謎多き模倣の力
私が転生して今日が二日目。
木々の合間を縫ってカーテンの隙間から差し込む気持ちの良い陽の光を浴びて目を覚ました私は大きく伸びをした。
その身体は以前の私よりも小柄で体型なども多少違いがあるが、特に気にするほどではない。ある一点を除いて。
せっかくなので軽く身体を動かそうと外に出る。
そこで私は模倣の力を使ってフラウへと変身した。
「あーあー、声もフラウになってる。まあ、能力の模写ができて声帯の模写ができないわけないか……あ! やっぱりこれは変わらないんだね」
私は部屋から持ち出していた手鏡で自分の今の姿を確認した。
姿はもちろん、声までフラウになりきれていたが、特徴的な瞳の模様だけはそのままだった。
これのおかげで私は私がクラリスになったというのにも気付けたし、この目はきっと模倣の力の象徴でもあるから変わらないんだと思う。
「習うより慣れろって言うし、練習あるのみ、だよね」
ひとまずこの力を使いこなせている訳では無いので、これからは使える時は使って慣れていこう。
そうすればこの力への理解も深まるはずだし、私が上手く扱えれば行動範囲が広がる。
一旦はこの迷いの森の私の家と最寄りの町アリオート周辺を行動範囲として力を蓄えていく予定だ。
「あれ? ちょっと弱いのかな?」
私はフラウの姿を借りて風を吹かせて風を操る感覚を確かめていたが、その力の……出力といえばいいのかな。
それが何だか弱い事に気付いた。
昨日のフラウの前でフラウに変身して力を使った時はもっと上手く、身体に馴染んでいる感覚を掴めた。
でも今は何だかその繋がりも弱いような気がする。
どうしてだろう。
まさか日によってパフォーマンスがコロコロ変動する不安定な力なのだろうか。
なんてことを考えていると、フラウが外に出てくるのが見えた。
「あれ? ルナおねーさんまた私になってるー。鏡でもないのに目の前に自分がいるのって何だか変な感じだね」
「ごめんね。今はフラウと精霊契約もしてるから風の力は普通に使えるんだけど、こっちの力も鍛えないといけないから…………って、もしかして?」
フラウを見たことで力の状態が戻った。
ということは、模倣元の人物……まあフラウは正確には人間ではないけど――――が近く、もしくは見える範囲にいるってことが最大限に力を引き出せる条件なのか。
詳しくはまだ分からないし、断定はできない。
そこはまた後で要検証。私はより早くより遠くまで感じることのできるようになった風で森の空間把握を行った。




