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第百十七話

 本日は小学校で入学式がある。息子と娘が通うのは私立の小学校で教師の質、教育体制、設備、通っている学生の質が非常に高く日本王国でもトップ十にはいる学校として結構名が通っている。その分入学するのは難しく授業内容も公立と比べて難しいが、小学六年生の勉強が間もなく終わる天才的頭脳を持つ我が子なら何ら問題はないだろう。というか小学一年生で中学の勉強を始めるとか普通じゃないよな。まあ、頭が良くて困る事は無いし大丈夫か。

 余談だが男の子が入学するという事で大々的な改修工事が行われたり、警備体制を一新したり、給食センターを新設したりとかなり大掛かりな動きをしている。費用は学校と国持ちなので俺達には金銭的負担は無いのだがなんだか申し訳なくなる。

 菫曰く健太と佑馬が六年間も通う事になるのだからこれくらいは当たり前らしい。学校にとっても男子生徒がいるというのはこれ以上ない強みになるし、宣伝効果も計り知れない上に歴史に残る出来事の当事者になれるのだから数億円程度痛くも痒くもないみたいだ。また今年入学する生徒も国、軍警察、学校が入念に調べて検討した上で入ってきているので万が一にも危険人物が紛れ込む可能性は無いというのも安心出来る。ここで疑問が浮かんでくる。はたして一般人は入学できるのだろうかと?私立の小学校というのもありある程度裕福な家庭じゃないと難しいと思うし、試験や面接もあるので相応の学力や人間性も精査されるので入学難易度はそれなりに高いだろう。それらにプラスして今回は男の子も入学するのでハードルが前例がないほど上がっているのは容易に想像できる。超高難易度となった入学試験を突破を一般家庭出身者が果たして突破できるのか?個人的にはほぼ不可能だと思う。となれば今回入学した生徒は英才教育を受けたそれなり以上の経済力や地位を築いている家庭出身者となるのではないだろうか。

 ……うちの子が馴染めるかどうか心配になってきた。もしイジメられたりしたらと思うと今から胃がキリキリしてくるし、入学を取りやめた方がいいのではないかという気持ちになってくる。

 でも親の過干渉は子供の教育や成長の妨げになるし、過保護なのは百害あって一利なしなので注意深く見守りつつ何か問題が起きた際はすぐに動けるように体制を整えるくらいにしたほうがいいか。あれこれと思考を巡らせつつ体育館へと移動する。そこからの流れはお決まりの感じで生徒入場、校長挨拶、来賓祝辞、学年主任からこの後の流れの説明等々が行われていく。保護者席から見る限り私語を話したり、ちょろちょろと動くような子供はいないし髪を染めている人も……いた。プラチナブロンドで光の当たり方によっては銀髪に見える子が二人いるな。後ろから見ているので日本人なのか海外の人なのか判別がつかないが、なんとなく染めているようには思えないんだよな。ここまで色素の薄い色となるとブリーチを数回行った上でカラー剤を塗布していく事になるが、どうしても自然な発色とは違う色になってしまう。だが前述した二人はあまりにも自然な色合いだし、一切プリンになっていない。そこら辺を考えると地毛と言う可能性が高いな。日本王国の髪色は黒なのでほぼ百%海外の人だろう。多分北欧諸国出身ではないだろうか?スカンジナビア半島や北ヨーロッパと言う可能性もあるが、比率で考えると北欧出身の確率が最も高い。でも態々日本王国の小学校に入学するだろうか?言語やコミュニケーション、環境、習慣、その他諸々が全く違うのだから小さい子供であっても馴染む迄は相当苦労するはずだ。……というよりも幼い年齢だからこそ馴染めずに苦労しそうではある。特に精神的にも肉体的にも成長しきっていない為些細な事でも大きな負担になってしまうだろうし、圧倒的にデメリットの方が大きい。

