもじっごうぼずる・・・・・」
「あーもう!話を聞かないなー!この先輩は!困ったな―!じゃあまた来ますんで!持月さんまた!ゾウコも迷惑かけないようにな!じゃあ。」
それでもしゃべっている火野をや無負えなくセンプウキライオンは引きずるように帰っていく。
それをみてレイゾウコが笑っていた。
私はちょっと疲れてしまう。
「嵐のような人たちだったね。」
「くふっ!」
「ハリケーンレオ君の呼び名にふさわしいくらい。」
「ぶはっ!!あっはははははは・・・・・」
レイゾウコが笑いだした。
「え?何か変なこと言った?」
「はははは・・・いや・・・・くふっ!ちがくて。」
「じゃあ何て言うのよ?」
少し落ち着いたようでレイゾウコがこう言った。
「持月先輩、変なのによく好かれてますね。」
「変なのに好かれる?・・・・まさか!」
そう言うとレジ要員のあの方がやってきた。
「あー!レイゾウコ!また持月さんと話をしてるな?!」
「栖祇菜ちゃんいらっしゃい!仕事だからしょうがないじゃない。じゃあもう持月さんと話しない方が良い?」
「それは持月さんが可哀そうになる!その方が許さない!いじめ罪で私が・・・・・!」
また口喧嘩か。
しょうがない。
「栖祇菜ちゃんも来てくれたからレジが楽になるわね。ありがとう。」
「持月さん!」
嬉しそうな顔をする栖祇菜。
その笑顔を見て私はこう思う。
私は変なものに好かれる体質なんだと。
そう言いため息を吐く持月であった。




