十月末二日間之事_____三十一話目_稚日女尊帰宅之条
お読みいただきありがとうございます。
なぜ上げた後になって誤字に気づくんですかね。 あれだけ確認したのに…。
誤字報告お待ちしてます。
頑張って、頑張って、予定を切り詰め 漸く帰って参りました。
麗しの我が家です!
先月晦日。
ぽこちゃんとすずしろ様はわたくしの出雲への出仕の行き掛けに、二人には色々内緒で神宮へ連れて行き、神使格、神格の取得を促しました。
わたくしの計画の為には仕方の無い事だったとは言え、いきなりで少々可哀想な事でした。
二人とも元気にしてるでしょうか……………。
ぽこちゃんは神使格を、すずしろ様は神階を、二人とも無事に取得して欲しいものです。
まぁ、それは置いておくとしてですよ。
計画の仕上げ!その名も
『加東家 お社化 計画〜!』
加東家を正宮とし、わたくしが主祭神。配祀神としてすずしろ様。
孝蔵様を引き抜きこれを摂社に。
…………………なずな様は呼ぶとややこしいので そっとしておきましょう。あと安寿様も。
神使はぽこちゃんと付喪神のきつね組。
すずしろ様の神使はたぬき組に任せましょう。
孝蔵様の神使は…………………引き抜き工作もまだなので 保留です。
さて、この加東家社化計画もそうですが大事なのはこれ!
本日は日曜日!お兄ちゃん独り占め計画です!
最低でも 今日と明日、二日間たっぷり二人きりなのです!
ガラガラガラッ!
「お兄ちゃん!ただ今帰りましたー!」
しーーーーーーーーーん。
「あれ?」
おかしいです。買い物にでも行ってるのかしら?
「お兄ちゃーん?」
お風呂 ガチャ
「お兄ちゃーん?」
奥の部屋 ガタッ
「お兄ちゃーーーん!?」
納戸にも厠にも………平屋建て表八畳二間 裏六畳二間 台所 風呂 冷蔵庫や押入れの中 の何処にも居ません。
ーーーーまあ、いいでしょう。
仕方ないのでお土産のお茶でも入れて少し休憩です。
…………ずずっ……ふう。
あーこのお茶おいしい……。
…………やはり鳥居は必要ですよねー。
で、あとは注連縄、浄財箱…………壺鈴 ですよね。
玄関に置いたら随分と邪魔になりそう……。
御神体はわたくしですし祭壇とかあったら邪魔ですよね。
衣裳小道具は通力でポイポイ出しちゃいましょう。
日々の食事が神饌という事で供物棚は冷蔵庫と食品棚。
大変! 今までとちっとも変わらない可能性が!
せっかくだから 何かしらちょっとくらい変化が欲しいですねえ。
…………ずずずっ……ふう。
本当に美味しいお茶だこと。
お兄ちゃんに相談しましょう。
ところで今日の夕餉の膳は何が良いですかねえ。
待っていてもつまらないですしお買い物に行きましょうか。
◆
秋刀魚が安かったのでお兄ちゃんとわたくし二尾づつ、大根下ろしとすだち。
お味噌汁の具はお茄子とお豆腐。
お兄ちゃん喜んでくれるでしょうか?
秋刀魚はお兄ちゃんが帰ってから焼くとしてお味噌汁は先に作っておきましょうか。
明日は肉じゃがなる煮物が良いかも知れませんね。
コンビニで購入したお料理本には定番の家庭の味と書かれておりました。
うふふふ〜。
それにしてもお兄ちゃんはまだですかねー。
ひょっとして釣りにでも行っておられるのでしょうか?
さてお味噌汁も出来て、炊飯釜もスイッチを入れました。
あ、土鍋で炊いても良かったのやも知れません
さて、お兄ちゃんが帰るまでお茶でも……。
◆
「お兄ちゃん、ホントに遅いですが一体何処へ行ったのでしょうか…。」
このままではもう直に日が変わります。
よもや わたくしが留守の間に新たな女性が!?
………いやいや、そんなはずは。つい先日まで出雲でお兄ちゃんの縁をあれこれ弄ってたのです。
そんな間など何処にもある訳が。
まさか呉暁の意趣返し?
