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鑑定眼の相性?

「すごいねー。武器がいっぱい! あっ、あっちの方にすごくおっきい剣があるよー」


「ちょっ、分かったから引っ張らないで」


 入店直後、フラウの興味はあちこちに移り、私の腕を絶え間なく引っ張り続けている。

 でも確かに心躍るものはある。


 こういったかっこいい武器が並んでいる様子は私の少年の心を呼び起こす……まあ、私は前も今も女なんだけど。


「あ、すみません。いらっしゃいませー」


 よかった、ちゃんといたよ。

 彼女か私の目的。この店の看板娘。

 銀髪ショートヘアから優しそうな青い瞳を覗かせた少女。

 目線も変わらないなら身長も同じくらいだし、なんなら歳なんかも一緒くらいかもしれない。


「初めましてですよね? 私はユーリ・ハルバード。この店……お父さんのお店のお手伝いをしています。気軽にユーリと呼んでください」


「私はルナ。こっちはフラウです」


「フラウだよ! よろしくねユーリおねーさん!」


「ふふ、かわいい。妹さんですか?」


「まぁ似たようなものです」


 やっぱり他人から見たら私達は姉妹に見えるのだろうか。

 やんわりと否定はしているものの、悪い気はしない。


「見た感じ歳も一緒にくらいだと思いますので、変にかしこまらずに崩して話してもらって構いませんよ。それで今日はどんな御用ですか?」


 どんな御用、ね。

 こうして目を見て顔を合わせて話をしているだけでも私の用事は終わっていってしまう。

 私の心の持ちようが違うからか、模倣の力は彼女を積極的に受けいれている。


 きっとこれは力を使おうと思っているか、抑えようと思っているか……要は意識の違いによるものだろう。

 自動解析の速度は俄然早い。


 あと、崩して喋っていいなら遠慮なくそうさせてもらおう。


「用事なら終わったよ。私はあなた、ユーリに会いたかった」


「……私にですか?」


「あなたの力が必要だったの」


「それは私が多少剣の腕に自信があるとどこかで聞いて仲間にしようということでしょうか? でしたらごめんなさい。私はこのお店を手伝うのが性に合っているので」


 へー、それは初耳だったね。

 ゲームでは仲間に引き入れることのできないキャラだったし、実力はそれなりといったところかな。

 あ、でも剣技が使える人の模倣をできたのはありがたいかも。


 じゃなくて、違うんだよね。

 そうじゃないんだ。

 ユーリを仲間にするつもりなんてない。

 まあ、せっかく同年代くらいの女の子と出会えたし、友達になれたらいいなとは思うけど、この子がこのお店一筋なのは識っているから無理に引き抜こうとは思わない。


「違うよ。勧誘が目的じゃない」


「じゃあ私の力が必要ってどういうことですか? 何か鑑定が必要な物があれば調べますけど……」


 口で言ってもいいけど見せた方が早いか。

 今は私とフラウ、ユーリしかいないし……というかこれからバリバリ使っていく力なら隠していても仕方ないし。


「よく見てて」


 そう言って私はその場でクルリと一回転した。

 揺れる服、たなびく髪。

 それらの色や形が変わり、背が縮んでいく感覚。


「え、え? フラウちゃんになった?」


 私は模倣の力を実演するためにフラウの姿を借りた。

 そしてもう一度。


「嘘………………私?」


 先程見て、視て、焼き付けたユーリの姿。

 短めだがサラサラで触り心地の良い髪を撫で、ニコッと不敵に笑ってみせると、ユーリは戸惑って目をぱちくりさせている。


「驚きました。変身能力者でしたか……。珍しい能力をお持ちなんですね。でも、どうして私の姿を……?」


「本当に姿だけだと思う?」


 そう言って私はユーリの姿のままユーリをじっと見つめた。

 そのままお試しで鑑定をしてみる。


「へー、人に使うのってこんなものなのか。意外と表層だと見える情報も少ないのかな? てことはもっと集中して深くまで見通せば…………」


「ま、まさか? ルナさん! 鑑定を使うのはやめてください! 危険です!」


「危険? どういうこと?」


 私は目を細め、言われるままに鑑定をやめた。

 途端に頭の端に映り込むように存在した情報はふっと消え失せ、軽い圧迫感のようなものがなくなった。


「私の鑑定はモノに使う分には何の問題もないのですが、人に使うと情報が処理しきれなくて頭が痛くなり、酷い時だと意識を失ってしまうんです。だから人への使用は控えているのですが……」


「そうなんだ。でも多分私には関係ないかな」


 ユーリの鑑定眼で得られる情報より私の模倣で得られる情報の方が断然多い。

 最初は慣れなくて目眩がしたり頭が痛んだりしたけど、今はもう慣れつつある。

 模倣に慣れていて今更鑑定程度の情報でどうにかなるようなやわな身体ではないんだよ。


「見て分かったと思うけど私の力は模倣。鑑定よりも断然得られる情報が多いの。私はそっちに慣れているから大丈夫なのかもね。だから心配してくれてありがとう」


「いえ、問題ないならいいのですが……私への用事はこれでいいのですか?」


「せっかくだし何か買っていこうかな。使えるかどうかはともかくとして丸腰で歩くのも怖いしね」


 そう言って私は元の姿に戻る。

 そしてこっそり鑑定をフラウに向けて使ってみたが、この力は私自身との相性も良いのか、ユーリの姿でなくてもちゃんと力を引き出せているような感覚がした。


「何かおすすめってある?」


「そうですね……ルナさんは体格もいい訳ではなく、どちらかというと小柄な方なので大剣や両手剣などの取り回しに力が必要なのはおすすめできないので、やはり短剣がいいのではないでしょうか?」


「短剣ね、オッケー」


 ユーリにアドバイスをもらった私は短剣が並んでいるところに行き、鑑定で調べ始めた。

 鑑定はモノに特殊効果――――いわゆるスキルなどが付与されている分かるようなので、非常にありがたい。


 そのまま視ていくと、気になるものがあって私は目を見開いた。


「へえ、珍しいじゃん。ドレイン付きのものなんて」


「ああ、それですか。確か攻撃相手から魔力を少し奪い取れるんですよね。魔法を使う者は基本的に短剣なんて持たないのであんまり人気がないんですよ」


 それは意外。

 私はこの系統の武器は結構好きで、ゲームでもショップで見かけたら買っていた。

 ゲームではMP――――魔力だけでなく、HP――――いわゆる体力も吸収できたが、HPの概念がないこの世界では魔力だけらしい。


 それでも十分使える武器だ。

 剣があるから魔法が要らない、魔法があるから剣が要らないというキャラも多くいたが、私はどちらも必要になる。

 スタイルが他人に依存している私にはピッタリだろう。


「うん、これにしよう」


「鑑定を使って調べていたようですし、ルナさんがいいなら私は何も言いませんが……」


 いいのよ。

 そんな頻繁に使うつもりはないし、これは保険だから。


 別に不人気で売れてないから、値段が安めに設定されてるのに釣られたわけじゃないんだからね!


 はい、ごめんなさい嘘です。

 他のものより安かったからです。

 だってこの世界の私、お金カンストしてないんだもん……そんなバカスカ高いもの買ってられないもん。

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