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第六話 トイレ……

 

 少しだけ言わせてもらうと、とてつもない臭さである。ユウサクは、それこそ思わず鼻を摘みそうになるぐらいだ。


 周りには空き缶が落ちている。それを潰すように踏むと、気配の反応が物凄く怯えるようになった。


 そして便器の目の前に立つと——少女がいたのだ。


 脂肪も筋肉も無くなり、骨だけしか残っていない少女、生きてるのが不思議なぐらいである。


「大丈夫か?」


「大丈夫な訳ないでしょ」


 ユウサクが聞くと、少女はかすかに消えそうな声で喋った。


 とりあえず視線を合わせるためにユウサクは片膝着く。


「お前はこれからどうしたい?」


 多分大人が居たら早く助けてやれと思うだろうが勇者だからこそ分かる、光のない諦めた目をしていた。


「……ゾンビにならないで死にたい」


「そうか」


 ユウサクは知らないが、ここは残酷な世界だ。強いものに食べ物や武器を奪われる。逆らえば殺されてしまう始末だ。この世界で正義感が強い人はすぐ死んでしまうのだった。


 どうせ生き残ってもまた危険にあうと思ったのだろう。


「いぃゃ」


 驚きの声は少女が発した物であった。ユウサクは少女の言葉を無視し、お姫様抱っこをする。


 はいそうですかとユウサクは納得できなかった。だからこそ勇者なのかもしれない。


「口ではそうは言っているが、じゃあなぜ今死んでいない?」


「……」


 厳しい言い方をするユウサクに何も言い返せない少女。


 とりあえず、水を飲ませることにしたが警戒を解かなかったので、自分で飲んでみせてから少女の口元に持っていった。


「あなたバカなの?」


「よく言われるけど俺自身バカだと思ったことがない」


 苦笑しながら、勇者だった頃のことを思い出す。一体何度馬鹿やってきたことが、周りの仲間たちに迷惑掛けるけど、彼奴らはすぐに許してしまう人物だった。


「元気にしてるかな彼奴ら」


 ユウサクが独り言を言うと、


「死んでいるわよ」


 少女は聞こえていたのか冷たく言葉にした。


「う〜ん」


 その言葉を聞いてコンビニを出ると、歩きながらユウサクは真剣に考える。


 実際三人でパーティーを組んでいたが、一人の男はむかついた王国から財産全部持ってった奴で、生き残るための手段を選ばない。


 二人目の男は体が丈夫過ぎて、死ぬことがあるだろうかと考えてしまうのだ。どんな刃物でも、どんな魔法でもダメージを与えることができない。


 実際、最強の魔王の攻撃も食っていたのにかすり傷しかつかなかったのだ。またマグマのお湯に浸かって溺れていたこともあるぐらい馬鹿なのだ。


 三人目の女は俺と同じでとにかく正義感が強く。あらゆる事件を解決した騎士だ。魔法も得意としている為、近づく事はできない。


「こう考えてくると死ぬ事はなさそうな」


「そう、ずいぶん信じているのね。それとも優秀なのかしら?」


「ああ」


 そう少女と喋っている間に、ゾンビは気づいたのか少しずつ囲むように近づいてきた。


 ユウサクは走れる場所を探し見つけている間。少女はため息をつきながら言った。


「あーやっぱり駄目だったか、ここで私を下ろしなさい。それじゃないと戦えないでしょ? いやこの数だと逃げたほうがいいわね?」


「そうだな」


 そう絶対的な状況であった。ただその場所にいたのが普通の人間であった場合の話である。


明日は少女の視点です。

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