VS.ロザリア③ 同じ力のぶつかり
幸運にも命の危機を脱したけど、まだ戦いは終わっていない。
でも、さっきみたいな一方的な展開にはならないよ。
今の私は模倣の力をロザリアになることに使い切っているため、未来視の力は使えない。
だけど、この便利な力があれば先は視なくても戦える。
「これも私が欲しかった力。転移系は移動に便利だからあるなら集めておきたい力だったけど、その上位互換が手に入るなんて私もツイてる」
「欲しかった? 集める? ルナ……まさか、あなたは他人の力が使えるの?」
「そうだよ。私の力は模倣。何でも真似できる。あなたの姿も、能力も、吸血鬼としての特徴も、ぜーんぶ私のモノ」
そう、だからよかった。
あなたが吸血鬼で、高い再生能力を持っていたから私は助かることができたんだ。
「ふぅ、なるほどね。目の前に自分の顔があるなんて不思議な気持ちだからつい取り乱してしまったわ」
「ずっと心を乱していてくれれば私も楽だったのに」
「それはできない相談よ」
うーん、残念。
このまま慌てふためいてくれてたらよかったのに。
と、相手の不都合を祈るんじゃなくて、こっちのことも考えないとね。
この身体になって分かったけど、フラウの攻撃が通ってもダメージが極小すぎてすぐに回復されてしまう。
私のお腹にぽっかり空いた穴がたったこれっぽっちの時間で塞がるんだから、あの程度のダメージはロザリアにとってかすり傷にもなっていないはず。
それなのに効いたようなふりをするなんて性格の悪い。
となると正直言ってフラウを攻撃要因として動かす意味がなくなるんだけど、ロザリアの攻撃はフラウ単体で処理できるものじゃないしどうしようか。
私も今予知できないし、フラウが狙われるのはそれはそれで嫌だし。
でも、フラウは私のために身体を張ってくれた。
私が認めた精霊の力、私が信じてあげないとね。
「フラウ、見ての通り今の私は予知できないからロザリアの移動先も教えてあげられない。フラウの攻撃もあんまり効果はないのかもしれない。それでも……一緒に戦ってくれる?」
「うん! ルナおねーさんを一人にしないよ!」
ありがとう、そうこなくっちゃね。
いくら私がロザリアを模倣して、吸血鬼の身体と空間に干渉する能力で対抗しようと、相手も同じ。
私がパワーアップしたところで別にロザリアが弱くなったわけじゃないし、なんなら与えたはずのダメージもなくなってると思うと、良くて五分、悪くて私の微不利だろう。
同じ身体、同じ能力。
それでも吸血鬼歴は向こうの方が長いし、能力と触れ合ってきた期間も敵わない。
そんな私が負けている要因を、違う要因で補う。
こちらにはフラウがいる。契約した精霊の力がある。鑑定と未来視がある。そして――――まだ見せていないアイテムがある。
ロザリアにはないものもすべて合わせて対抗する。
「あなた風に言うなら、夜はまだまだこれから……とか?」
「それは挑発のつもり?」
「いいえっ!」
私はロザリアの目の前に転移して拳を振るう。
当たる直前で、ロゼリアの姿が掻き消え、少し横にズレた場所に現れた。
その流れで私の腰あたりを狙って横薙ぎに蹴りを放ってくるが、私はそれをロザリア真上に転移して躱す。
その際に体勢も入れ替えてサッカーのボレーキックのようにロザリアの顔に向かって蹴りを放つがロザリアはそれを後方への転移で難なく避けた。
このまま落ちたら頭をぶつけてしまうので、私は体勢の上下を入れ替え立つように転移した。
「同じ力だとこうなるんだ」
「そうね。私もテレポーターと戦うのは初めてだから新しい発見だわ」
同系統の力同士のぶつかり合い。
お互いに転移を使って回避が可能だから攻撃がまるで当たらない。
「あなたは気付いた? 私達はお互い有効な攻撃はできそうにないわ。転移は見てから反応しても間に合うし、転移先を攻撃するなんて器用なことはお互いが空間を把握してる限り不可能。あなたがただの人間ならいざ知らず、お互いの肉体レベルが同じなら大した有効打にはならない。あとは……あなたがどれだけその私の身体を維持していられるかでも変わるけど……それもあまり期待できなさそうだしね」
「じゃあ負けを認めてくれるの? 私をもう襲わないって約束してくれる?」
「ふふ、あははっ! 面白い冗談ね。確かに今の攻防で不毛な戦いを強いられることは理解した。それでもそれは私が負ける理由にはならないのよ」
ま、そう簡単に諦めてくれるはずもないか。
仮にここを見逃してくれたとしても、私にマーカーが付けられている以上結局安心はできない。
それにロザリアが負ける理由にもならないけど、私が勝てない理由にもならない。
私の平穏を脅かす彼女はここで叩いておかないといけない。
とはいえ、ロザリアが言ったように同系統の力同士では相性が悪いし、その分力関係がはっきりする。
今回は私がロザリアになって同じスペックを獲得しているため、何とかなっているけど……どう詰めようか。
「ちなみになんだけど、吸血鬼って寿命があるの? 私を吸血鬼にすることで助けようとしてくれたって事はもしかして不死とかだったりする?」
「さあ? あいにく死んだことはないから分からないわね。でも寿命は長いんじゃないかしら? でも、そんなに気になるなら殺して確かめてみれば? それとも自分の身体で確かめてみる?」
吸血鬼の弱点とかはおおまかに知ってるけど、それがこの世界でも適応されているか分からない。
攻略法がないなんてことは、絶対にない。
命を奪うことだけが勝利じゃない。
というか死ぬのも殺すのも嫌なんですけど。
私自身この世界に来てある程度は割り切ってるし、さっきもグロいことになったばかりなんだけど、それと慣れは別なんだからあんまり物騒なこと言わないでよ、ね!
面白いと思って頂けたら、ブクマ、ポイント評価、レビュー等で応援してもらえたら幸いでございます……!