 果たしてどういう理由でこの学校に入学したのか謎だ。うーん……と頭を悩ませている内に入学式が終わったようで生徒達はそれぞれのクラスへと移動していく。

「拓真さん。私達も移動しましょうか」

「分かりました。――えーと、子供達のクラスはここですね。全員一緒なので助かります」

「学校側が配慮して下さったのだと思います。バラバラのクラスだと問題が起こった際に対処するのが難しいですし、子供の事を考えると一纏めにした方が良いですから」

「確かに雪音の言う通りですね。っと。遅れてはいけませんし行きましょう」

「はい」

 みんな揃って教室へ移動して、中に入ると既に席についていた生徒や親御さんから一斉に視線を向けられる。息子と娘は俺達を見て満面の笑みを浮かべながら手を振っていた。あまりの可愛さに俺も小さく手を振ると嬉しそうにしているので思わず頬が緩んでしまう。

「拓真さん。入り口で立ち止まっていると他の人の迷惑になるので前に進みましょう」

「おっと。そうでした。すみません」

 雪音に注意を受けていそいそと先へと進む。有難い事に全員が纏まって立っていられるスペースが空いていたのでそこまでいくとチラリと周囲を窺ってみる。ふむ。明らかに身形が良く、一般人とは違う雰囲気を纏っている親御さんばかりだな。立ち姿一つとっても非常に洗練されているし、上流階級の人だと分かる。あとは体育館で見たプラチナブロンドの母親もいるな。次は生徒だが実に大人しい。お喋りしたり、椅子に凭れ掛かってぐだぁ~としている子もいないし、母親の所に行って甘えている子もいない。チラチラと俺の方を見たりはしているがそれくらいだな。

 うん、間違いなく厳しく躾けられているし確りとした教育を受けているだろう事は明白だ。……えっ?ちょっと待って。もしかしなくてもこのクラスは上流階級の御息女しかいないのでは?そう考えると一般市民の俺がこの場に居るのは場違い感が半端ない。ぐっ、胃が痛い。

 そんな俺の心境を知ってか知らずか担任の先生が教室に入ってきて挨拶の後説明を始めた。随分と若く見えるがこの世界では見た目で年齢は測れないからな~。六十代、七十代でも二十代半ばにしか見えないとか当たり前なので新米教師なのかベテラン教師なのか全く分からん。そんな事を考えつつ先生の説明を聞いていく。

「以上になりますが質問などありますか?」

「すみません。幾つか聞きたい事があるのですが宜しいでしょうか?」

「は、はひ。なんでもお聞きくだしゃい」

 物凄く嚙んでいるが見て見ぬ振りをして質問を投げかける。

「もし子供がクラスに馴染めなかった場合等は別のクラスに入るという事は可能なのでしょうか?また授業内容についてですが先の学年まで進めている場合はどういう対応を取られるのでしょうか?」

「まずクラスに馴染めない場合は学校側で精査した上でクラス替えを行います。当然新しくクラスメイトになる生徒も十分に吟味した上で配置しますので問題は起こらないかと考えております。次に授業に関してですが上の学年まで家庭学習で進めていたとしても一年生用の授業を受けて頂かなくてはなりません。文部科学省の決まりですので何卒ご容赦下さいませ」

「質問に答えて頂き有難うございました。私からは以上です」

 心配だった部分も聞けたしよかった。先生からの答えも大体予想通りだったし、一安心だと内心でホッとしながら周りに視線を向けると生徒や親御さんがまさに顔面蒼白と言った表情を浮かべていた。はて?俺の質問に変な所でもあっただろうかと疑問に思っていると、隣にいる小百合が小声で耳打ちしてきた。

「クラス替えの可能性があるので気が気じゃないのではないでしょうか。折角男子と一緒のクラスになったのに仲良くなる前に息子や娘が合わないと感じてクラス変更を願い出たらそれで終わりですから。当然今のクラスの人達は接触禁止になりますし、場合によっては合同授業でも別々になる可能性が高いので戦々恐々としているのだと思いますよ」

