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第三話 壊される

 

 家族へ


 皆な元気にしているでしょうか?


 私はとてつもない後悔しております。


 何せ、戻ってきた数分で犯罪をしてしまいました。


 家族にとても迷惑を掛けたと思います。何せ五年も居ませんでしたから。


 実は異世界に行っておりま……、




 そう手紙を書いていると、ふと手を止めた。


「いや、待てよ、襲いかかって来たのはサラリーマンの方だ。だから無罪に……」


 異世界でも襲いかかってきたら、死んでも罪に問われないのだ、こっちの世界だって襲って来たのだから仕方ないと、ユウサクは考えたがそれはこっちの世界では言い訳だと分かっている。


「だいたい頭吹っ飛んでるしな、庭の土にでも埋めとくか?」


「いやいや、そんなめんどくさいことしなくても良いじゃないか? 力に任せて消滅させちゃえ」


 ユウサクは軽く冗談を言っているが、顔は引き攣っている。そんな中、幻覚がどうかわからないが女性の声が聞こえた。


「ははは、ついに幻覚の声が聞こえてきた」


「なぁ勇者よ、庭を持っておるのに何も育ててないと言うのはちと寂し過ぎるぞ?」


「……」


 やはり聞こえると、ユウサクは目を向ける。そこにはガラスから庭を見ている華麗なドレスを着る三つ編みの銀髪の女の子がいた。


「何故困っているのによりにもよって、ロリ姫なんだよ、幻覚使えな!」


「何を言っておる? 勇者は? ん? 何だ、この箱」


 バキバキと、ユウサクの言葉に首をかしげながら、3DSを粉砕する美少女。


 明日の方向へ曲がっている3DSを呆然と見つめ、思考がまだ動いていない。


「あ……大事な物が!」


「ふむ、こんなのが大事なのか? 魔力を流しても使えなかったぞ? 大事な物だったら金庫にでも入れとけ」


 どうでも良さそうに、そう言いながら汚い物を持ち上げるかのように指でつまみ上げ、おっきな箱の中にすっぽりと投げ入れる。


 ——そこは生ゴミが入っているゴミ箱だ。


「おい!」


 慌ててそのゴミ箱を漁るユウサク、それを見ていた美少女は鼻をつまみながら、嫌そうな顔をする。


「生臭いな、それが勇者の食べ物か?」


「誰のせいだと思っている? ユユ!」


 今にも怒り出す寸前なのに平然としている。


「やっと私の名前呼んでくれた! そうだ第二皇女、ヘルク・ユユ・モトロスじゃ!」


「……で、なんでここに居るんだよ?」


 ため息をつきながら聞くユウサクに、軽く頷くユユ、


「でも、その前に——バンっと」


 爆発音とともにサラリーマンの身体が去った。


 笑顔で振り向くユユ、


「さて、聞いておるのか?」


「私は知らない、私は知らない」


「……まぁ良いのじゃ、それよりの一番偉い王を出せ」


 何も知らなかったことにするユウサクはいきなり、王を出せと言う言葉にクエッションマークが浮かぶ。


「それはどういうことですか?」


「何ペットとして飼うだけだ」


 総理大臣を出せばいいのか? おっさんをペットにするのはどう考える。ユウサクが手を打つと出た答えは——、


「日本終わり?」


「何を言う、下級の世界を私がわざわざ貰ってあげるのだぞ? むしろ泣いて叫んで感謝して欲しい位だ」


 えっへんと胸が無いのに威張るユユ、戦争になるだろうが、確実にユユを止めることは出来ないだろう。


 何せ、バリアを貼れば基本何しても死なないし、あらゆる場所適当に爆発できる。知っている人が居ないユユに取ってこの世界は一瞬で終わらせることが可能だ。


「総理大臣には会えないのだよ、いや、そもそも会い方を知らん」


 あまり姿は変わっていないが今の頃独身で18歳の男、異世界に行く前は13歳だった。


 だから、社会のことを余りよく知らない。


「それでも勇者か!」


「一般人です、お前達がただ巻き込んだだけだろ?」


 ユユがそう言い、ユウサクが言い返すと、


 ユユは頬っぺたを膨らませ怒った顔で暴れ出すのだが、


「腹空いた!」


「分かったから暴れんなやめろ! 私のモウハンが!」


 パソコンのコードがちぎれ、テレビは軽く拳で凹んでいる。


 ユウサクはまるで仲間が死んだ悲劇のように顔真っ青し、トンデモなく落ち込んでいた。


 それを見てユユも冷静になったのか、少し慌てながら、


「ゆ、勇者! お主が食料を調達し、見事私の前に食事を持ってくることができたら、エロいことをしてやるぞ!」


 ドレスに手を掛け、足のももを見える所まで上げる。


 ニヤリと口が緩むユユに対して、ユウサクは冷たい目線になり、


「ここから動かないでください、一般人を殺さないでください、では行ってきます」


 そう言って振向きもせず、ゆっくりとドアを閉めて出て行った。


「ふふふ……」


 ドレスを下ろすと冷たい反応だったユウサクになんとも言えない怒りを覚えたのか、どす黒いオーラが見えたのだ。


 それに気がつかなかった、もしくは気づかなかったふりをしたユウサクは、家にこれから悲劇を起ころうとしているのだが、まだそれは先のことである。



今出来ている物は全て予約投稿にしました。毎日少ないですが毎回朝の0:00に投稿されます。

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