いや、彼の者も新たな稚日女尊とともに出雲の談合に出仕していた。
悩んでいても仕方ありません。
わたくしだけで夕餉を済ませましょう。
でも、
「……お兄ちゃんと食べたかったなあ。」
◆
「それで寂しゅうして 夜中に酒盛りを始めたは良いが 興が乗って今の今まで高鼾か。……ま、何も言うまい。」
なずな様にチクリと言われてしまいました。
昨夜、結局お兄ちゃんは帰られず、独り寝の寂しい……酔っていてあまり覚えていませんが 寂しい夜だった筈です。で翌 昼の三時。
なずな様がすずしろ様ぽこちゃんを連れ帰って下さいました。 縮地法とは便利ですね。
お二人とも無事合格しました。おめでとうございます。
でも予定では明日までは お兄ちゃんとゆっくり二人きりで過ごす筈だったのですが………嘆いていても仕方ありません。
お兄ちゃんが今日は帰ってくる と言う保証があれば話は別ですが、これがまた一人で夜を過ごす事になるかもと考えると残念がる気にもなれません。
「で、稚日殿。そなた ダーリンの務め先には問い合わせてみたのかや?」
「!」 目から鱗が落ちるとはこれを言うのでしょうか?
そういえばそうです。なずな様の仰る通り、仕事に出仕されている可能性を先ず考えるべきでした。
早速電話してみる事にします。
『ハイ、もしもし、相田空設です。』
「あの 初めまして、わたくし そちらで勤めている加東の妹です。兄は出勤しているでしょうか?」
『あ、先輩の妹ちゃんっすか? 初めましてー!自分、後輩の櫛名田克也って言うっす!先輩には何時もお世話になってます。』
「はあ、どうも。」
『先輩は明後日二日まで 備前っていう所で仕事っすよ。 三日には帰ると思うんすけど、連絡先教えましょうか?』
「ああ、いえ、出勤していたらそれで良いので、ありがとうございます、失礼します。」
『はーい!失礼しまーす!』
けたたましい電話でした。
わたくしは どうにもこの電話と言うものには慣れません。
ともかく、お兄ちゃんはわたくし達を忘れてお仕事の様です。
「いや、そなた様も内緒で出雲へ出仕したのじゃろ? 妙な真似をすると拗れて元に戻れぬ様になるぞ?」
あー、そうです、そうです。危ない所でした。
「所で、なずな様。 ………これ何ですか?」
お三人は解るのですが、見覚えの無い神使のきつねが一人居ます。
「あの! 私、すずしろ様に弟子入りしたスズナって言います。お世話になります!」
「はあ…。」
「スズナ、こちらはここのお社様、稚日女尊様じゃ。粗相のない様にな。」
「はい!よろしくお願いします!」
「稚日女様、これはスズナ。すずの神使ではあるが 使い潰してくれて構わぬで存分に鍛え上げてくだされ。」
何と!すずしろ様は神階を得たばかりで早速神使がついたそうです。
「そうですか。すずしろ様も神格を持った以上 今までの様にすずと呼び捨てる訳にも行きませんね。」
ごすっ!「うぐ! 」
すずしろ様のいきなりのタックルで少々お腹にダメージが!
「………今まで通り すず が良い。変えたらぽこちゃんが困る。」
「そうですか…………では、すず。これからもよろしくお願いします。」
「……………………うん。」
「良かったねー、すずちゃん。」
すずも思う所があるのでしょう。本人が良いなら言うことはありません。
「でもそうしたら私と呼び名 被りますよねー。」
どうやらこの神使、空気を読めないらしいのは良く分かりました。
余り名を弄るなどはしたくないのですが仕方ありません。
「スズナと言いましたか。その名はそなたが神階を授かるまでわたくしが預かります。神使としてここにいる間は樟葉と名乗りなさい。」
「え!?」
「よろしくねーくずちゃん。」
「がんばって、くず。」
「うわーん!みんな、くずくず酷いよー!」
「仕方あるまい。そなたが言い出した弟子入りじゃ。嫌ならとっとと神階を得よ。」
これで あとはお兄ちゃんが帰るのを待つだけです!
おかげさまでやっとふた区切り目です。
まだ先は長いですが、読んで頂ける限り頑張ります。