「普通に接していれば何も問題はないのではないですか?例えば無視したり、机に落書きされたり、質の悪いいじわるをされたりしない限り仲良く出来ると思うのですが」

「……もしそんな事態になれば百%捕まりますし、無期懲役の実刑判決が下されますよ。日本王国には死刑が無いので実質死ぬまで刑務所暮らしになります。それ以外にも一族郎党は社会的に死にますし、一生後ろ指をさされて暮らす羽目になるでしょう。この場には海外の方もいらっしゃるようですが、問答無用で日本王国の法律が適用されるので一生祖国の土を踏むことなく生涯を終える事になりますね」

「皆の表情が青ざめている理由が分かりました。軽く考えていましたが人生に関わる内容だったらそうなりますよね。ちょっと軽率でした」

「そんな事はありませんよ。事前に釘を差すべきですし、これで知らなかったという言い訳は通用しなくなりますから」

 まあ、確かにそうなんだけど果たして普通に学校生活を送れるのか心配になるな。息子や娘に気を遣いながら毎日を過ごすなんて精神的にかなりの負担になるだろうし、担任の先生もストレス性胃炎や胃潰瘍になりそう……。ここは一つ親として生徒と先生に気軽に接するよう話すべきだな。もうすぐ説明も終わるし、その後にでも上手い事話をしよう。

「他に質問のある方はいらっしゃらないようですのでこれで終わりたい思います。この後の流れですが資料を配布しますのでお時間がある時にお読みください。配布が終わったら自由に帰っていただいて構いません。ではお配りします」

 生徒に配った後、俺達にも渡された。二枚綴りの紙で今後の学校生活について等が書かれている。昔あった連絡網は個人情報保護法がある為配布はされないみたいだ。住所、電話番号、名前が三十人分掲載されているんだからそこそこの価値はあるし、今は端末をみんな持っているので固定電話が無いというのも理由としてあるだろう。これも時代の流れかなぁと考えている内に終わったみたいで息子と娘が俺達の方へ向かってきた。

「「「お父さま‼」」」

「「おとうさん‼」」

「お疲れ様。皆大人しく話を聞いていて偉かったね」

「これくらい当然です」

「本当はお父さまの方をずっと見ていたかったけど我慢しました」

「近くにお父さまがいるのに見る事も出来ず、辛かったです……」

「えへへっ、お父さんに偉いって褒められちゃった」

「だな。大人しくしていた甲斐があったよ」

「よーし。頑張ったから頭を撫でてあげよう」

「「「「「やったー!」」」」」

 二人ずつ撫でていくと嬉しそうにしながら喜んでいる。もうさ、可愛すぎだろう。ピタッと抱き着いてきて気持ち良さそうに目を細めている姿なんて天使だな。ここは天界でしたか、有難うございますと信じてもいない神にお礼を言う。

 周りから羨望と嫉妬の視線を向けられているがそんなの今は気にしてはいられない。可愛い天使たちを撫でないといけないからな。――そうして全員を撫で終わった後、妻と子供に声を掛ける。

「ちょっと先生に話があるから少し待っていてもらってもいいですか?」

「はい、大丈夫ですよ。時間はあるのでゆっくりお話しして来て下さい」

「有難うございます。それじゃあ行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 まだ教壇の所に居た先生の元まで行くと声を掛ける。

「すみません。少しお話ししたいのですがよろしいでしょうか?」

「は、はい。大丈夫です」

「まずは自己紹介からですね。佐藤拓真と申します。今日から娘と息子がお世話になりますので宜しくお願い致します。色々とご迷惑をおかけするかも知れませんが、その時はガツンと注意してやって下さい」

「私は富田静江と申します。教師になって二年目の新米ですので至らぬ点も多々あると思いますが精一杯頑張りますのでよろしくお願い致します。……男子生徒に注意するのは社会的に死ぬ可能性が高いので流石に難しいかと。学校だけの問題ではなくなってしまいますし……」

「目に余る程厳しくしたり、罵詈雑言を浴びせかけるなどをしない限りは大丈夫だと思いますよ。悪い事をしたら注意するのは当たり前ですし、怒られないと理解できない年齢でもありますから。もし注意したことが原因で冨田先生がやり玉にあげられたら私に言って下さい。こちらの方で対処しますので」

