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見て、視て、観て

「そう、それは残念だったわね。人の話を聞かずに一方的に自分の言いたいことだけ言うの、悪い癖だわ」


 あの後、レティさんの魔道具店に戻ってきて事の顛末を説明すると、レティさんはやっぱりねとため息をついた。

 どうやら悪い予感がしていたらしく、その想像通りにおばあちゃんは私の話をあまり聞かなかった。


「あれでも力は本物だし、それを活かした占いの腕も定評があるのだけれど……」


 ま、確かに未来が視えるなら占いもお手の物なんだろうけど……ああいう人ってわかってないとびっくりしちゃうよ。


「フラウちゃんもこわかったね。よしよし」


 フラウはレティさんの膝に座り頭を撫でられている。

 戻ってきたフラウの元気がないことに気付いたレティさんが何があったのか察して慰めようとしてくれている。


「どうする? 私が頼んでもう一度見てもらえるように取り図ろうか?」


 レティさんは私が聞きたいことを聞けていないことを心配して、このような申し出をしてくれたのだろう。

 だけど、もうその必要はない。


「大丈夫です。自分の未来は自分で視ます」


 力の発動を意識。未来視の力を認識。

 すると私の目は途端に熱を帯びる。


 見開いた眼はまだ見ぬモノクロの世界の情報を表示して、枝分かれした未来の光景が次々に頭をよぎる。

 おおう、これがおばあちゃんが見ている景色か……。

 なんか、こう、頭がパンクしそうとかそういうのではないのはよかったけど、やっぱりぼんやりとしたものが多くてよく分からないというのが本音だ。


「ふう、これはまた使い勝手がいいのか悪いのか分からない力だけど、情報戦には役立つね」


「……今のあなた、おばあさんが未来を視ている時の雰囲気とそっくりだったわ。さっきの言葉、まさか……?」


「私の力は模倣。さっきおばあちゃんに会った時に未来視は模倣済みです。これがあれば吸血鬼にもきっと抗えます」


「驚いたわ。でも、あの人と同じで未来を視ることができるなら……!」


 そうだ。

 まだぼんやりとしていて、確定した未来はそれほど多くは視れない。

 それでも可能性の高い低いが分かるのはアドバンテージだ。


 でも、ある光景が視えてしまってから私は悩んでいる。


「浮かない顔してどうしたの?」


「未来の一つ。まだ確定していない未来なんですけど、この町が戦場になる可能性が視えました」


「な……? それはまずいわね」


 思えばおばあちゃんの話を聞いた時に気付いてもよかったことだ。

 未来が確定したということは私がどんな行動を取ろうと遅かれ早かれ出会うことになる。


 そして今の私の行動範囲は狭く、迷いの森かこの町しかない。

 迷いの森なら多少暴れられても何とかなるが、万が一この町で襲われて関係ない人たちに被害が及ぶのだけは何としても避けたい。

 じゃあどうするか。

 未来を辿る私は、思いついたように声を漏らした。


「そうだ、こっちから仕掛けよう」


 逆転の発想。

 いつ、どこで邂逅するか分からないなら、こちらから行ってしまえばいい。

 そうすれば町で相対するなんて最悪な事態も起こらない。


「……正直、危険だと思うけど、そうするのがいいのかもしれないわね」


 レティさんは心苦しそうに顔を顰めて呟いた。

 これは私だけを戦場に放り込むようなもので、当然気分の良いものではないのだろう。

 たとえ出会って間もない浅い関係だとしても、こうやって心配してもらえるのはとても温かい。


 でも、多分これが最良だ。

 自宅や町を戦場にせず、こっちのペースで仕掛けられる。


「でも、場所が分からないとどうしようもないけど、おばあさんは何か教えてくれたの?」


「いえ、大丈夫です。ちゃんと視えたので分かってます」


 視えたから分かった、といったがこれは半分本当で半分は嘘だ。

 予知の中に見覚えのある場所があり、偶然にも私はその場所の知識を持っていた。


 私はその場所を知っている。

 この町から見て迷いの森とは反対の方向にある湖。

 その道から少し逸れたところには廃墟がある。


 そこで戦っている未来。

 負けた私がそこに連れていかれる未来。

 そこが吸血鬼の住処であると裏付ける予知が視えた。


「きっと私の動向は捕捉されています。だったらせめて先手を取りたい。バレていたとしても後手に回るより数倍マシです」


「そう、ね。何か私に手伝えることはあるかしら? 私は特に力もないから模倣してもらうこともできないけど、できることがあるなら何でも言ってね」


「じゃあ、そのままフラウを元気付けてもらえますか? きっと彼女の力は必要になるので」


「フラウちゃんが……? いえ、分かったわ。あなたがそういうのならきっとそうなんでしょうね」


 フラウは見た目は子供でも、ちゃんと精霊。

 カワイイ見た目でも立派な戦力だ。


 吸血鬼と比べてしまえば霞んでしまうかもしれないが、それでも万全な状態でいてくれないと私が困る。

 レティさんに上手いことあやしてもらおう。


「あとは……そうですね。ちょっと持ち物も考えたいのでちょっと見させてもらいますね」


 なんかいい魔道具があるかもしれないし、そうじゃなくても最低限は鞄の中身を潤わせて安心したい。

 私はゲームでも回復アイテムが一定数無いと不安になる質だし、道具で解決出来ることならお金は惜しまない。


 見て模倣して、模倣した力で未来を視て、鑑定で視て。

 目に関する力ばかり集まっているなとふと思いながら、私はレティさんのお店の商品を早足で調べた。

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