「何から何まで申し訳ありません。何分クラスを持つのは初めてなもので分からないことだらけで試行錯誤している最中でして。それに男の子が学校に通うクラスを受け持つ大役を任せられたことで精神的にも肉体的にも限界が近くて……。ここ数週間はあまり寝れない夜を過ごしておりやっぱり私には無理なんじゃないかと後悔ばかりしております」

「そこまでご負担になっているとは知らずに申し訳ありませんでした。息子は聡明で優しい子なので一般的に知られている男子とは全然違いますので気楽に接して頂ければと。と言っても難しいですよね」

「はい。やんちゃな年齢ですので些細な事で問題が起きる可能性が高いので気を遣わないといけませんし、気楽にとはいかないかと」

「実際に接してみればわかると思いますが、女性に対して忌避感や嫌悪感はありませんし横柄な態度を取ったり、目上の人に対して失礼な事はしないので安心して下さい。先生が注意するのが難しい場合は私に伝えてくだされば後で言い聞かせるので教えて下さい。教師になって二年目という事で不安や心配が尽きないと思いますが、私も微力ながらお力になるので一緒に頑張りましょう」

「佐藤さん……。あ、ありがとう……ございます。うっ、ぐすっ」

「一人で抱え込まずにどんな些細な事でもいいので悩んだり困ったりしたら私を頼って下さい」

「はい……はい。ぐすっ、ぐすっ」

 張りつめていたものが切れたのか泣き出してしまった冨田先生の背中を優しく摩りながら落ち着くまで待つ。仲の良い女性だったり、それなりに面識がある人だったら軽く抱きしめてあげられるんだけど今日初めて会った人なので止めておく。決して嫌がられるかもしれないからしなかったわけじゃないからな。

 五分ほどで落ち着きを取り戻したので背中を摩るのを止めて一歩後ろに下がる。それと同時に耳まで真っ赤にした冨田先生が話しかけてきた。

「お恥ずかしい姿をお見せしてしまいすみませんでした」

「気にされる必要はありませんよ。誰にでも泣きたい時はありますし、少しでも心の安らぎを得られたのなら私としても嬉しいですから」

「本当にお優しいのですね。男性はもっと傲慢で怖い人だと思っていましたが、全然違いました。――こんな風にされたら惚れてしまうのも仕方ないですよね」

「泣いている女性を放っておけるほど非情では無いですし、富田先生のように綺麗な女性なら尚更です」

「うぅ……、男性に褒められるなんて初めてですがとっても嬉しいです。あぁ、どうしましょう。幸せ過ぎて今にも死んじゃいそう」

「まだお若いのですし、死んじゃ駄目です。一緒に長生きしましょう」

「それは生涯を共にしましょうという事ですか?」

「えっ?」

 あれ?今の流れでどうやったそうなるのだろうか?一緒に長生きしましょうってプロポーズになるのか?普通に天寿を全うするまで元気でいましょうというニュアンスで言ったんだけど伝わらなかったのかもしれないな。まあここは深く追求する場面でもないしサラッと流すとして、最後に挨拶をして終わるか。

「んんっ。それでは娘と息子をこれからよろしくお願いします」

「はい。お任せ下さい」

「それではこれで失礼致します」

 富田先生との話を終えて妻と子供の所へ戻ると何やら他の親御さんと話しているようだったので少し離れた場所で終わるのを待つ事にする。

 話している相手はプラチナブロンドの女性が二人と黒髪の女性が二人か。声を押さえて話しているので会話は聞こえないが英語で話しているのだろうか?そういえば妻達は全員英語を話せるんだよな。第三言語としてエスペラントも習得していると聞いた覚えがある。母国語の日本語、第二言語の英語、第三言語のエスペラントと三種類話せるのでトリリンガルになるのか。俺は日本語と中学生レベルの英語しか分からないので比較すると酷いものだ。言い訳させてもらうと日本に住んでいて仕事をしているので英語をしゃべる機会も必要も無かったというのと、海外旅行に行くとしても基本ツアーなので通訳がいるし英語を必要としないというのもある。なので簡単な英単語は分かるけど日常会話すら出来ないレベルだ。

 子供の通う学校に海外の人がいると分かっていればある程度勉強していたのにと後悔していると千歳が声を掛けてきた。

「もう先生とのお話は済んだのですか?」

「はい。とても良い人でしたし、安心して子供を任せられそうです」

「拓真さんがそう仰るなら大丈夫ですね。――それでは帰りましょうか」

「ご婦人方とお話し中では無かったのですか?時間には余裕がありますし、もっと話していても大丈夫ですよ」

「お気遣い頂き有難うございます。あっ、そうだ。良い機会ですし拓真さんにご紹介しますね。こちらの方が宮園麻沙美さん。お隣に居るのが式宮沙織さんです」

「初めまして。佐藤拓真と申します」

「初めまして。千歳さんからご紹介に与りました宮園麻沙美と申します。仕事は会社のCEOをしております。今日から娘が同じクラスになりますのでよろしくお願い致します」

「初めまして。私は式宮沙織と申します。宮園さんと同じく仕事は会社のCEOをしております。娘がご迷惑をおかけするかも知れませんが、何卒よろしくお願い申し上げます」

 宮園さんと式宮さんの挨拶が終わった後再び千歳が口を開く。

「次にこちらの方がバネッサ・サイアーズさん。隣にいらっしゃるのがカレン・アルバーンさんです」

「えっと……Hello. My name is Takuma Sato.」

「初めまして。私はバネッサ・サイアーズと申します。欧州連邦出身で公爵家当主をしております。娘共々今後ともよろしくお願い致します」

「初めまして。私はカレン・アルバーンと申します。北米帝国で大公家当主をしております。至らない点も多々あるかと思いますが、よろしくお願い致します」

「えっ?日本語で話して……えっ?」

 海外の人だから英語で挨拶したら完璧な日本語で返事をされてしまった。発音が変だったり、文法や言い回しが変という事は一切無くどこからどうみても完璧な日本語だ。大事な事なので二回言ったが、頭が混乱していて上手く考えが纏まらないので許して欲しい。というかどういう事?

 頭に?マークを浮かべている俺に対してサイアーズさんが理由を説明してくれた。

「私も隣にいらっしゃるアルバーンさんも日本語はネイティブなんです。娘も同じくネイティブですが、日本王国の文化や習慣、慣習や歴史については勉強中なので失礼な発言や行動をするかもしれませんが、その時は私どもに伝えて頂けると助かります。確りと教育しなおしますので」

「成程。そういう事だったんですね。でも日本人以上に日本語を扱えていますし、相当努力成されたのですね」

「そう言って頂けるととても嬉しいですし、頑張りが報われます。ただ日本語習得や日本王国についての勉強はとても楽しかったですし目標も有りましたのでそれほど苦では無かったんですよ」

「そうなんですか?こう言っては何ですが日本語はマイナーな言語ですし、態々覚える必要は無いのではありませんか?世界共通語である英語とエスペラントを習得していればどこに行っても言葉は通じる訳ですし」

「日本語は今や押しも押されぬ破竹の勢いで話者が増えている言語なのですがご存じありませんか?」

「初めて聞きました」

 どこかで注目されるような出来事でもあったのだろうか?それにしたって日本語を選ぶのはいばらの道だと思うのだけど。カテゴリーIV(最高難度)に指定されている言語だし、ネイティブレベルになるには少なくても数年はかかるはずだ。それを踏まえて考えてみてもやはり選ぶ理由が分からない。ん~……と頭を悩ませていると上着を引っ張られたのでそちらの方へ視線を向ける。

「お父さん、お腹空いた」

「おぉ、もうこんな時間か。お昼から大分時間も経っているしお腹も空くよな。それじゃあご飯を食べに行こうか」

「うん」

「申し訳ありませんが、今日の所はこれで失礼致します」

 四人に挨拶をした後家族と一緒に教室を出て昇降口へと向かう。たった数時間だったけどかなり濃密な時間を過ごしたせいか結構疲れてしまった。こういう時はガツンとスタミナが付く料理を食べたくなるな。さて、何を食べようと思いつつ帰路に着くのだった。

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